阿閉託夢〆 ♦ 2021/01/18(Mon) 05:44[47]
……ゲロ吐かないように……がんばる……(さて、このあと何回乗る事になるのか。本当に吐くような事になる前に正直にギブアップをするべきだろうかと、跳ねる彼女を見ながら考えていた。)ああ、ねこって夜行性なんだよね。生まれ変わったらおれはねこになるべきかな。…………っ、(顔を逸らしてぶふ、と吹き出したのは、ハスキーもレトリバーも彼女のイメージとは程遠かったから。そして、余計にポメラニアンのように見えてしまったから。「ごめん、なんでもない……」とごまかすけれど、あからさまに目をそらしていた。「十年後には大型犬、かも」と呟いたのは、フォローのつもり。)……おれも、……任務の給料はもらってるけど、……学生じゃなくなって……呪術師として一人前になったら……なれるかわかんないけど……なれたら、そしたらおれも、そよぎちゃんになんかプレゼントさせて。(クレープよりも、もっときちんとした、何か記念に残るようなものを。具体的にはまだ思い浮かばないけれど、何かを。頭の中でその未来を思い描こうとしてもぼんやりとしか想像できなかったけれど、決意表明のように言って、クレープをひとくち。「うん、美味い」と頷いた。)そう。おれは映画もみる専門なのにさ、撮る側だったから幽霊部員化しました。…………、(ぼんやりした表情で、ふいに動きが止まる。クレープを手にしたまま、宙を見つめていて。)……ごめん、そよぎちゃんにはどんな制服が似合うかとか考えてた。いや、その、いやらしい意味とかじゃなくて……セーラー服とブレザーどっちかな、とか……(言い訳のように言葉を連ねるけれど、気持ち悪かったかもしれないという自覚はあって。この話はやめ、というようにかぶりを振ってから、彼女の言葉には迷うこともなく頷いた。)――もちろん。東京以外でも、まだまだ遊びにいきたいとこいっぱいあるし。ディズニーに、富士急も。夏は海とかプールも行きたい。……でも、そよぎちゃんには青春をめいっぱい謳歌してもらいたいから――部活もバイトもして、さらにおれとも遊んでよ。(「若いからなんとかなる」なんて戯れめかして言う表情は柔らかく、口角はわずかに上がって。彼女と同じように空を見つめる心中では、今を楽しむのと同時に、未来を思い描いていた。「次はどうしよっか」という言葉は、クレープを食べ終わった後と、そして明日や明後日、それ以降の未来の事も。今まで、こうして未来を思い描く事なんてなかった。彼女からは、たくさんのものをもらっている。そのぶん以上のものを返したい――そして。未来も、一緒にいたかった。クレープを食べ終わったなら、ベンチから立ち上がって。「行こ」と手を差し出そう。――さあ、次はどうしようか。)