治葛静音〆 ♦ 2021/02/08(Mon) 23:44[87]
(Xから戻って数日後。もう随分と使い方の慣れたスマホを駆使して、少女達に宛てたメッセージはシンプルだった。『今日のお昼食堂集合しよ~』『一番遅れて来た人ジュース奢りね』あまりに平凡な内容である。その平凡を、彼女達と共有出来ることが嬉しくてふくふく笑う。そうして一番乗りでやって来た食堂の一角にて。購買で購入したお菓子を広げているうちに、全員集まることは叶っただろうか。Xで顔を合わせた者、ここに来て言葉を交わした相手。それぞれ交流は様々だろうけれど、全員知らぬ顔ではないから今更改まる必要もない。集まった面々の顔を見遣りながら、楽しそうにぷしっと軽い音を鳴らしてコーラの缶を開けた。)ハイ全員、飲み物持った~? 乾杯するわよ乾杯っ、あたし達全員の生還を祝いまして~……かんぱーい!!(生還祝い、なかなか重たい音頭になるのも今は笑い飛ばしてしまえ。乱雑に広げたポテチに指を伸ばしながら、口にするのは他愛のない雑談ばかり。)いろいろあったけどさあ、一先ず全員五体満足で生きててよかったわね。てゆか、皆これからどうすんの?あたしらも超危ない目に遭ったんだから、数年どころか一生面倒見てもらわなきゃ割に合わなくない!? ……なんちて。あたしはとりあえず、もうちょいはここでお世話になろっかな~とか考えてるところ。今外に出ても仕事も何もないし~…ちづ、高卒認定とか受けるんだっけ? あたしも一緒に勉強しよっかな。(つらつら思いつくままに言葉を紡ぐ。誰かが話をするならそちらに耳を傾けたし、語りたくない者の秘密を無理に暴こうとするつもりはない。あの場所で起きた何もかも、知識ではなく経験として共有できるのは世界中で自分達だけだ。命懸けの非日常を共にしたのだから、仲間意識は芽生えて当然。消えぬ傷だってあるだろう、それぞれ抱える物だってあるだろう。何だってよかった。これから始まる新しい日々を、貴方達とも見てみたい。)