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【2A】(根を張る準備は計画的に)

穿月桐静 ♦ 2021/01/03(Sun) 21:30[21]

(うーん、勝手!――担任の言葉を聞いて思ったことをまとめればこれに尽きた。確かに彼女を攫って来たのは自分であるが、こういうものには適任というものがいるだろう。少なくとも自分よりも女性の方が好ましいに決まっている。なんてったってこの成りだ。)――……と、言うわけで。頼まれてしまったので、ごめんけど買い物は俺と一緒でいいかな。(あの日、彼女を助けた姿と全く同じのゴテゴテのなりで彼女のもとへと赴き、綺麗に90度のお辞儀をし。上げた顔は本当に申し訳なさそうだ。ここで暮らすにあたって必要なものを揃えるための買い物だと、彼女にはかいつまんで説明した。わざわざ護衛という言葉は使わない。)道案内と荷物持ちに使ってよ。……だいぶ目立つけど、気にしないでね。祈織さんが悪いわけじゃないから……(言外にこのまま出かけると語り、彼女の準備があるならそれを待とう。ついでと言っては何だが、)ちょっと味気ないヘアゴムだけど。またどっかに絡まったりしたら危ないからね。(そう言って差し出したのは、部屋に予備として持っていたヘアゴムだ。地味な黒一色のゴム。一連の準備が整ったらまずは、洋服から買いに行く算段。)

卯木祈織 ♦ 2021/01/04(Mon) 01:26[22]

(いいように面倒ごと任されているなぁ。――彼への感想だ。担任を名乗った男については目隠しの印象と、)一条……二だったかな……まあ、先生の言うことだから。(幸い漢数字だということは覚えているので、とりあえず一から順に当て嵌めて数打ちゃ当たる戦法を企てる。それからカッチリ直角の礼をした彼の頭もそんな適当さでわしゃわしゃ撫ぜてみたりして。特に意味はない“なんとなく”の行動理念も健在。見張りか見守りかと考えることはあっても、彼が口にしないなら別に構うことはないだろう。)…うん。お世話になります。それに大丈夫よ、真っ黒な目隠ししている人と歩くより目立たないから。(軽く肩を叩いて僅かばかりの慰めを。派手な身なりVS目隠しなら、アブノーマルさは当然後者に軍配が上がるので。さて出発かと思いきや、顔を上げた彼に差し出されたものにハテナマークが量産される。)…………、……。………?(ヘアゴムを見つめること暫し。いつまで経っても手を伸ばすことなく、代わりに差し出した相手の顔に視線を移して、)セイ、やって。(おねだりというには愛想に欠けるだろう頼みごと。――掃除洗濯、できなさそうに見えて料理もそこそこ。しかし自分の身体にまつわることは疎かな娘である。雑事の際煩わしい髪を束ねてくれていたのが決まってXの少女たちであった。今あ、左手で「切った方がいい?」と己の後ろ髪を引っ掴み右手で二本指立てて鋏を模する。買い物リストの先頭が文具ばさみになるかどうかは彼に懸かっている。)

穿月桐静 ♦ 2021/01/05(Tue) 06:51[23]

五条先生ね……。まぁ、先生気にしなさそうだからいいか。(のらりくらりとした担任を思い浮かべながら、さながら犬にされるようなスキンシップを甘受した。何となくでも、何もないとは大きな差がある。少なくとも己はあって幾ばくもないこの少女に認識されているのだ。「なんというか比べるところが……」担任と自分の容姿の差についても含め、はははと乾いた笑いを紡ぐことも多いけれど。)…………やっぱり?せっかく綺麗に伸ばしてるんだから、ほら座って。(なんとなく、彼女という人間を少しずつ認識していく。生きていく上で必要なことは問題なくこなしているように見えるのに、あまりに自分に無頓着なのを、歪と呼ぶのは大げさだろうか。ともかくとして、担任然り自分がいいように使われて済むならまぁ、と考える男は相変わらず自尊心とかそういうものが足りていない。彼女を椅子に座らせれば、自分の荷物の中からヘアブラシとコームを取り出して。まずはそのおぐしを丁寧にほぐすところから始めよう。あらかた通りがよくなったらゆるい三つ編みに結わえていく。あとはそれを左肩から胸元に垂らして完成だ。)どう?これなら引っかからないと思うんだけど。(見た目よりも具合はどうかと尋ねよう。やり直しとなるかそのままかは彼女次第として。――文具ばさみを却下したので、やはり買い物は洋服からだ。部屋から出発し敷地から出る前、すれ違った高専生が「デートかー?」と物怖じすることなく声を掛けてくる。) ちげーよ、買い出し。お前も訓練行った行った。(へらりと笑ってそんな言葉を交わし、彼女の背を軽く押して進んでいこう。空は雲の多い晴れ。買い物日和だ。)

卯木祈織 ♦ 2021/01/05(Tue) 16:24[24]

(ゴジョウセンセイ、片言で繰り返したのは一度ぽっきり。忘れたらまた聞こうと、心のうちで彼に全幅の信頼、またの名を人任せならぬ彼任せにしてしまう。ヒトのこと言えないね、とイマジナリー目隠し男が笑うのはしらんぷり。それより髪を梳かれる感触が心地よくて、眦蕩かしまどろみに飲まれてゆく。うにゃうにゃ日なた窓の猫のように言葉にならない声を紡ぎつつ、片足突っ込んだ眠りから戻ってきたのはあらかた完成した時で。寝ぼけ眼を大雑把に擦って現実とご対面。)任せておいてなんだけど、本当にできたのね…。(失礼を承知で感想を呟いた。今様色に一瞬だけ、微かなきらめきが散って瞳を瞠って。)今度からセイにやってもらいに来よ。(リテイクどころかGOサインをも飛び越え今後の予約を埋めに掛かる。彼の都合のことはいつもみたいに忘れているのか、それともさらに遠くに置き去りにした情操掻き立てられているのかは知れない。でも。たとえまた忘れてしまっても、今この瞬間嬉しいと思ったのは嘘じゃない。――とどのつまり、浮かれていたのかもしれない。)じゃあ、デートもする?買い出し終わったら。(背を押す勢いのまま通りすがれば、振り向き様なんとはなしに囁いた。囃し立てる声のBGMを気にすることなく、かろい足取りで歩き続ける目的地はどこにしようか。某実用衣料量販店へ向かうもよし、ショッピングモールで上から順に済ませるもよし。衣食住に選り好みがない女だ、マネキン買いをする未来は近い。)

穿月桐静 ♦ 2021/01/05(Tue) 22:42[25]

(ねないでーなんて言いながら、髪の毛を整えようとする掌によどみはなく。)――まぁ、簡単なのしかできないけどね。自分の髪、ってかウィッグの手入れとかするから、その影響かな。……本当に簡単だよ?(ウィッグだけでなく、その他ピアスなどの装飾品についてもよく見れば手入れが行き届いていることが分かるだろう。大切な呪具だ。一応彼女の自主性を尊重して、一回くらいは粘ってみようとするけれど。諦めは早いだろう。彼女の目に宿る微かなきらめきを言葉にして伝えるには、彼女を知らないし自分に自信もないけれど。ひそやかにはにかむのはきっとこの夜くらいの話。歩く廊下にてすれ違った同級生にはちょっと雑ってかラフな言葉遣いで。彼女に向き直る頃にはある意味驚いた。)え、したい?……いや、しよっか。服選びのほかに課題を一つ出します、買い出し以外で行ってみたいところを探すこと。(「ひゅー!」なんてはやし立てる言葉にも今は感謝だ。質問を質問で返す馬鹿をやらかしているのは、彼女のはてなが提案の部類にギリギリ入るからだ。理解をした男は穏やかに茶化すように言葉を付け加えて。まずはやってきました、みんなの味方衣料量販店のおしゃれで若者向けの方。シンプルでいい素材の方と迷ったが、彼女だって女の子だ。多少の興味は――なんて期待は、すぐに裏切られたけど。)試着くらいはしてみようね、サイズとか長さとかあるからね……とりあえずこれ?(なんとなしに指さしたマネキンは可となるか。)

卯木祈織 ♦ 2021/01/06(Wed) 03:46[26]

一つ一つは簡単だって、手を抜かずに続けることは簡単じゃないでしょう。輪ゴムでもいいやと思うわたしとは大違………なんでもない。(なかったことにしてもらえるかはさておき、思いもよらない“課題”に反応が遅れてぱちりと瞬き。)あの、うん?…えっ?(反射的に頷いてしまえば後の祭り。そう思っても楽しい予感がするのは同伴者のおかげだろう。小さく綻ぶ口元、その淡い嬉色は雑踏の気配に飲まれながらも降り積もっていくのかもしれない。服も場所もお任せだって構わないのだが、度々意向を聞いてくれることから察するに駄目らしい。)わたしよりセイの方がセンスがいいと信じてるから、それ。(そうわかっていながらも、頷く女の買い物は万事この調子である。)背中にファスナーがなくて、ボタンの数がそんなにないやつがいい。(後ろ向きな希望だけはっきり伝え、ある程度着回しがきく衣類一週間分を購入したら店を後にしよう。逃亡を図ったとも言う。)ね。何もしてないのに色々買い与えて…セイは、あと五条先生とかは、誰かに怒られたりしないの。(肝心な時こそ疑問符は見つからず、ぶっきらぼうな物言いでそう尋ねた。俯く視線に滲む不安は、自分に価値があるとは未だ信じ切れない故。にんげんだと言ってくれたけれど、眼裏に浮かぶのは部屋に散らばるゴミとゴミ。頭を振って記憶を振り払っても、ただ与えてもらうことに引け目が消えない。自分の着るものだからと持った荷物を抱きしめたら、腕の中でぐしゃりと音がした。)

穿月桐静 ♦ 2021/01/06(Wed) 17:10[27]

(もちろんなかったことにはならなかった。はさみの代わりに購入リストに入ったヘアゴムは、せめて彼女がやりやすいものを選べるといい。言質も取った事だし彼女とのデートも楽しみに。そして何より、この少女の刺激となればいいなんて、何から目線な事だと思いながら。──)やな事言ってくれるのは助かったよ。ワンピースとシャツはよそ行き用ね。ボタンはまぁ、その時は頑張ろう。(気安くて可愛いものは今どきいくらでもある。白と鈍い赤を基調とした少女に、様々な色を合わせて様々な服を購入した。カーキのシュシュを見付けたのはそのどこかの場面で、勧めたのはほんの気まぐれだ。荷物に入るかどうかは、彼女次第として。のんびり歩き目指すのはド黄色の目立つ看板。なんでも基本揃う優れた雑貨店だが。)……最低限文化的な生活なんて法律でだって定められてるのに、誰が怒るのさ。(不意に足を止めて、不意を付いて荷物を抱えるかんばせを覗きこもうか。男は大層困った顔をしていて、それは誰かに怒られるからではないと言葉で語って。)さっきいったとこね、コストパフォーマンス……わかる?まぁ、とりあえず量販店なんだけどさ。女の子のよそ行きの服そんなところで選ぶな!って先輩とかには怒られるかも。(はは、と苦笑を冗談めかしてしまって。とん、とその肩を軽く叩こう。さながら、力を抜こうと言わんばかりに。)重い?(何とは言わなかった。)

卯木祈織 ♦ 2021/01/06(Wed) 21:18[28]

(文句と思われるならいざ知らず、良しとされるのが不思議で面映ゆさが噛み殺せない。ぷいと視線逸らして、)セイは時々意地悪だわ。(と告げたのは、別に先の課題と別に頑張らなければいけない案件を出されたからではないはずだ。勧められたシュシュには首肯してみせた後、彼の方をじいっと見つめる。正確にはウィッグの襟足。)頑張れば結べそう。…そうね、いい練習台もいることだし、頑張ろ。(荷物の仲間入りも即決だ。ウィッグごと引っ張り回されそうな彼に合掌。手を合わせて祈っていた過去は、もう思い出せないくらい昔のことだけど。)…そう、かな。そうかも。(法律は見ないふりが得意だと断じるのは簡単で、割り切るには時間が掛かる。でも後ろばっかり見ている目を前向かせてくれる思いやりを大事にしたい。止まっていた時計の針が動き出す音がしたら、今しかできないことに手を伸ばそう。さしあたって派手な色味の看板の店内へ。)わかる、…多分。それに怒られたらちゃんとフォロー入れるから大丈夫よ。代わりによそ行きのドレスコード基準がわからないから丸投げするけど。ふぁいおー。(拳握るポーズと気の抜ける語調で締まらないエール。続く冗談めかした空気に和やかさを纏わせて、曇った想いにさよならを。)全然。(彼の指すものは、腕の中の荷物だけではないのだろう。それなら返す言葉はもう決まっている。)って言ったら嘘になるけど。いいの、重くない荷物なんてないもの。もう無理ってなったら半分セイにパスするからよろしくね。よそ見してたら危ないぞ、なあんて。(ぺろ、と小さく舌出して下手くそな笑みを浮かべてみせた。)

穿月桐静 ♦ 2021/01/07(Thu) 16:26[29]

(女性慣れしているわけでもないが、彼女のご機嫌を損ねた理由は何となくは分かって。それでも男は笑っている。甘んじて受け取ろう。)手加減してね。あんまり引っ張るとさすがに……(ただしこっちは話が別だ。いざというときのために上手く引っ張れば取れるようになっているウィッグをむしり取られる未来はありませんように、アーメン。信じもしないものに祈るのはこれくらい。)……ん、そうだね。(――彼女が飲み込まんとする現実は、彼女のペースに任せて、ゆったり頷くだけに収めた。これ以上は他社が介入するべきでない領域。懐かしさとむず痒さが黒歴史をさらりと撫でて男を苦笑させるんだろう。)えー、なんか、おしゃれして出かけたいときはおしゃれするみたいな。その辺の基準曖昧だけど。デートのために着替えてみたりする?(紡ぐ言葉は引き続き冗談ぽく柔らかい。全身極彩色の男がいうにはあまりに説得力がないが。)……ふは、そうかもね。半分と言わず七分目位なら持つよ。でもパスするときは声に出そうね?そんな投げつけるみたいに言わないでね?(彼女が、確かにつくりあげた笑みを切り取る様に。一つ瞬いて。一つ声に出し笑った。出した数字に特に意味はなく。それは何分目でも、十より少なく五より多ければよかった。到着した雑貨屋では日常生活に必要なものを一通り見て回る予定だ。)……そういえば、シャンプーどうする?カラー落ち防止のやつとか必要ならネット注文するけど。(マグカップを手に取りながら問う。自然の髪色には見えなかったから。)

卯木祈織  ♦ 2021/01/07(Thu) 23:15[30]

毟ったらごめんね。(全く悪びれることなく言い切る唇の口角は上向いて。にしても年頃なら、デートという理由抜きにしても見栄えを意識してもよさそうなものだが、さて。)ううん。(ゆるり首を横に振ってNOの意思表示。)一人だけおしゃれしても悪目立ちしそう。今もそれなりに目立ってそうだけど。…セイも私服になるんだったら考えておく。(彼の頭の天辺からつま先までわざと視線をスライド。身なりに頓着しない女が彼の隣を歩くのだから目立つが、そんなことが気になるなら前髪はもっと短かったろう。他人の視線や思惑など端から忘れていく女の特権でもある。)覚えていたらね。(それでも一拍おいて瞬き笑った彼の顔は覚えていたいような気がして。この瞬間だけでいい、出来損ないの心にかくあれと思った。)……からーおち?(質問の意味を咀嚼するのに数秒。「ああ、」と納得と相槌を織り交ぜた二音は、お好きにどうぞの意を込めた言葉を変えそうとして――はっとなった。)メーカーも何もわからないし、本当は割とどうでもいい……けど適当にして後で怒られるのはどうでもよくない…。(かつてケアをしてくれた少女は今いないが、バレればどうなることやら。口元に手を当て懊悩のため息を吐いたのち、出掛けの彼を思い出す90度のお辞儀を実行。)助けてください。(X脱出の時よりよほど真面目な声だった。)…土下座したほうがいい?(床の上で膝を折るため、直角の姿勢から屈みこむ。片手にマグを持つ派手な男と野暮ったい女の土下座(未遂)、第三者からしたらさぞ滑稽だろう。)

穿月桐静 ♦ 2021/01/09(Sat) 05:49[31]

(冗談と分かったから冗談にしたが本当に毟られたら、洒落にならないということは今は置いておこうと思えた。きっと、こうして何でもない道を何でもない調子で歩いていたかったからだ。)ごめんね……?私服かぁ、結局派手なんだよね。祈織さんの服に合わせようかな、せめて。(続いた言葉も軽い調子であった。ペアルック紛い化とそういうところまで考えは至らず。赤と白から何の色に染まっていくのか、もしかしたら彼女よりも楽しみにしているのかもしれない。ただ荷物の受け渡しについてはもう少し粘るだろう。いろんな意味で。)あれ、友達か誰かにやってもらったの?(友達と問いかけたのはわざとだ。指導者に怒られると言われたら、否定するときのための。)え、俺にできることなら……(故に返答は早かった。どういった理由であれ、彼女の助けになれるならそれでいい。妙な間がくっついたのは、あんまりに真面目な声だったから。あの日よりもよっぽど真面目そうなのは如何なものか、という困惑が滲んで。)……いやいいよ?!スマホでぽちってするだけだからね?腰上げてね?今俺たちすっごい訝しい目で見られてるからね?はい、起立!(屈みこんだ彼女の行動原理を飲み込み切れずにまた間が空いた。マグカップを棚に戻して両手を彼女に差し出して立ち上がる様に促そうか。いや、いやいやいや。)今は「よろしく」でいい場面だよ祈織さん。(声色がマジで瀕死だった。周りの視線が痛いのは何年たっても慣れない。)

卯木祈織 ♦ 2021/01/09(Sat) 17:23[32]

お互い妥協点を探して合わせればいいわ。頑張るから。(彼にだけ頑張ってもらうより、二人で“ちょうどいい”を模索して着飾った方が楽しい気がして。確約できない先のことを頑張ろうなんて言ってしまうのはそのせいだ。話題が髪色のことへ移ったのなら、古巣を思い出し頷いた。友達かどうかは不明ながら凡そYESである。)………どうしようかな、そう言ってもセイがやっぱりやーめたってなったら困っちゃうし。そうならないためにもここはしっかり誠意を示すべきところ…。(真剣そうな表情をしているが騙されるなかれ。今度は真顔でからかいに興じているだけ。やたら慌てだした彼が面白いからという単純な動機で、彼と視線を合わせないでいる理由は冗談とはいえ嘘をつく後ろめたさか。しかしそろそろ潮時だろう。差し出された手に掴まって身体を起こす。武器ゆえか、男の人らしい手に緊張したのは一瞬。)ふ、…あはっ。(それより脳のキャパを掻っ攫っていったのはこのタイミングで常識を説いてくる真面目さだった。手は彼に重ねていたから口を押えるには間に合わず、とうとう呼気で言い訳できない笑声が落ちる。ついでに手に力が入らなくなってきたから身体も再び床へとずり落ち蹲る。)ひう、っふ、ふふ……こんなわらうのはじめて……おなかいたい…。というか、セイ必死すぎてむり、もう立てない……。なんで……そんな目立つ格好しておいて…。(舌が回らず拙い口調でそれだけ言えば、ぷるぷる震えるだけの塊が爆誕。)

穿月桐静 ♦ 2021/01/11(Mon) 16:31[33]

(二人からして丁度バランスの取れる角度。そんな提案が彼女から出たのがむずがゆくてどこか嬉しい。――と、思っていたのもつかの間だ。)いやいやいい、いい!帰ったらしばらく俺のお古あげるし、すぐ頼むから!お願いだからね?!(彼女が冗談を言っているのか本気で言っているのかはこの状況下では重要視されるべきではなく、いずれにせよひそひそされているということが大問題なのであって。悪目立ちは格好だけで十分事足りていると言わんばかりに彼女の体を垂直方向に戻そうと。焦り顔の男は一応心配もしているのだ。彼女の命の心配である。変に目立つのは得策ではない、と密やかに。)え、あ、っ……あー……(してやられた、と思うの簡単だが、それを飲み込み理解するのには案外時間がいるものだ。まして笑い声をあげた少女の前に憐れな青年はあまりに無力。もにもにと口元をまごつかせて、)もー……!(惨めな一言と共に、彼女と一緒にしゃがみ込もう。はたから見ればそれはもうはた迷惑な客である。震えるまんじゅうになってしまった彼女のつむじを苦し紛れに突いてみるがそれくらいだ。怒らねばならぬ場面だろうか?さりとて青年は仕方なさげに笑っていた。)楽しそうで何よりだけど俺は複雑だよ……楽しいならいいんだけどね……(理由はそれだけ。彼女が楽しいなら、それはそれでよかったよだ。)いったん休憩!お茶にしよう(周りの視線にもいい加減殺されそうだし、彼女はしばらく再起不能そうだし。そう宣言すれば抵抗がない限り幼い子供にそうするように抱え上げてしまうつもり。もう目立つなんて今更だ。)

卯木祈織 ♦ 2021/01/11(Mon) 22:06[34]

(術式やら縛りやら委細知らぬ女からすれば、目立つ格好をしておいて視線が気になるとは微塵も思わない。周囲で聞こえるひそひそ声はBGMほども気に留めちゃいないし、百面相している彼に視線と興味が釘付けで。慌てふためき、現状を理解するまでの混乱、とどめに世の理不尽を嘆くような声をあげたのまで見届けたら、喉が一層ひくついて呼吸困難手前。生まれ落ちてこの方はじめての衝動は制御がままならないったら。)セイが寛容なひとでよかったわ。叱られることも視野に入れてやったけど、ふふ……ふ、っ。(赤いショールと白いニットのめでたい紅白カラーの饅頭が、足して二で割って彩度を落とした色の髪を揺らす。いまだ鎮まりきらないのを示唆するように時折震えるせいだ。抱き上げられたことへの驚きはその衝動を上回らないのか、あるいは抱えられることに慣れたからか。はたまた相手によるのか。身を任せるついでに、彼の耳朶にそっと囁く。)生きてるのって、楽しいのね。(楽しいならいいと言ってくれた。しょうがないなと言う顔をしながらも笑ってくれた。許される心地はお砂糖より甘ったるくて居心地よくて、「知らなかった」とはにかみ笑いが零れてゆく。)いいよ、どこでも。(ブレイクタイムの提案にいつも通りの口上を返して、それから。)どこでも連れて行ってよ。(彼とならどこに行ったって楽しい。そう確信したから、凝る眦だって宇宙を夢見る子供みたいに蕩かしてやまない。)あ。帰りでいいからファストフードのお店行きたいかも。冷たくなってないポテトが食べてみたい。

穿月桐静〆 ♦ 2021/01/13(Wed) 17:37[35]

この場合は叱ってくれる人の方が優しいと思うよ……はーぁ、俺甘いのかなぁ……(よいしょと抱っこするこのお饅頭はいつになったら大人しくなってくれるやら。一番近くにいてこちらの様子を窺っていた店員ににへらとにがくわらって頭を下げ、よしよしをするていで彼女の頭をぽんぽんたたいた。この状態で仕掛けてくる無謀な刺客はいないと考えたい。彼女しか守れないだろうから。)……人生苦もありゃ楽もあるってね。楽しいの次は恥ずかしいも覚えてくれると俺が嬉しいかなぁ。(ココアにはちみつ練りこんだみたいな、心底今生まれましたみたいな味をくすぐったく聞く。それはよかったと言えるほど薄情でもなく。相槌に留めるにはひねくれていて。飾りまみれの耳を揺らしてはははと乾いた笑みを響かせようか。)……君のいきたいところなら、どこだって。(結局着地したのはこんな言葉。甘いのか薄情なのか、それとも本当に寛容で優しいのか。それは彼女の感じ方に任せよう。それこそ己が決めるものではなく、己という人間を見た彼女が決めることだ。彼女を抱っこしたまま歩くショッピングモールはそこそこ人がいて、そこでどちゃくそ目立ってはいるが、どうやら敵さんも今日は空気を読んでくれるらしい。自分より頭一つ高い世界を見ているであろう彼女を視線だけで見上げて。向かう先を変えた。)じゃあ今からそっちいこう。小腹空いたし。ファストフードのフライドポテトはお店で出てきたのをそのまま食べるのが一番ウマいんだよ。(彼女と荷物を抱えて、フードコートに進んでいく。緩やかな足取りで、緩やかな今日を歩いていこう。)ポテト、揚げたてだといいね。(そんな穏やかな言葉と共に。)

卯木祈織〆 ♦ 2021/01/13(Wed) 23:20[36]

うん。(甘いのかと、ぼやきにも似た言葉へ無情な二音を返す。叩くというよりか撫ぜるみたいな手つきに優しさを感じないでもなかったけれど、そこに食いつくのも野暮だろう。だから、守られている立場と知ってなお彼に幸あれと祈りを込める。せめて優しさに自覚なく人に甘いこの人が傷つけられることがないように。)なら苦もあったのかな、わたしも。今は楽しいことばかりだから……そのうちズドンと落っことされたらどうしよう。……えー、「前向きに検討します」。(便利なビジネス慣用句を引っ張り出して逃亡を図るしたたかさばかりが大人と似る。困っているのに見捨てられない甘さに付け込んでいる、そんな己のろくでもなさに比べれば甘いし寛容だし優しい。他の誰かと比べて薄情だろうが構うものか。小学校さえ卒業していない女でも今日まで生きて来ただけあって悪運の持ち主である。少なくとも食べたらヤバいものを察知できる程度には。)わーい。…ふ、セイってばファストフードのプロみたいね。じゃあ、今日はお店でそのまま食べよ。そうしたらおいしい。でしょ?(抱えられたまま、受け売りの知識を転用してこの後の予定を立てる。揺れが子守唄みたいにちょうどよくても睡魔は本日休業らしい。一向に来ない眠気でぱっちり開いた瞼と瞳で見つめる視界と未来は広い。呪術師やらXやらが遠い世界にも思える言葉に「それは、」と想像の翼を広げてみよう。)最高だわ。(投げるように渡されたファストフードの袋、その中身は子供時代大事な食糧だった。時にはそれで身体を壊したこともあるけれど、そんな記憶は今日覚えた“楽しい”で塗りつぶしてしまえばいい。抱えられたまま足をぶらつかせ、過去に舌出し小さく笑った。)

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