穿月桐静〆 ♦ 2021/01/17(Sun) 11:06[44]
んー……それに関しては俺からは何も言えないかな……。悔いても戻るわけでもないし。勿体なかったのか本当に響かなかったのかは、きっとこれからわかるよ。(緩やかな声には自嘲が滲み、されど髪を梳く手は優しいもので。大丈夫、大丈夫、ゆっくり言い聞かせるように手を動かす。後悔という釘は力技で抜けるものではないと知っているからこそ。「えぇ……」と冗談に困ったふりをして、彼女だけの後悔には深く触れないことを選んだ。――その代わりというわけでもないが。今この瞬間にいる少女を男は見捨てない。今度は明確に「だいじょうぶ」と唱えながら背中をさすり。)なんだか光栄な気分だなぁ……。よし、……じゃあ一緒に頑張ろう。他にも気に入ったものがあったら遠慮なくいってね。(受信エラーが起きまくるファックスを思い出しながら、紙詰まりを丁寧に処理していくように。比較的彼女の反応がスムーズだったものを選んだつもりだった。でもそこに追記された理由に、眉を下げてはにかんだのは男の心からのものだった。)……買わないわけにはいかないなぁ、それは。(照れ臭い、気恥ずかしい、自信も満々というわけではない。彼女がいらないといえば棚に戻してしまうつもりだったそれは、然りと彼女の手に手渡された。ご機嫌を示すサインまでつけられてしまっては、あれもこれも選ぶなんて荷が重いなんて言ってる暇もない。これはどうかと聞くだけではなく、使いやすそうだとか似合いそうだとかそういう理由がくっつきだした買い物は、少しだけ順調に進んだかもしれない。結果片手で足りるほどの髪飾りを購入した後は、当然のようにその袋を彼女の手に。――穿つ杭にもなりはしない、それでも祈ってはいたかもしれない。今日のような平穏が、彼女のこれからにありますように。)