bbs topadmin

【2B】(泡沫の現)

乙無白亜 ♦ 2021/01/14(Thu) 00:41[39]

(問。うさぎのいる場所はどこでしょう。)どうぶつえん……?(返された答えを復唱すると、ふれあいコーナーに行ってみなさいと言葉が続く。他にもカフェなんて柄じゃないでしょ云々となにかを言われていたような気もするが、感心がないことは基本憶えないむすめである。ゆえ「動物園にうさぎがいる」とだけ情報を仕入れたむすめは彼に会うなり開口一番こう告げた。)となり。 うさぎ、みたい。どうぶつえん、行こ。(──斯くして。冬の淡い日差しが降り注ぐ正午、先日の買い物にてピッタリサイズで買い揃えた白いキャペリンハットとフォックス型の黒いサングラスを身に付けたむすめは、正門前に停めらた補助監督の車のなかで待ち合わせしたひとを待っていた。ムートンブーツとお揃いの色したダッフルコートの中には着易さを理由に適当に選んだシンプルなニットワンピースを着込み、これにて格好は漸う脱・カオスとなったはず。軈て彼が一方的に取り付けた約束を守ってここにきてくれたなら、車は目的地の動物園を目指して進むはず。その道中、)となり、となり。 でーと、と、あそぶは、なにがちがう?(「デート、楽しんでおいで」そんなふうに、教師と名乗った銀髪のひとが言っていたものだから。目的地に着くまでの間、抑えきれぬ好奇心のまま、傍らに座っているであろう彼をじっと見つめていた。)

近嵐隣 ♦ 2021/01/14(Thu) 03:51[41]

すっげえな……。(具体的な誘いには目弾きして純然たる驚嘆の声が落ちたから、その瞬間日本語が不自由だったのは寧ろ近嵐の方だった。して、黒いMA-1の下のノルディック柄ニットとグレーのニットキャップ以外は過日の外出と同じ出で立ちで車の横に立ったなら、助手席の窓から運転席を覗いた後後部座席へ乗り込もう。諸々入ったリュックは足元へ。)お、買ったやつ着てんじゃん。似合ってる似合ってる!寒くねえ?車ン中はいっか!(当然ながら見覚えのある服にかろい褒辞を投擲した後、ちょっとした遠足気分の男はリュックの中からトッポを取り出し開封の儀。名前には「ん~?」と生返事を返したものの、問いには半開きになっていた口を俄に尖らせた。)俺説明苦手なんだよな~…。好きなやつ同士で出掛けたらデートじゃねえ?付き合ってるやつ同士ならっつった方がいーんか、…つーか白亜付き合うとか恋人とか結婚とかって分かんの?(ニュアンスを説明する為に必要な前提知識の有無を問いつつ、ちゃっかり開封したトッポを一本咥えてから、二本目を彼女の口元に差し出した。)食ってみ。 つーかうさぎも良いけど、動物園ならもっといろいろいるんだよな~。他に見てえ動物ある?(恐らくは初動物園だろうと踏んで彼女の興味を問う。到着後先んじて外へと降り立てば、リュックを背負って彼女に手を差し伸べるまでがひと繋ぎ。ゲートを潜れば動物園デート?の開幕だ。)

乙無白亜 ♦ 2021/01/14(Thu) 22:56[42]

(Xで過ごすようになって数年。特別感情を押し殺して過ごしてきたということはないけれど「遊ぶ」を知ってからは毎日が発見の連続で、硝子玉のように無機質だった紅玉は生き生きと輝くようになっていた。今日だって。大人しく澄ましてはいるけれど、彼が来るまでの間ぷらぷらと落ち着きなく足を揺らしていた。)うん。ぴったり、さむくない。 ぼうし、おそろい、だね。(おんなじように頭に被りものをしているからって、帽子の鍔を掴んではお揃いをアピール。ごそごそしている姿が眸に映れば不思議そうに首が傾いたけれど、)すきなひと、と、でかけるは、でーと。(それならこれはデートなんだろうって単純な思考回路は結論を出した。次ぐ言葉にはこっくり頷いて。)けっこんは、いつまでも、いっしょいること。ずっとしあわせ、くらすこと。(ありがちなおとぎ話の結びこそむすめが知っている結婚だった。差し出されたそれには不思議そうな眼差しを向けもしたが、従順に口を開けては躊躇なくぱくりと銜えて、広がる甘みに暫しの瞠目。問われた音にもちょっぴり反応が遅れる。)となりは、なに、すき?(思いつくものがないというより、単純に彼の好みを知りたいと思ったからこそ囀った。手を繋いで降り立った動物園は想像していたよりもずっと大きく、)うさぎ、どこいる、かな。(見回すも広大な敷地が映るだけ。きょろりと周囲に紅玉を向けて、繋いだ手をほんのちょっぴり強く握った。)

近嵐隣 ♦ 2021/01/15(Fri) 02:25[43]

お前も被ってくんだろうなって思ってこれにした!俺帽子あんま持ってねえんだよな~。(狙い澄ましたお揃いに口端を歪めてニヤリ笑みを浮かべたなら、復唱された言葉に小難しい解釈はこの場において不要と悟る。)そうそう。つっても俺とお前じゃ兄妹に見えっかもしれねえけどな~。(猫可愛がりとまではいかずとも、世話を焼きたくなる心境は自覚済みだ。幸福に満ちた結婚イメージに否を唱えるつもりはないから「知ってんじゃん」の相槌を褒め言葉代わりにして、)白亜はしねえの?結婚。(彼女のおかれていた境遇を一切合切投げ捨てて端的に問う声は、何ら特別でない世間話の延長のような穏やかさ。)小学校ん時に未来年表書いたんだよな~。いつ結婚して、いつ子ども出来て~みてえなの。(懐かしい記憶に乗じて、きっと彼女にとっては当たり前じゃない未来の話を差し向けた。俄に香る甘い匂いの中、食ってもいいよと車中では箱ごと彼女に持たせたりもして。)あ~~好きっつーかデカいもん見るとテンション上がる!ゾウとかキリンとか!(もらったばかりのパンフレットを速攻でリュックにしまえば、少しそわそわして見える様に笑って負けじと強く手を握った。)あっちだな!看板見てみ、うさぎの絵あんだろ。(指差し示したのはイラストで描かれた簡略的な巨大マップ。ふれあい体験の文字がある方へ向かって手を引いた。彼女が興味を示すものがあったなら、逐次寄り道もするつもり。)

乙無白亜 ♦ 2021/01/15(Fri) 23:04[44]

(かおばせこそ静かだけれど、お揃いに弾む心のまま唇が上機嫌にオルゴールの音色を囀った。星に願いを、買ってもらったあの日からすっかりお気に入りになっている。)わたし、きょーだい、いない思う。(軽口にふるふると首を振っては否を示す。純真がゆえにどうにも冗談が通じぬきらいがあった。褒められることはやっぱり嬉しくてちょっぴり得意げなかおばせもしてみせるけれど、問いかけには長い睫毛をはたりと瞬かせて、ふるりと白糸を揺らした。)できない。 きょーそさまの、いしずえ。だから。(しないのではなく、出来ない。それはむすめがXの信徒に育てられた敬虔な生贄である証左、この心はまだあそこにあるのだと告げているのに等しかった。)となりは、いつ、けっこん、するの?(未来年表なるものがどんなものかはわかららないものの、ゆうるり首を傾けては興味のそそられるまま疑問を音とする。ゾウにキリン。彼が音にした動物も気になるけれども紅玉はまだ見ぬうさぎに一直線であったから、ふれあいコーナーへと辿り着くのもきっとすぐのことだった。)となり。 あれ、うさぎ?(手指の消毒を終えてから、遠くに見つけたお揃いの色彩を指差した。導かれるようにするりと彼のぬくもりを離したなら、愛らしい生き物との距離を詰める。邪魔なサングラスを取って、じぃっとおんなじ色した眸を見つめた。小刻みに揺れる鼻先に惹かれるように指を伸べて。)……いきてる。(自分よりも小さい生き物を見たのははじめてだった。もっと触れてみたいと思うのに、小刻みに震えている白色は触れるとなんだか壊してしまいそうで、おっかなびっくり、紅玉が助けを求めるように彼に縋りついた。)

近嵐隣 ♦ 2021/01/16(Sat) 23:52[45]

思うっつー事は確定情報じゃねえのな。欲しいって思ったこともねえの?つーか白亜、親の話しねえもんな。(反応は気付けば疑問符が連なって、予想するにきっと面白くはないだろう肉親の話題に触れてみた。未来の問いに、幾度となく繰り返されてきた言葉に面白くなさそうな顔で唇を尖らせる。)礎ってさあ、ぶっちゃけ俺よく知らなくて調べてみたけど、むっずかしい漢字でさ。いかにも楽しくなさそうなんだよな~。(大量の宿題を前にした子どもみたいにげんなりした声色で、頭の後ろで肩を組んだ。頑なに自らの命を捧げようとするくせ、信徒に見つからぬようにと怯えた顔が過るからもどかしかった。)ハハハッ!予定ねえな~、今んとこ。俺あんま結婚願望ねえし、子どもも要らねえから無理かもな。(聞かれる側になるとは思わなかったがゆえに小さな驚きを挟み、そうそう口にしたことのない思考を明かした。迷わぬ足取りでやってきたふれあいコーナーにて、見覚えのある色合いに頷こう。)あ、そうそうあの辺全部うさぎだろ!…あ?モルモットもいるみてえだけど、たぶん。(動物の種類を確認し、断言に自信を失っていったけれど無事ご対面果たす姿を後ろから見守ろう。紙コップに入った餌を手に、遅れて彼女の横にしゃがめば物言いたげな瞳とかち合うから思わず笑った。)怖い?こいつら人に慣れてっから噛まねえと思うけどな~。俺が餌やってる間にちょっと撫でてみ。(怖がる理由を悪気なく増やし、一本目の人参をうさぎの口元へと差し向けた。数刻前の車内でトッポ取り出したときの感覚蘇って「マジで餌付けだったな」と笑いながら、ちらり隣を見遣る。)ど?そ~っと撫でてみ。死にゃあしねえから。

乙無白亜〆 ♦ 2021/01/17(Sun) 11:58[46]

おとうさん、おかあさん、知らない。わたし、すてられる、した。 だから、てんしさまだけ。てんしさまだけ、なの。(そういう存在がいることだけは知っている、でも感じるものはなにもないと無感情な紅玉が語る。だから棄てられたんだよと言われてもへっちゃらだ。てんしさまに心配をかけてしまっているのだろうと思うと胸がキュッとするけれど、もう少し。あと少しだけ。疲れたような声色に気付けばどうしたんだろうって心配そうな眼差しを向けもするけれど、)となり、たすける、じょうず。 おひめさま、きっとみつかる、思う。(無理かもの音を悲観的に捉え、ひとの心配だけは一丁前に。はじめて見たうさぎは、本の挿絵でみたように耳が長くて、容貌が自分たちとはまったく違っていて、なにより小さくて。)……うん。(恐る恐る、真白い毛並みにてのらでそっと触れた。じんわりと伝わるぬくもりに、感化された紅玉がふわっと熱を帯びる。)あったかい。(てのひらから伝わる熱、脈動。ああ、これが命なのだと今心で理解した。)──となり。 あっちいるうさぎ、となりとおそろい。(くいくい、服の裾を引っ張りながらあっちと指差す方向には遠目にも茶色っぽく見える毛並みのうさぎが一匹。もうすっかり怖がることをしなくなったむすめは指差したうさぎのもとへ寄って「かわいいね」と鈴を転がすような笑声と共にその小さな背へと手を伸ばす。愛らしい生き物を前にかおばせは自然と綻んでいた。──次は彼の言っていたゾウとキリンを見に行こう。手を繋いで、気になるものがあればそっちへと急かすように彼の腕を引っ張って。いつか彼を想って火を灯すその瞬間、こうして過ごした時間を鮮明に憶い出せるように。たくさんのしあわせを持っていこう。)

近嵐隣〆 ♦ 2021/01/18(Mon) 03:00[47]

…す~げえてんしさまてんしさま言うじゃん。俺は?(親なしの顛末は短すぎるけれど、端的過ぎるエピソードに無関心を実感すれば然したる反応もない。“ずっとこのまま”の約束を結べないくせ、限定的に繰り返された声に不服そうな顔で問うた。よもや励まされるとは思わず、お姫様の単語に無遠慮に噴き出した。)んはは!そうそう!任務で助けた子にさ~、命の恩人です、好きです~っつって言われねえかなって思ってんだよな~。今ンとこその気配まるでねえけどさ。(恋愛と結婚を別物と考える身が理想を語るさなか、ついつい“任務”なる単語が落っこちた自覚はなかった。モシャモシャ咀嚼され短くなっていく人参よりも、小さな手のひらの動向を見守って、声色に実感が伴ったのに隣で気づいた。)お、触れたじゃん。あ~!似てる似てる。折角だし写真撮っとくか。(覗き込むようにして、ある意味予想通りだった色合いを前にしたならお手軽にスマホでうさぎとの2ショットを収めるとしよう。呼び掛けに視線向けた先、茶色い毛並みに言わんとする事を察すれば、)順応はっや!んじゃ残りの人参、コイツにあげようぜ。ほら、口元持ってってみ。(餌を手渡し、ごはんタイムを促したなら傍らで見守る様はそれこそ親のような目線だったかもしれない。はしゃぐ姿を微笑ましく思うと同時に、疎かになりがちなサングラスをつけさせようとするお節介もきっと屡々焼いただろう。無邪気に動物園を楽しむ様に“ずっとこのまま”の願いが過るから、自然と繋ぐ手の結びは強くなった。帰り際、デートの記念と託ち、土産屋にて購入したうさぎのぬいぐるみを玩ぶ帰りの車内にて、)次はどこ行きたい?(楽しい約束を重ねたくて次を問うた。しあわせな記憶に縋るより、未来の約束を糧にしたい。)

name
icon
msg
文字
pass