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【1】(うつろの卯の花、いまだ芽吹かず)

卯木祈織 ♦ 2020/12/27(Sun) 21:27[1]

…白い服が多いなあ。(往来する少女たちの姿を見てなんとはなしにそう思う。定められているわけでもあるまいに、Xの代理主導者の娘の影響だろうか。かく言う己も、羽織った紅色のショールの下は白いハイネックのワンピースに身を包んでいるから大きなことは言えないのだけど。それにしても皆一様にせわしなくあちらこちらへと移動する。そういえば各自隠れているようにとのお達しがあった。特に逆らう理由もパッションもないので「はーい」と二つ返事で頷いたことまで思い出せば、職員に見つかって小言を食らう前に自室を目指そう――としていたのだが。日頃の限定的な行動範囲が裏目に出たというべきか、初めて使う通路を通った結果、なんと住居たる二階建ての建物内で迷う失態を演じている。挙句の果てには、その見知らぬ廊下の壁に打ち付けられた古釘に髪をひっかけている有様である。腰まである長さを結んでいなかったのが災いした。)ええー…。泣きっ面に蜂だわ。(今様色の瞳の涙腺などとっくの昔に干からびているくせに嘯く唇。頭を振ったところで桜色というにはくすんで濃い髪がまばらに揺れて終いだし、なんだかちょっと疲れてしまった。ひと房だけ長い前髪が顔にかかって鬱陶しいが、それもきっとあと数分経てばどうでもよくなるに違いない。言いつけのことも、侵入者のことも。引っ掛かった髪をそのままに、女は気だるげに息を吐いた。)

穿月桐静 ♦ 2020/12/27(Sun) 22:32[2]

……思ったより人が多いな。(――さーて、今回のミッションは~?なんてそんななんてことないノリで告げられたような気がする。二級昇級への推薦の話だ。あまりに突然の話にぽかんとした男を待ってくれる担任でもなく。あれから数えて××目のサンドバッグをゴミにした夜、男は万全の態勢で任務に赴いた。金色のウェーブががったウルフカットのウィッグに、赤と緑の大小のエクステ、右橙に左紫のカラーコンタクト、黒い学ラン黒いシャツ白いネクタイには青い石の埋め込まれたネクタイピン。そのほかにも口元には二つのピアス、舌にも一つのピアス、揺れる金色から覗く耳にもたくさんのピアス。見た目ばかりガチャガチャとやかましく、男自身はひどく凪いだ様子で件の施設を見上げる。中の音からするにもう侵入はバレているのだろう。溜息は諦めではなく、作戦変更の仕切り直しとして。)――「水仙」(途端、男の体は地面に向けてぐらりと倒れる。あぶなげなく、傍から見れば寝そべった形になり、―そのまま、施設の壁を歩いて上った。さながら壁が床のように、派手ななりしてゆっくりと静かに二階への移動を果たすのだろう。さてあとは手頃な窓を割って侵入を果たせばいい。そう考えていた折、)……あ、(阿呆面のサンタクロースは、その鈍い紅と邂逅する。角度のズレた世界、透明な仕切り越しで。)……動けないの?(そのまま窓ガラスにしゃがみ込んで尋ねた。場違いなくらいの静かな声は、ただただ彼女がそこにとらわれているように見えたから。)

卯木祈織 ♦ 2020/12/27(Sun) 23:50[3]

(良く言えば寄せては引くさざ波、悪く言えば波間を漂うクラゲ。そんな具合に主体性も思考も薄っぺらい女であるが、さすがにXの面々の顔は覚えている。名前はちょっと怪しいけれど。そのくせ色違いの双眸を見つめ返すだけ。侵入者と踏んでも騒ぎ立てやしない辺り、常識はとうの昔に息絶えているし、寧ろ淡々とした口ぶりで頷いて見せた。)うん、大正解。釘を打ちっぱなしにすると危ないという事例の証明です。気分で言うのなら標本秒読みの昆虫。(「しょうがないなあ」と呟けば、力を込めて空いている手で髪を引っ張ってみる。ぶちぶちっ。数本は千切れたものの、まだ残る感覚に肩を竦めてみせたり。ああでも侵入者なら刃物とか持ってたりしないかな、なんて。期待というにはやや物騒で、懇願というには淡すぎる思いは、聖なる夜なら叶うだろうか。)サンタさん、今年のプレゼントはハサミがほしいです。ナイフでも可。(そうは言ってもなければないでなんとかするはず。たとえば割れたガラスの破片とかで。)ね、(黒の学ランを指さし、唇を端だけ吊り上げる。真顔よりマシ笑み未満といったところ。)プレゼントを配る方のサンタじゃなくて、お仕置きする方のサンタの方だった?(別に本気でサンタだと思っているわけじゃない、冗談の類だ。だってきらきらして見えたから。色彩に満ち満ちたパレットのような彼に小さな関心が芽生えた、かもしれない。)

穿月桐静 ♦ 2020/12/28(Mon) 19:25[4]

(髪の毛が立てる悲鳴にカツラの男はうわぁ、と引いた顔をした。眉を下げて「痛いでしょ」と零すさまは、まさしくだからやめなよと言いたげなもので。音だけで周囲を警戒してはいるが、事前に人通りの少ない場所を侵入経路に選んだせいか周りは静かだ。)……与えられるものなんて何もないよ、俺にできるのは盗むことだけ。(まだ反転術式使えないし、と心の中でだけ付け加えて。声を張らずとも普通に会話する調子でその言葉は彼女に届くだろう。少女という年齢ではあるけれど、昨今サンタクロースの正体なんぞは幽霊なんかよりはっきりばっちりしている。彼女が本当に信じているとは信じずに、肩を竦めて応えた男も常人というには逸しているのかもしれない。)ねぇ、……これ、開けてくれたらさ、釘にお仕置きすることはできるんだけど。(そろそろ一回術式を解いておきたいところ。今様色の瞳をずれた世界から見下ろして、ワンチャンを狙ってコンコンと窓ガラスをたたいた。金髪にオッドアイの男は、まるで普通の人がそうするように、真顔とは程遠い苦笑を見せて。――純粋に、その髪を解いてあげたいと思った。彼女が誰であれ、生きている人間なのであればそうするべきだ。)

卯木祈織 ♦ 2020/12/28(Mon) 21:49[5]

(痛みはいずれ引くし、そうでなくば慣れるだろう。慣れたらどうでもよくなる。だから気にしやしないのだけど、彼のような反応も少なくない。首を傾げて見せたのは、そうでもないという意志表示のつもりで。何にせよ、窓の向こうの人は“いい人そう”である。Xの信徒はピンからキリまでいるため色んな人間性を見てきたが、人の痛みを痛いと思えるのはまともな人間が多い。なので、まあいっか、と。もとより熟考などしない娘は悩む素振りを見せた二秒後には、ためらいなく窓ガラス脇の鍵を回す。そこに手を伸ばすまでにまた髪が二、三本千切れたが構うことなどない。ガチャリ。)ようこそXへ、サンタじゃなくて怪盗のお兄さん。(開け放った窓から招き入れた。その侵入者の与えるのではなく盗むという言はまだ覚えているので、台詞に則って言葉を返せば小さく一礼――しようとして失敗。後ろで主張する釘に阻まれる。)えーと。侵入タイムアタックとかしてたらごめんなんだけど、釘にお仕置きしてくれるのはまだ有効かな。全然取れなくて。あ、ちなみにお礼の道案内とかはできないのでご了承ください。わたしも迷子だから。(今日の騒ぎの要因だろう相手にも至極のんびり自らの現状を吐露してみせた。「ところで、」と口火を切ったのは、気まぐれにも似た興味だった。)盗むに値しそうなお宝なんてここにあった?就学前ぐらいからいるけど、お目にかかったことないわ。

穿月桐静 ♦ 2020/12/29(Tue) 20:53[6]


(今度瞳を見開いたのは、そのためらいのないてつきにで。不用心というにはあまりに純粋に、まるでなんでもないことように開けるものだから。)……大層な言い方だなぁ。いいよ、泥棒とかで。(ヘタレた顔で冗談めかす。ヒーロー気どる気も正義を謳う気もなく、ただ任務でここにいる。派手な役は柄じゃないと、見目は派手な男は窓を開けてすとんと落ちるように中へ。窓枠を掴んで術式を解除すれば、危なげなく着地する。これでようやく、同じ目線だ。)もちろん鍵のお礼はする。さっき動こうとしたでしょ、じっとしててね。ああ、毛束持ってて。痛いかもだから。(そもお礼をするのは自分の方だと、不思議な謙虚を晒して首を振る。前提を抜けばある意味微笑ましいだろう会話を経て、男は釘の刺さった壁を呪力を込めた足で蹴り抜いた。轟音、のち、)いるんだよね、これが。うちの先生はお姫様だなんて気取った言い方してたけど。……ちょうど君くらいの女の子、生贄になる子知らない?(音に見合わぬへらりとした顔で。壁から物理的に離れた釘を持ち上げて、丁寧に髪の毛を解していこうか。─こちらの武力はチラつかせた。信者・もしくは雑兵なら反抗しないでところ。もし、ターゲットなら、いや、)……君がお姫様じゃなくても、盗んでこうか?(なんて。気がついたら釘をいじくりながら言っていた。)

卯木祈織 ♦ 2020/12/30(Wed) 00:12[7]

ふうん、全然忍ばない泥棒もいるんだ。(相手の風貌も身軽さも物珍しく、“どうでもいい”が少し遠ざかる。素直に後ろ髪の束を持ち上げて「面倒だったらバッサリどうぞ」と、女子にあるまじき言動は健在だったが。)え。(背後の壁をぶち抜く轟音にぽかん顔。次いで煙る睫毛がゆっくり瞬きを繰り返すも現実は変わらない。瞳がまんまるに見開かれ、思わずと言った調子の「…すごい」が零れる。心なしか頬の血色も増したけれど、彼の質問にまたぼんやり顔へ。)…何人かいるけど全員言う?(蹴りひとつで壁を破壊できることには驚いたものの、危機感を母体に置き忘れてきた娘は威力と脅威がイコールで繋がらない。ただ生贄候補たちの名前を指折り数えて挙げて終いだ。けれど思い付きみたいな誘い文句には疑うことなく、微かな、本当に小さな笑声を落とした。)ふ…。……泥棒さんは、廃品回収が趣味なの?わたし、ゴミらしいから。持って帰ってもいいことないよ。(意志を語ることなく利害を説く。どっちでもいい、昔からそう。だから眠る何かを揺り起こすような衝動だって、きっと気のせい。それに、)わたしも生贄ちゃんの一人だから、連れて行ったら怒られちゃうわ。(すっかり忘れていたとばかりに手を叩き、自己紹介をようやくここで。)えーと……あ。卯木。卯木祈織です。よろしく……って言ったら、変?(空っぽなのは意志か頭ごとか。たまに己の名前の輪郭すら見失う。)

穿月桐静 ♦ 2020/12/30(Wed) 11:18[8]

(自分が派手ななりをしている理由と同じように、彼女が知るおひめさまの名前もいくつもあるらしい。いくらか弾んだような声色に、お、と思う一瞬。さながら人形のようだとも思った少女は、やはり生きた人間であるようだ。その口ぶりには苦笑をするばかりだけれど。)残念ながら、生きてる限りは廃品にはなれないよ。誰が言ったのか知らないけど、にんげんはにんげんだ。特別優れた魂も劣った魂もない。(困ったふうな表情で説いた言葉はあまり優しくも酷くもない、と思う。ようやく釘から髪の毛を解ききった頃合に自分もそうだと聞けば目を見開くぐらいはした。手元の釘を落とすほど驚かなかったのは、もしかしたらと思ってたからかもしれない。)……ううん、変じゃないよ。少なくともこれから脱出するまではよろしくしてもらわなきゃいけないからね。えーっと、……祈織さん、でいいかな。(ゆったりゆったり、強盗にしてはのんびりとした口振りで。「俺は、」そう言いかけた時、男にしか聞こえないであろう声を聞いた。耳障りで不快な、異形の声がこちらに向かってきている。如何せん数が多い。)……うわぁ、のんびりしすぎたな。走れる?行こう。(流石に表情も引き締まる。彼女の背を軽く押して、今度はなにかに引っ掛からないように通路の真ん中を走るように促そうか。)

卯木祈織 ♦ 2020/12/30(Wed) 16:51[9]

…なんにも、できなくても?(素朴な疑問の答えが可否のどちらであっても、感嘆詞ひとつで済ませてしまうに違いない。しかし壁の向こう側からの侵入者との出会いは、更地のこころに目に見えぬ何かを播種してゆく。)……泥棒さんは難しいことをたくさん知ってるのね。(情緒が5歳児の上、正しさを学ぶ環境などXにない。ほどいて貰った礼も「ありがとう」と極めて端的だ。底辺の社交性で自己紹介を済ませた後。「じゃあ、よろしく」とか「うん」とか言いながら、流れで彼の名前を聞こう――とした矢先。彼がまるで形になった不運を見たとばかりに声をあげれば、もう一回ぱちりと瞬きをした。やはりそのかんばせに動揺の色はなく。無感動に首を傾げてハテナマークを頭上に飛ばす。とりあえず言われるまま走り出すが何せ緊張感がない。やる気もあんまりない。そもそも彼が警戒する“何か”もわからない。)走るの苦手だわ…。胸が邪魔で走りづらいし痛い……トカゲのしっぽみたいに取れたり再生したりできたらいいのに…。(ぼやく割に走るペースは落ちることはない。ないない尽くしの女がにとって数えられる程度しかない平均以上のもの。身長と女性らしいふくらみ。それから体力。そのおかげで疲れたの一言を発せずに指示通り屋内を駆ける。数分あるいは数十秒そうしたのち、「ところでわたしたち、なんで走ってるの?」と今更な質問をぶつけてみようと。)

穿月桐静 ♦ 2020/12/30(Wed) 22:39[10]

なんにもできなくても。君はにんげん、ひいてはひとのかたちから逃れることは出来ないよ。(人の形。それは字で当てればにんぎょうとさして変わらないだろうが。「もっと聞きたい?」とへらりと眉下げて笑う男も、無感情に見えて漣を立てるような彼女も、等しくにんげんだ。─けして追いかけてくる異形とは違う。)それはそれで怖いからやめようね……抱えようか?抱えよう。もうセクハラとか言ってる場合じゃないや。(1分程度だった頃だろうか。決して彼女が遅い訳では無いが、追いかけっこを続ける訳にも行かない。抵抗がなければひょいと彼女を横抱きにしてしまうつもり。なぜ走っているのかと言われれば、)雑魚を一気に片付けるため、かな。そろそろ──よし、ビンゴ。(辿り着いたは袋小路。彼女の手を引くか、抱えてするかはさておいて。)「石楠花」(壁の亀裂から斜度を盗り、空中を駆け上がっていく。天井に手を着いて今度は天井から盗もう。広範囲の呪術はそれ相応の力がいる。素早く右目のコンタクトを取れば、焦げ茶色の裸眼が見えるだろう。コンタクトを握り潰して。)─「水仙」(感覚からすればエレベーターに近い。引き付けた蠅頭や4級を酷く押し潰しながら、にんげんたちはゆっくり地面に降りていく。)

卯木祈織 ♦ 2020/12/31(Thu) 00:53[11]

(彼の言うことは難しい。だから聞いていると、閉ざしたものが内側からこじ開けてこようとするみたいに頭の奥がガンガン痛むのだ。けれど「…また今度ね」と先送りにしたのは、なにも嫌悪感や不快感からじゃない。覚えるのが苦手だけど、「忘れないようにしたいから」。ちょっとずつなら覚えていられるだろうか。痛くなるのに忘れたくないなんて、変な話。)便利そうなのに。あ、でも切断面が広すぎて失血死しそ、うっ!?(己の口から年に一度も出ないだろう大きな声が。)へえ……抱き上げられたのは初めて。ね、今度あれやってほしい。俵みたいに担ぐやつ。(要望は手が空いていたほうが動きやすいだろうと言う気遣いが小数点以下、なんとなくの好奇心が九割以上。――袋小路に追い込まれたと思いきや縦横無尽に動き回るアクションが始まってしまえば口を挟む隙はない。彼の向かう方向に目を凝らすだけ。勝利を果たしたことも知らぬうち、久しぶりの地面に足をつける。のち真顔のまま彼を見つめて暫し。)何か……ううん。何がいたの?片付けるって表現をするほどいるんでしょう。何も見えないけど。超能力とパントマイムじゃないってことだけはわかるけど。(この瞳が“何か”を映すことはないとしても、彼の真剣そうな顔つきは本当だと勘が告げる。)

穿月桐静 ♦ 2020/12/31(Thu) 09:29[12]

(申し出を断られて凹むようなタマであれば呪術師なんてやってられないと思っている。「そっか」と答えて続いた言葉に「そう?」とまた困った顔をしているのは、大したことは言っていないからだ。受け売りだからお師匠が喜ぶだろうと心の中で密やかに思う。どこか他人事なのは、自分で成したものが何もないと、そう思っているからかもしれない。)ごめんねぇ、訴えないでくれると嬉しい……いや、女の子にそれをするのはね、流石に気が引けるから。肩に乗っけるとかなら。(周りに比べたらタッパはそこまでだが、ウェイトはあるし体脂肪率も一般で言えば自慢できるくらい。どこか呑気な会話をしながら、追い込んだと思わせて、なんて古典的な手を使ってみよう。コンタクトを取るためにぎゅうっと彼女を抱き寄せてしまった。いい匂いしたなぁと、自分にだけ聞こえる阿鼻叫喚の中で思うのだ。)……うん、自己紹介がまだだったね。俺は穿月桐静。呪術師だよ。(ーーすっかり地面に降り立ってから、少しだけ戻って、綺麗な床に彼女を下ろそうか。)さっきは、……そうだな、異形の化け物に追いかけられた。信じられない話だろうけれど、ここにはそういうおかしなのが群れている。(さっき、忘れない様にと彼女が言ったから。男はゆっくりひとつずつ話をしていこうか。膝に手をついて目線を落とすのは、子供を相手にするような仕草で。)どこか痛かったり、気分が悪かったりしない?

卯木祈織 ♦ 2020/12/31(Thu) 17:50[13]

…何を?未成年略取・誘拐罪?(訴えないでと言われ、不思議そうに首を傾げる。セクハラと思ってもいなければ仮にされていても気にも留めまい。気遣いゆえの却下もそう。今はそれより、不意に近くなった距離から顔を覗きこんで、一言。)茶色。さっきの色も綺麗だったけど、それも綺麗ね。(自身の目を指さし瞳の色のことだと言外に告げる。つくりものの橙も紫も、その下にある自然の色も等しく美しい。間近で何かが起きていると分かっていても、僅かに表情を柔らかくしてみせた。)うが……とーせー……………じゅじゅ……?(深刻なエラーが発生しました。言動すべて一時停止後に「セイは」と仕切り直すも、呼び方から暗記を諦めたことは言うまでもない。)叙々苑じゃなくて……なんだっけ…。ナントカ師として戦ってるってこと?へええ……おばけの噂、本当だったんだ。(行ったこともない焼き肉屋の名以外はズタボロの記憶力を露呈し。だのに“信じられない話”は平然と受け入れたのは本能――というより、ゴミをリサイクルどころかゴミでないと説いた人間性を見抜いてか。ふるふる首を横に振って無事を示す女は脅威が去ったと知っても距離を図ろうとはしなかった。)ううん。平気。…セイが頑張ってくれたから。ありがと。あ、お礼のちゅーでもする?(子供向け絵本の内容を真に受けて成長した、17歳児な娘こそ訴えられて然るべきかもしれない。)

穿月桐静 ♦ 2020/12/31(Thu) 21:32[14]

(追加の罪状が少女の声でグサグサと刺さる。空虚な笑みを浮かべながらもこなすことはしっかりこなせるのだから、指導者には改めて感謝をしなければ。近距離の世界でかち合う今様と焦げ茶色に、彼女が言わなければきっと何も気付けなかった。)……俺は、君の方が綺麗だと思うよ。(足元で無残に潰れていく有象無象には無い色。柔らかな赤を、笑みを、見つめあって心底思った。その後これもセクハラではと思って凹みはしたがそれはそれ。)…………うん、俺のことはセイでいいとして、じゅじゅつしだけ頑張って覚えよっか。営業妨害だからね。ちゅーもなしね。これ以上世間様に後ろめたくなりたくないからね。(前言撤回。柔らかいというか何も考えていないだけなのかもしれないと思いつつ。名前に括る理由もなければあだ名は受け入れ、大事な話だけ繰り返そう。じゅじゅつし、じゅじゅつ、彼女が覚えられるまで何度でも。)身体が平気なら良かった。……悪酔い?乗り物酔い?みたいに呪い…化け物酔いしちゃう人もいるから。でも、今大丈夫でも、気分が悪くなったらどうにか教えてね。どうにかするから。(細かい説明を諦めるのは早かった。周りに愉快な仲間たちが多いせいかもしれない。さて、来た道を引き返して途中で別のルートへ逸れたら、またゆっくり対話を始めようか。)祈織さんは、呪いってどんなものだと思う?(漠然とした問いかけだ。)

卯木祈織 ♦ 2021/01/01(Fri) 01:43[15]

(かち合った視線と言葉を嘘だと嗤う気は起きない。世辞だとしても生まれてはじめて貰った言葉は、掻き消えることなく跡を残す。疲れているような声音の彼の機微は全く意に介していなかったが。)言いにくいのに。やたら略す風潮の世の中でもじゅ、じゅつし?は略せないのね…。(何とか言い切れた達成感の鮮度は短い。付き合いが長くなりそうな言いづらい単語だと知ればほんの少し眉を曇らせる。「もう既に後ろめたいことがあるの?」と元凶の大方を担う当人が嘯いた。刷り込み宜しく繰り返され続ける単語にじとりと湿度のある視線を送って、足取りだけが止まらず進む。)はい。(YESの意味ではない。発言の許可を求める二音、挙手付き。)セイ先生、気分が悪いかどうかに気づける自信がないのでわたしが気分が悪そうだったら教えてください。(いつからか、痛みや不快感に鈍くなった。故の発言だったが如何せん言葉が足りない。思い至れば「そういうの、よくわからなくて」と一応の釈明を試みようか。一通り説明が済んだら、雑談のように向けられた問いに答えようと口を開く。)そうねえ……軛、かなあ。物理的にも、心理的にも。忘れても消えないもの。(滔々と紡ぐ唇と裏腹に、思い出しそうになったものは頭の中で霧散し掴めない。ゆるり頭を振れば、代わりにもう一つ続けよう。)思い込みって説もある。(身も蓋もない回答を。)これ、禅問答みたい。

穿月桐静 ♦ 2021/01/01(Fri) 14:22[16]

略すと語弊が生まれるから仕方ないんだ。早口言葉する?呪術師癒術師風物詩。(冗談めかしてもどことなく感じるいけないことした感が消える訳では無いが。ぐっさぐさと刺さってくる言葉は緩和される─でもなかった。もう1ヒット食らってハハ、と乾いた笑いを零すんだろう。)はい、祈織さん。(挙手が付いたのであてた。)それは分からないで片付けていいの?(マジモンのツッコミが出た。が、考え直し。「呪いに満ちてるわけだから……」「そういうこともあるのか……?」ブツブツ独り言を呟くが真偽の程はここから出た時にしか分からないだろう。ともかく、自分は呪術師であり、彼女を連れ出すのが目的だとそこが押えて行ければOKだ。人も呪いも気配を他所に持っていかれているのか、それとも潜めているのか。不気味な静寂の中で。「難しい言葉知ってるね」なんて言いながら雑談は続く。)……うん、これはだいたい禅問答だよ。君と俺の間にある答えや、その差異にさして意味は無い。君が、君との答え合わせをする為のもの。俺にとっては、君を知るためのもの。(「まぁ俺そんなに偉い人じゃないけどね」とへらり笑みをくっつけて。自然な動きで彼女を後ろに提げて前に飛び出した雑魚を蹴り飛ばした。鉄板入りの靴は呪具でもある。壁にぶち当たってつぶけるそれを素通りする男の表情は変わらずに。)

卯木祈織 ♦ 2021/01/01(Fri) 20:57[17]

誰にでもできると思ったら大間違いよ…。(数秒前、ものの試しとやってみた早口言葉は見事に撃沈した。ついでに六文字目で舌も噛んだ。件の感覚の鈍さによりさしたるダメージはないが。)?痛くないほうがいいから、いいんじゃないの?(ノータイムの質問返し。痛い苦しいと喚けば怒られるから、ない方がいいはずだと信じてやまない。いつどこでの経験かは覚えていないけれど。)…言語化は得意じゃないわ。呪い?とやらも見えない、どんな形のモノなのか想像もつかない。呪術師の人がわたしを連れ出す目的も、あなたが本当に偉い人じゃないのかも、知らない。(相変わらず鈍色の赤の眼は景色と彼しか映さない。一度瞼を閉じて開いても、広がるのは変わり映えしない世界だ。)ただ、(前に出ないように位置取りされたことには気づいた。“呪い”の被害に遭わないようにだろう。)セイが今、わたしを助けてくれていることはわかる。から、わたしにとってはいい人に見える。(地面に降り立ちつま先立ち、彼の顔をじぃ、と覗き込むように背伸びして。)いい人というか、お人好しというか。(最後の最後で台無し感漂う台詞を述べる中、人の声が聞こえてくる。徐々に近くに。)そろそろ部屋にいないとバレて怒られそうね。なら、セイについていったほうがいいかなぁ。……ごはんって三食出る?(生きるに必要な最低限のことがあればいいやと聞いてみた。)

穿月桐静 ♦ 2021/01/02(Sat) 22:01[18]

痛みは必要だから感じるんだよ。最悪死んじゃうよ?(ノータイムのラリーの応酬に終わりはあるだろうか。邪魔者が入ったまで続いただろうか、さて。認識のすり合わせはおそらくその後も何度だって繰り返すんだろう。呪いについての問答もそうだ。彼女のお師匠になれるような力はないが、問いかけることは自分にとっても必要なこと。彼女を知るためのこと。)奇遇だね、俺も。(苦笑でそんな相槌を打ってから、彼女の言葉を噛み締めよう。その言葉は己が形として見える呪いなどには邪魔させない。ぐちゃぐちゃになったそれは一瞥するに留めて。彼女の今様とマイナス90度に近い斜度で見つめ合う。手厳しい言葉に苦笑したようで、そうじゃない。)……相対的な理論だね。情報証拠だけじゃ言いきれないよ。……実際俺は、ただの偽善者だ。(冗談めかすように言った。人の声は彼女と同じように聞こえていて、なんだか呑気そうな言葉に小さく乾いた笑いをこぼす。)俺もうとっくに着いてきてくれるもんだと思ってたや……。3食出るし、外にも出放題…は、言い過ぎだと思うけど。(要求の薄さに驚くことはあれど、彼女を抱え直そうとするのに躊躇いはなかった。人の音は近いから、加減をしていられないのだ。)─倒錯×芹演法、「石楠花」(位置について、よーいドンで足元に作ったスターティングブロックもどきを蹴り出して駆ける。廊下に、誰かが声を荒らげた。「侵入者だ!!」)

卯木祈織〆 ♦ 2021/01/03(Sun) 04:31[19]

(最期を迎えたとして何の不都合があるのか。身寄りがいるわけでも仕事をしているわけでもない、迷惑は掛からないのに。)…駄目なの?(瞳にまじりけのない疑問が浮かび質問を。この辺りの理解、常識アップデートにはしばらく時間が掛かりそうだった。Xの中と外、隔てるのは外壁一枚。されど世界観は随分違うらしい。呪いの可視不可視によって、見えている景色が違うように。今も自分に牙を剥く可能性があるモノが祓われているのだろう。)そんなこと、(状況だけでも助けられているのだからと言い募ろうとして、しかし安っぽい否定しか浮かばない。食傷しそうな語彙に、結局口は閉ざされた。)そう……勉強になります。にしても、セイは物事をあえて難しく見ようとするのが得意ね…。偽善も独善も善のうちだと居直っちゃえばいいのに。(無遠慮な物言いを後悔するにはまだ心のパーツが足りていない。「あ、許可取らなくてもついていってよかったんだ」と続けたことから滲み出るように、行間を読む能力も欠けているものの一つだ。)それなら…、って、わ。お荷物カッコ物理展開再び。(もう一度抱えられたことに異論はない。が、)安全運転でよろしくお願いします、おにーさん。(敬礼の真似事をして宣えば、落ちないように腕を回しておこう。二度目でも科学的法則を無視した眺めは面白い。術式の存在さえ知らないものだから、ジェットコースターとはこんな感じかとお気楽に想像を馳せてみたり。――Xの敷地を後にして、ある程度の安全が確認できた頃。よくできましたと言わんばかりに金色のウィッグごと「いいこ」と彼の頭を撫でた。この暴挙、たまにXの信徒たちが小さい子供にやっているのを見たことに起因する。何か達成したら撫でる、単純な回路の行動原理は定着しやすい。こんな益体もないことに限って。まあ、気が済んだら再び荷物から同行者に戻り歩き出すだろう。「そういえばどこに向かってるの?これ」と、何度目かの今更な質問をする未来はすぐそこだけれど。彼の胃に多大なる負担を掛けることになりそうな日々は、こうして幕を開けた。)

穿月桐静〆 ♦ 2021/01/03(Sun) 21:03[20]

(最期を迎えれば全てなくなるとわかっているのだろうか。それは己、すなわち自分自身に対する認識の違いだと彼女の一言で分かった。)駄目だよ。(だからやっぱり、間を置かずに言い返そう。これは今否定しないとダメな問いかけだと本能が察していた。それはきっと、男がそう考えたことなんてなかったからだ。死ぬほど辛い思いしても死にたくなくて生きている。邪魔者を蹴り飛ばし殴りつぶしながら。)まあね、自分でもたまに思う。……でも、世の中まがいものには必ず何かが降りかかる。それは制裁だったり天罰だったり呪いだったり様々で、俺たちはそういうひずみをなくすために呪術師で……いい人であるんじゃないかと、思うんだよね。(まるでマッチポンプのように。影があるからこれは光であると証明できるように。へらりとした苦笑は話の区切りとして。二回目持ち上げた体躯に心の中で信じてもないお釈迦様に祈るのだ。アーメン。)もちろんです、お客様。……あ、喋ったら舌かむだろうから喋らないで答えてね、近いね?助かるけど、助かるけどね?(おお、マイティーチャー。おふざけでからかったりはどうかしないでほしい。爆速で廊下を駆け抜けて、最後は二階の窓から大ジャンプ。ここばっかりは自分からも彼女を抱き寄せよう。不可抗力ということで赦して女神転生。)――「石楠花」(ジェットコースター並みの鋭さで滑り降りる感覚はいかがだろうか。彼女からすればそりにでも乗っているような感覚か。―ともあれ、本日の脱出劇はこれにて終了とはならない。帰るまでが任務ですので。塀からだいぶ離れた路地で彼女を降ろし、人ごみに紛れながら言うんだろう。)……言わなかった俺が悪いけど、俺以外にほいほいついて行かないでね……?(乾いた笑いは何度目か。手を繋ごうといえば断られるだろうか。大活劇の一幕目は、なんとも間抜けな後ろ姿で幕を閉じていった。)

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