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【4】(陽が落ちれば葉も繁らぬ)

穿月桐静 ♦ 2021/01/21(Thu) 11:25[49]

(開けても任務、暮れても任務。たまに高専に還ってきてもなかなか彼女とは話せないまま。そんな毎日がひと段落したのが、正式な護衛任務解除の日なんて皮肉なものだ。)……いや、今日すら会えないよりましかぁ。(ぽつり独り言を廊下に落とす男は、いつもより少しだけ落ち着いたなりをしていた。両目のカラコンはなくなり、元々のこげ茶色の瞳に。加えてエクステも両方なくなって、ぼさぼさになった金のウィッグは後ろで一つに縛っている。任務帰りで明日は休み、そんな夜だ。一先ず向かうは女子寮の彼女の部屋だが、扉をノックしても反応がない場合はしらみつぶしに探しに行くことになるだろう。いずれにせよ彼女に出会えたなら、いつものへらりとした笑みでひらりと右手を振ることになるだろう。)こんばんは、祈織さん。……あ、分かる?穿月桐静です。(半分冗談で半分本気で聞いていた。別に彼女が自分のことを忘れたと思っているわけではなく、自分の派手な特徴がだいぶなくなったから問うたことだった。)こんな時間にごめんね。ちょっと何か飲みながらお話でも出来たらと思ってさ。……どう?(静かな夜だ。今日なら月にだって祈りが届きそうな、そんな澄んだ夜だ。)

卯木祈織 ♦ 2021/01/21(Thu) 23:46[50]

(ちくちく、ちくちく。縦8cm×横5cmぽっちの袋であっても、「ひと針ひと針思いを込めた方がいい」と学長によって難易度が引き上げられた縫い物。これには時間と根気、あと発想力が必須と知った。)なるべく怪我をしないように。風邪をひきませんように。任務が上手くいきますように。五条先生にたくさんパシられたりしないように。それから……(針仕事をしていた横には箇条書きされたメモ用紙。込めた思い、想い。“ひと針”ごと内容を変えているのは験担ぎリストでもある。それに四つ分項目を増やせば満足げに頷いて。さて今日の分はそろそろ終おうか。耳にノックの音が届いたのは、そんな時だった。)はーい。(訪問者を確認することなく扉を開けば、手作業に集中していたことによる疲れ目も加わったぼんやり眼がまんまるに瞠った。)え、あ、うん。わかる。こんばんは。えと、……セイ、お疲れ?(ぞんざいな扱いをされているウィッグを見、首を傾げるのと同時に語尾が上がる。とはいえ己の右耳下で金色の葉のチャームと共に揺れるサイドテールも、結び方が適当すぎてほつれつつあるのでお相子か。橙と紫が外され、久しぶりに見るその下の焦げ茶に眦をゆるりと細める。)飲む、ねえ…。セイ、いけないんだ。お酒は二十歳からなのよ。…なぁんて。冗談。わたしの部屋でいい?外がいい?(揚げ足取りの冗句を飛ばせば、ふ、と淡く笑ってその手を取ろう。向かう先は返事次第だ。)

穿月桐静 ♦ 2021/01/22(Fri) 10:31[51]

んー……お疲れじゃないって言ったら嘘かなぁ。でも、祈織さんに会ったらちょっと元気出たよ。これは本当。(へらりと表情を崩して笑う。流石に気障っぽくて自分に呆れたように。真実、彼女が無事な姿を見ればちょっと心が安らぐものだから、現金なものだとも思う。「紛らわしいいい方したのは俺だけどね?やめようね?肝が冷えるからね?」こんな冗談の応酬も久しぶりだ。かわいたわらいもそこそこにして、お茶についての了承が得られたら安堵の息を零そうか。)流石にこの時間に上がり込むのはね……外にしよう。一番あったかい上着持っておいで。(かくいう自分はいつも通りの制服姿なので寒さに関しちゃ何の心配もない。彼女の準備が整ったら、まずは自動販売機まで歩いて行って飲み物の調達としようか。自分の分はホットのコーンポタージュ缶。彼女の分は、お金だけ入れて彼女に選んでもらおう。無理なら無理で、この時間でも優しいものを選ぶつもり。)今日で祈織さんにお供させてもらうのも終わりなんだって。五条先生から聞いてる?流石に言ってるよねあの先生。聞いてなかったりする?(担任教諭に一抹の不安を覚えながら、頑なに護衛という言葉を使いはしなかった。お世話というのも何か違う気がして、結局曖昧な言葉になって。そんな話をしながら向かったのは教室だ。自分たちが勉学を学んだ何でもない教室に、何となく風よけが出来て寒さをしのげる場所を求めてやってきた。)

卯木祈織 ♦ 2021/01/22(Fri) 21:01[52]

? わたしに癒し効果はないわ。(甘やかな台詞をもバッサリ一刀両断――かと思いきや。)けど、言ってること、少しわかる気がする。わたしもセイに会えたから、頑張ろって思えるもの。(二日後に控えた作戦に抱くのは僅かな期待と不安、鎌首擡げる嫌な予感。遺書でも書いておこうかな、と半ば人生諦めモードに片足突っ込みかけていたのが、たった一人の人のおかげで俄かに浮上する。「略取誘拐の次は未成年飲酒か…」とわざとらしくため息を吐いて。なんだかんだ許しが得られると思ってやまない甘えの証左も顔を出した。)……この時間だから、誰にでもどうぞって言ってるわけじゃないのになあ。(独り言ち、黒のポンチョに袖を通して寮を後にしよう。一番最初に向かった自販機では何を選んだらいいのか迷った挙句、3種類同時押しで天運に任せてみたりして。出てきたお汁粉の缶のプルタブを起こし一口呷ってから、さて何と答えたものか。)き、いてる。いちおう。(事故みたいなものだったけどとは言うまい。どこかぼかした物言いで、きっと話の核心に入りかねているのはお互い様。)昇進すると忙しくなって、だからもうすぐさよならねってことでしょう?……二級術師?に昇進おめでとう、セイ。クラッカーを持ってくればよかったわ。誰か机の中に入れてたらいいのに。(笑みを形作れず引き攣る唇。冗談めかせば誤魔化すことはできるだろうか。)

穿月桐静 ♦ 2021/01/23(Sat) 20:51[53]

(そういうことじゃない―なんて、野暮なツッコミはいらなかったようだ。きょとりと瞳を瞬かせた青年は呆れたように、でも嬉しそうに。何にも知らないで「祈織さんはもうちょっとゆっくりしててもいいんだよ」なんて、心から言うんだろう。からかわれながら、甘やかしている気分になりながら。微かに届いた気がしたひとりごとは、思い上がりも甚だしいと知らぬふりをした。心は三択の自販機のように明確な答えが出るような代物じゃない。)…………本当に?こういうの大事だから分からないことがあったり、困ったことがあったらちゃんと言わないとダメだよ。(―故に、重要なところを測り兼ねれば探りを入れるだろう。忘れたのか、聞いていないのか、聞いているけどうろ覚えなのか、それ以外か。答えは彼女のみが知る。コーンを滞留させないように缶を回してあおり、彼女を見つめる瞳はその心を煽る様にじっとりしていただろう。)ありがとう。でもそんなに盛大にしなくていいからね?……そういうのはもっとめでたいときにしようね、祈織さんの誕生日とか。(当たり前に未来を語って見せる素の瞳は、柔らかい空気しか乗らない。まやかしも何もない色の言葉を、そっと彼女に押し付ける様に紡いで。自分の席まで歩いていこうか。どうせ机は有り余っているから、彼女には自分の前の席を進めた。空がよく見える席だ。席に付いたら、)らしくないけど、なにがあったの。(いびつな笑みに直球ストレート、堂々とした不意打ちだった。)

卯木祈織 ♦ 2021/01/24(Sun) 03:43[54]

(彼の嬉し気な笑みにつられて緩みそうになる唇を柔く噛んで、代わりにその分瞳をゆるり細め、胸に宿るあたたかな感情を享受する。この顔が見られるならいいかと思うのだ、囮でもなんでもやってやろうと。決意は秘めておきたいのに、再度尋ねられた途端視線が左下へと移動した。)だ、だいじょうぶ……。(よりぼかす選択を取った声はやたら小さい。ちらりと彼の顔を覗き見るも、その湿度の高い眼差しに視線を地面にリターン。ちびちび呷る缶の底では掬い出されない小豆が溜まっている。)特大の買って来ましょうか。五条先生が。(ちゃっかり他人任せにしつつ、誕生日と言われ小首傾げて数秒。一つ閃けば後ろ手に組んで姿勢を屈め、下から覗き込んで提案を。)じゃあ今日が誕生日ってことで。お汁粉貰ったし。ご馳走さまです。(誕生日を思い出すことはできなくとも、彼の笑顔が曇らないよう模索することはできる。――彼の一つ前の席を陣取るも座らず、椅子の背もたれに寄りかかりながら突っ立って。YESかNOか。彼の焦げ茶の双眸、夜でも特別美しく見える瞳に白旗をあげそうだ。)楽しいことも面白いことも、あなたにたくさん教えて貰ったわ。だから恩返し……っていうと大仰ね。でもね。…わたしがわたしの使い道を選べるなら、セイの役に立ちたいな。こいつがいて得したーって思ってほしい。(口にしたのは“何が”ではなく“何故”の方。寄りかかっていた姿勢を起こし、今度は上から彼を覗き込んだ。30cmほどの距離は近くて遠い。)

穿月桐静 ♦ 2021/01/24(Sun) 21:42[55]

やめよ?あの先生本当にめちゃくちゃでかいのめちゃくちゃ買ってきそう。(担任教諭への信用は測りしれない、主に負の意味で。はははと乾いた笑いの奥底で、本当に大丈夫なのかという気持ちが捨てきれないのもそういうことだ。彼女を信じたくないわけではなくて。「えっそうなの?」誕生日に関しては思わず聞き返して、そういうことじゃないと思い至る。瞬き一つと眉を下げた柔い笑み。)……じゃあちゃんとしたご馳走食べに行こうよ。明日とかどう?俺休みだし。(昼間見れば柔く、今のように夜ならば星のようにも見える彼女の瞳が、ゆったりと角度を変えていくのを見ていた。瞬く茶色は困ったように眉を下げた。むずがる唇が言葉を探して。)んー……(かしかしと本物の項あたりをいじくりながら、頬杖付いて机に視線を落とそうか。傍から見れば居眠りしている生徒とそれを見に来た教諭みたいな光景だ。されど、おそらく、心は逆位置。)……まずもって言うとね、俺は損得勘定で君を連れ出したわけじゃない。多分。(語尾にそうつけないといけない理由を、彼女は知らないだろうと思ったまま男は告げる。侵入したのもお姫様探しも確かに任務だった。それでも、違うと言いたかった。彼女は覚えているだろうか、釘に囚われた彼女に告げた言葉を。)祈織さん、人が人を助けるのって、きっと当たり前なんだ。でも、一人で一人を助けようとしたら、自分を助ける分がなくなっちゃうよ。ひとには、限りってものがあるんだから。

卯木祈織 ♦ 2021/01/25(Mon) 04:40[56]

(担任の話をする彼の笑みが哀愁漂うものに見えてきて、目隠しをした男に向け心の中でそっと中指を立てた。移ろう話題の中でもたらされた新たな提案に、瞬いたのは瞳か感傷か。しばし見つめ返したまま動かない娘が、言い表せない感情を抑制するように己が手指を弄ぶ。)……いいの?セイのお休み潰れちゃうけど。(忙殺されている分休むことを勧める方が正しい。わかっていても口から零れたのは肯定により近い返事。差し出された選択肢を望みたくなる我欲の発芽。日々の中で卯木祈織という形が変容していくのは、きっと気のせいではない。しかし見つめ合う二人のあわいには甘さでなく、困った生徒と手を焼かされる教師のような空気だ。)…にんげん、だから?(今でもはっきり覚えている言葉たち。だけども彼の言う当たり前にうまく自分を当て嵌められない。自分を削るぐらいしなくては相応しくあれない気がして二の足を踏む。)で、でも、わたしに助けてもらえる価値があるって、思えない。今のままじゃ、ただの役立ずだもの。セイの『なんにもできなくても』を信じたい。けど自分のことは、(ぎゅうと握り込んだ拳に爪が食い込む。でも、痛いぐらいでちょうどいい。)…わたしは、わたしを、好きになれない。(何をされても怒らず喚かずいたのは、根底にある“自分なんか”と思う劣等感がため。なんとなく、なんて言葉で誤魔化してきた理由は、口にしてみれば随分ちゃちな響きだった。)

穿月桐静 ♦ 2021/01/25(Mon) 20:51[57]

有意義に使おうとしてるんだよ。祈織さんはお出かけいや?(穏やかな日常を感じるのは何よりの心の休息だ。無論外に出るにはそれなりの危険の伴うが、それに代えがたいものを知っているからこそ。―言ってしまえば、これはそんな日常を迎えるための問答なのだろう。甘やかな空気はなくとも、男は眉を下げて唇を薄く動かす。その声は、穏やかにペンでも進めるように。)まぁ、それもあるよ。でも、なんていうのかなぁ、……あそこで君を置いて行ったら、そのまま死んじゃいそうに見えたんだ。烏滸がましい話だけど。(こつん、誤魔化すようにぼろっちい爪の先で机を小突いた。彼女の爪は目の前で彼女自身の手に食い込んでいて、ひどくいたそうにみえる。あの日のように眉を顰めて、また唸って、とうとう観念したように言うだろう。視線を空に逃がして、へらりと笑って。)……俺、俺のこと嫌いなんだ。(奇しくも、いや、男は気が付いていたのかもしれない。根本的に似て非なる性質は、言葉にしてみれば同じくらいちっぽけでいやんなる。)口先ばっかりで、なにも出来なくて、こんな手で誰が救えるんだって思いながら、見過ごすのも目覚めが悪くて、結局口を出す。正しいことしていいやつであろうとする自分が、嫌いだ。(すらすらすらすら、よく口に出るのは普段からずっと思ってるから。淀みなく綴ってから、彼女を見ようか。)……どう思った?多分、同じ気持ちだと思うんだ。(穏やかな声だった。)

卯木祈織 ♦ 2021/01/26(Tue) 04:05[58]

ううん。行く、……行きたい。(最後の一日の予定は、自分の意志で。誰と過ごすのかを決めた。)そうかも。死にたいと思ったことはないけど、死にたくないと思ったことも、ないわ。(今すぐではないにしても、緩やかな死を迎えていたのは間違いない。生贄に選ばれたことも値札のタグをつけてもらった程度に思っていたくらいだ。)…うん。(返したのは静かな相槌。謙遜というより卑屈に近い自己評価に、薄々そんな気がしていた。握っていた拳を緩めて開く頃、先ほどまで上向いていた彼の視線と再びかち合う。笑う場面でないはずなのに、不思議と唇が弧を描く。)お揃いね。わたしたち、二人揃って自分がいやで、困ったものだわ。(抱いた気持ちは傷に似ている。ついた理由も形もばらばらで、けれど確かに揃いの傷跡。似ているからこそ違う痕へ、柔らかく言葉を重ねていく。)昔、ゴミと一緒ねって言われたことがあるわ。消費してばかりで、何もできないから。(ほどいた手のひらを彼に向けて、前置きがてら昔話を二言だけ。)手、貸してくれる?十秒でいいから。(許しが得られたらその手を取って、自身の左胸に宛てよう。心臓の真上の位置へ。)…鼓動の音、わかる?これはね、昇級が掛かっていることを差し引いても見捨てるのが下手なお人好しさんが、身体を張ってくれたから今ある命なの。自分でもゴミだと思ってたものに、あなたは言葉を尽くして説明もしてくれた。……あ、お説教もされたわ。(あえて最後を茶化して告げたら手を離し、机に手をつき屈みこむ。目線の高さが同じになるように。)言うのが遅くなってごめんね。…拾い上げて、救ってくれて、ありがとう。

穿月桐静 ♦ 2021/01/26(Tue) 11:32[59]

(結ばれた約束に明日を願い。それでも彼女の明日を勝手に疑っていた。きっと出会った時からそうで、彼女の口からそうだと聞けば、改めて身勝手にさみしそうな笑みをするのだろう。笑うべき場面じゃないのに、二人して笑っている。)……うん、困っちゃうよなぁ。自分なんかって思いながらさ、君がそういうと悲しくなる。その理由を探そうとしてまた嫌になるんだ。我ながらめんどくさい。(過日、彼女は自分を“物事をあえて難しく見ようとする”と言った。本当にその通りだと思って自嘲して。)……命は命で、何を成すかとは全く別の問題なのにね。善人だって悪人だって、なんにもなくたって、結局「生きている」という意味での優劣はない。(結局口を挟みながら利き手を差し出すのだろう。右手に感じる鼓動は、やっぱり生きている。それだけで尊ぶべきものだ。自分のような他者が手出ししていいものではない。しばし黙ろう。鼓動と、彼女自身の心を聞くために。かち合う柔い赤に困り顔。言葉を尽くすのはそう難しくない。でも、一番最初にこれだけ。)……どう、いたしまして。(これだけは、真っ先に受け取らなければならない。覚悟をもってゆっくり口にした。思ったより深刻そうな声になって、結局笑ってしまった。)進級の話とか、五条先生に聞いたの?なんかかっこ悪いなぁ。もっと別の話してくれればいいのに。その髪飾り、やっぱり似合うねとか。……あの時、一緒に来てくれて嬉しかったよ、とかね。(今更ながらもう一度着席を掌で促しながら、最後は穏やかに言うんだろう。)

卯木祈織 ♦ 2021/01/27(Wed) 00:19[60]

ふ。それもわかる。…なのにセイが誰かに悪く言われるのも嫌なのよ。セイ自身でも。自分で自分のことをろくでもないって言って、お揃いだとも言ったくせに。だから今も、ちょっと、むかつく。(喜怒哀楽が平坦だった女が初めて口にした『むかつく』は言い慣れておらず少しまごつく。悲しみと怒りは方向性だけで言えば真逆なのに、根底にあるのが揃って自分のことでないのがおかしくて。)生きるのって難しいのねえ。(と、さも困った風にため息をつく唇は、それでもいつか上向くだろう。心底困った顔の彼が紡ぐ返礼に、「うん」と相槌のような言葉を返した。伝えきれない感謝や信頼を言葉にまとめるのは難しくて、たった二音に思いだけありったけ込めて。最後にはつられて笑みが零れる。)二人が話してるのを盗み聞きしましたって言ったら有罪?それとも自白したから情状酌量にしてもらえる?(一つ目のカミングアウトをしたら、促されるまま前の席に座るとしよう。ギィと椅子を鳴らし、後ろの席の机に寄っかかった。)……やっぱり、セイと一緒にいたいなぁ。なんだっけ……ほら、飼うんだったら最後まで責任持って、って言うじゃない?(褒められると嬉しい、嬉しかったと言われて少しむずがゆい。含羞孕んだ顔を見られたくなくて茶化したら、間にある机に突っ伏して――きっかり十秒。)……ね。わたしが危ないことしたら、怒る?(ちょっとだけ顔を覗かせて疑問を呈す。)

穿月桐静 ♦ 2021/01/27(Wed) 10:22[61]

妙なところばっかり似ててやんなっちゃうね(苦笑と共に落とした言葉は同意以外の何物でもない。)……でもなんか、ムカつくとか難しいとか、そういうの祈織さんから聞くたびにちょっと嬉しくなるんだ。痛みって生きようとしないとどうでもいいでしょ?(様子を伺い立てるように眉を下げて。実際問題、人一人を認識して助けるのなんて荷が重くて、自分が誰かの人生に影響を与えるなんて怖くて、いつだって責任なんて負わずにいたくて。――それでも、彼女のそれは、受け取りたいと思ったのだ。つられて笑うような距離感を、はなしたくない。)……それは俺の落ち度だからなにも課せない。でも恥ずかしいから忘れてほしい。(離したくないからこそ気まずいものだってあるのだ。ほんとにかっこ悪くて、はははと乾いた笑いを一つ。照れ隠しに「犬猫じゃないんだからね?」なんてツッコミも一つ。きっかり十秒。ことの重さを感じるには十分な時間だ。) 怒るよ。(彼女をじっと見つめてノータイムで答えた。)おんなじくらい、哀しくなるし、悔しくなる。あとさみしくて泣いちゃうかもしれない。(表情だけゆったりと薄い笑みへと崩したのは、叱られるとわかりながら伝えなきゃいけない気まずさを知っているからだ。)……そういう祈織さんは、立場が逆だったらどう?まぁいつも危ないことしてるように見えるかもだけどさ。(烏滸がましいと思いながら告げた。―だって俺たちは全然違った似たもん同士だから。今の俺と同じ気持ちになるんじゃないかって、そう思ったんだ。)

卯木祈織 ♦ 2021/01/27(Wed) 22:55[62]

ほんとにね。――最近、痛い思いしたら面倒っていうより、ヤだなって思うのよ。あと、嫌われたらどうしようかなって思ったりも、する。今も。(一人で生きていられる身軽さは、もうない。困ったねと嘯くも、大事な居場所という重みを手放す気にはなれやしない。)やだ。一生覚えてる。(要望を突っぱね、ぷいと顔を背けた。ひと月前の自分が見たら冷ややかな目で見られそうだ。昨日の夕飯も覚えていないのにできるのかと。)忘れないわ。…結構意地悪なの、わたし。(唇の端っこだけで軽やかに笑みを。気づかれなくても構わない。娘にとって埋没も上書きもしたくない一ページだった、それだけの話。) 、(はく、声にならない吐息は、突っ伏し組んだ己の腕枕の中で立ち消え。)…うん。きっと怒るわ。デコピンしちゃうかもしれない。……セイにはね、平和なところで静かに生きててほしい。でも、ほっとけないんだろうな。見過ごしたくないんでしょう?わたしもそう。(きっと、どうしようもなく似た者同士だった。だから彼は呪いと戦う日々に身を投じるし、己も安全の確証がない可能性に手を伸ばす。)チャラララーン、お偉方からのミッション発生!明後日祈織ちゃんは対Xに講じられた作戦の囮役になります。クリア報酬は高専での生活延長でーす。……わたし、まだセイと一緒にいたいから。頑張ってみようかなって。(わざと軽い調子で言ったら気が楽にならないかな、なんて。「あ、極秘って言われてるから秘密にしといてね」と唇に人差し指乗せ、困ったように微笑んだ。)帰ってきたら怒っていいよ。

穿月桐静 ♦ 2021/01/28(Thu) 11:43[63]

  (言葉を失ったのは、あまりの衝撃に頭の中がはじけ飛んだからだ。“覚えている”と言った彼女に見せたはにかみも、“意地悪なの”と言った彼女に見せた困り顔も、“わたしもそう”と言った彼女に見せた苦笑も、全部吹き飛ばすような無。一言でまとめれば憤りで済み、その言葉には様々な感情がもとより詰まっている。)……くそやろうども(片手で顔を覆って絞り出すように一言。ここで怒鳴っても彼女を怯えさせるだけなんだろう。それに、この憤りは決して彼女へと向けるものではない。呼吸を置いて二秒、息を吐いて三秒、)あー……(ぐったりと背もたれに体を預けて四秒。合計十でお揃いだ。ぐんと上半身を持ち上げて戻ってくれば、頬杖をついて。空いたての人差し指で、彼女の額を押そうか。ちょっと力を込めて。)分かってるなら行かないでほしいなぁ……よく言えましたって言いたいけど、ほんとに笑えないからね?君は普通の女の子だからね?だから、……ここと同程度の生活なんて、何にもしなくたって与えられて然るべきなのに。(ぼやく男だって分かっているのだ。Xが滅びない限り彼女たちに安息はない。そしてそれを、――自分は、放っておけない。とある先輩との問答でも十分思い知っているというのに。あからさまな溜息一つ。)怒るよ。(絶対的な約束一つ。)……怒る前に、思いっきり抱きしめて泣くからね。祈織さんを行かせないだけの力がないの、悔しすぎるから。(前提としての話を、もう一つ上乗せしよう。あまりにちっぽけな自分を、変わらず恨んでいる。)

卯木祈織〆 ♦ 2021/01/29(Fri) 01:54[64]

いたた……(まさかの物理。うっかり避け損ねた額はそこそこ痛んだけれど、報連相なしで決定した事柄への罪状だ。甘んじて受け入れるとしよう。)額に風穴空いたらどうしよう。セイにおでこ穿たれましたとかどう聞いてもネタにしかならない……穿月だけに…。(冗談を言いながらも、彼の言い分がわからないわけではない。寧ろ正しい。でも、)またこうやってセイとお話したいから頑張ろうかなって。そしたら中途半端ばっかりで好きになれない自分でも、少しは好きになれる気がしない?…Xから出るときはセイにおんぶに抱っこ、というか文字通り抱えられてたもの。今度は自分の足で進まなきゃね。(今日からだって遅くないと言ってくれた少女の言葉を胸に、今日を踏みしめる。強がりを繋ぎ合わせて笑みを形作るんだ。)セイの泣き虫。誰かを慰めるのなんてしたことないのに。涙を引っ込める驚かせスキルを磨いておこうかな…。(器用なのに不器用に生きる、彼のちぐはぐさがいとおしくて手を伸ばす。親指は頬骨に上へ、手のひらは顔に添えるように。逸らされないように。)セイの瞳の色が綺麗ねって言ったけど、撤回するわ。……目だけじゃなくて。自分で自分を許せないと思う心を綺麗だと思う。桐静の、その気高さが好きよ。(自分の不足と向き合うことができるの尊さを口するも、届かなくても構わない。卯木祈織という人間がどう思っていたのかだけ、どうか知っていてくれたら。きっと嬉しい。)そろそろ帰ろっか。明日は朝からスケジュールみちみちにするから覚悟してね。まずセイに髪やってもらうところからスタートです。(こっそり戻した呼称は、勝手に予定に組み込んで振り回して有耶無耶になるだろうか。数日会えないから、明日は前倒しで補給させて。)

穿月桐静〆 ♦ 2021/01/29(Fri) 18:11[65]

だからって言ってもいきなり難易度上げすぎ。限度ってものがあるでしょ……死んだら何にもならないんだか。自分がどれだけ危険なことしようとしてるかわかってるの?あそこには、君の目視できない怖いものがたくさんたくさんいるんだよ。(踏ん張っている少女にわざと重荷を持たせるのは、うっかりお空まで飛んで行かないためだ。複雑な心境は溜め息になる。)でも、もう行くって決めたんでしょ。(分かってるんだと言わんばかりに、わざとらしいため息にしてやった。「方向性を考えようね?俺ツッコミ専門じゃないんだよ?」なんて、今更な応酬はきっと今日が終わるまで、いや明日になっても変わらない。手のひらを拒む理由はなくて、何かしたいことがあるならすればいいとも思っていて。──けれども、流石に顔をそらしたくなるのも許してほしい。あまりに真っ直ぐな視線に、言葉に、気持ち瞳だけを逸らして。)……気高さなんて持ってないよ、君は俺を買い被りすぎる。(結局言えたのはそれだけだ。密やかに呼ばれた名前に気付かぬふりをした。だってあんまりにも気恥ずかしい。自分を否定するのも馬鹿らしくなるくらいな真っ直さに、答えられるならきっとこれだけ。)……誤魔化したでしょ。やらせないよ。祈織さんは結構そういうかわいいところあるよね。その目もよくみると柔らかくて暖かい色でかわいい。その髪飾り、一生懸命つけてくれて嬉しいよ。(意地悪の形をした、真っ直ぐな本心だけ。最後にぶきっちょで愛しい頭をポンと撫でてから席を立とうか。明日と言わずどんな休みでも、連れ出してもらったって構わないのに。そうも言ってられないなら、精一杯今彼女に答えて。存分に重荷と未練になってやろう。)──明日はどんな髪型にしようか、祈織さん。

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