阿閉託夢〆 ♦ 2021/01/14(Thu) 18:58[38]
おれは身長高い女の子のほうが好き……いや、おれの好みは関係ないか。……身長なんか関係なくて、健康で元気に育てばそれがいちばん。(大人ぶって鷹揚に頷くけれど、彼女が言葉と裏腹に背伸びするのを見れば、「……そよぎちゃんは伸びると思うよ」なんて軽く笑うような声音で添えた。――自分のSOSに、すぐにひらめいた彼女の答えに。ぱちぱち、と幾度かまばたきをして、)……いや、ロックテイストは……いや……でもいま着てるのもカッコいいし……そよぎちゃんに選んでもらえばだいじょう……ぶ……だと思うことにする。(ロック精神のかけらもない自分がそんな格好をしても微塵も似合わないのでは、なんて考え込んでしまうけれど。いま着ている服だって、彼女が選んでくれて、そしてかっこいいと言ってくれた服。その彼女のセンスを信じて、任務服のセレクトも任せよう。L字の手を向けられると、無表情のままピースサイン。肩に彼女の手が触れれば、「……おれは子供あつかいされてる?」なんて言いながらも、表情は柔らかかった。)おれ顔の筋肉が死んでるから、キメ顔ができる気がしないんだけど……そもそもキメ顔なんていつするんだ……プリクラ撮るときか。そよぎちゃん、教えて……(キメ顔の作り方。表情筋をほとんど使っていない自分でも、彼女が教えてくれたらできる気がしてしまう、なんて言ったら笑われるだろうか。ぱっちり目が大きくなっている自分には、「……こういう仮想怨霊いそう……」なんて、呪術師らしい(?)コメントをこぼしていた。けれど、彼女が笑ってくれるならなによりだ。)――もっと増えてくよ。宝物。また今日みたいに出かけたり、ゲームしたりテレビみたり……そよぎちゃんが「もう飽きたからいーや」ってなるくらいに、増やしてこ。(これは任務の一環で、この生活がいつまで続くのかもわからない。別れは明日やってくるかもしれない。無責任だとわかっていながらこんな事を言ってしまうのは、きっと子供だからなのだろう。14歳の彼女に比べれば年上でも、自分がまだまだ子供である事は十分に自覚していた。――それでも、まだまだ世界には楽しいことがあるのだと、あの施設から出てよかったと、幸せは外にあるのだと、彼女に知ってほしかった。つないだ手を揺らしながら、さて、次はどこに向かおうか。自分も初めてのタピオカに、意地になって100円玉を連投する事になるUFOキャッチャーに、意外な上手さだったりするカラオケに――存分に今日という日を堪能してから、一緒に帰ろう。)