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(幸運も箝げ替えられたなら)

西風千鶴 ♦ 2021/01/22(Fri) 17:45[41]

だめだ……全然集中できない……。(それはとある日の昼下がり、空き教室から始まる一幕。「ううぅ」と喉の奥で呻きながら、千鶴は机に両肘をつき、そのまま掌で顔を覆った。高卒認定試験に向けて問題集を広げたものの、最初の数問を解いたきり、ペンが止まってしまったのだ。数式が目をするする滑り、まったく頭に入ってこない。正確には――別のことで頭がいっぱいで、数式の入る余地がない。)……飲みもの、買おう。(こういうときは一度立つに限る。荷物もノートも広げたまま、財布だけを手に廊下に出た。すぐそばの踊り場に設置された2台の自動販売機。そのうちのひとつに硬貨を入れて、けれどボタンに伸ばした指が視界に入ってしまったなら、)――…、(またぼんやりとしてしまうのだ。テーマパークで、寮への道で、この手を包みこんだ彼の熱。悪戯な笑み。千鶴と呼ぶ声。――そのうち死ぬよと、話していたこと。)……っ、あ、え? あ、当たり……?(振り切るようにボタンを押せば、カフェオレの缶がガコンと落ちる。だけでは終わらず、ファンファーレが鳴り、自販機が親しげに喋りはじめた。『アタリデス!モウ1ポン選ベルヨ』)えっ、ど、どうしよう…いらないんだけど……! あっ、ね、ねえ! これ!選んで……!(うろたえた千鶴の瞳が、近くにいたひとりを捉える。こっちに来てと手招きして、半ば強引に巻き込んでしまおう。『30秒以内ニ選ンデネ!』)

卯木祈織 ♦ 2021/01/23(Sat) 15:07[43]

(繕い物は慣れている。髪の毛だけに飽き足らず、上着の袖やらワンピースの裾やら、衣類もあちこちでよく引っ掛けるからだ。だからお守り作りも問題なさそうだけれど、念のため。図書室で参考になりそうな本を数冊借りた帰り道のこと。)…ちづ?(耳が拾った声の主を探すと視界に入るのは見知った顔。Xの中で比較的多い、同い年の少女の姿。)選んでって何を………ああ。なるほど。(デフォルトのぼんやり顔で近寄れば、突然の言にぱちりと瞬き。目の前でアナウンスを叫ぶ機会にようやく合点がいって頷き返し。だが、続いて己の左手が彼女の右手を取って、)えい。(彼女の手がボタンのいくつかに重なるように上から軽く押して、右側でも人差し指中指薬指でそれぞれボタンを同時押し。――ガシャン。)必殺・迷った時の同時押し~~…。わたし、爆発物処理班になったら秒で死にそうだわ。赤と青のコード一緒に切って。(考えるのは苦手だと暗に告げつつ、自販機の取り出し口に手を差し込む。掴んだのは冬の定番の一つ、ホットココア。)はい。おなかたぷたぷにならないようにね。(左手で掴んでいた彼女の手を離すついでにココアの缶を握らせて。「ちづがボタン一つに悩むタイプと思わなかったな」と思い出したように呟いた。)ゴミ、は駄目なんだった。えーと、…ゴミ箱代わりぐらいはできるけど。愚痴とか。ポイしてみる?(よかったら話を聞こうか。そう言えるスマートさはゼロ。)

西風千鶴 ♦ 2021/01/24(Sun) 21:13[49]

! 祈織ちゃん、いいところに…っ(呼びかけに応えてくれたのは、凪いだまなざしを持つ友人だ。頷き返してくれたのを見てこちらもこくこく首を縦に振る。あとは彼女が飲みものを選んでボタンを押せば解決だけれど――)? どうし、 っえ、(右手になめらかな手が重なって、ボタンの上へと誘導される。そして尋ねる間もなくあざやかに"必殺技"が炸裂した。ぽかんとした表情のまま、「ありがと…」とココアを受け取るも、)……ふっ、ふふ、祈織ちゃんたら…!たしかに爆発物の処理は、祈織ちゃんやめたほうがいいかも。ちょっと潔すぎるもの。(時間差で効く軽妙な言葉に、思わず破顔してしまった。そして続けられた申し出には、困ったように眉を下げながら)ゴミ箱なんて。だれかと話したい気分だったから、うれしい。…甘いの大丈夫だったっけ?よかったら、ココアもらって。(元からそのつもりだったからと、まだ熱い缶を差し出そう。「…なんていうか、」言葉を探す。壁に背中をもたれさせ、カフェオレの缶を弄びながら。)…助けてくれた男の子のことで。一言で言うと、よくわからないの。ずけずけ近寄ってくるくせに、こっちが踏み込むと逃げちゃうかんじで、でも手とか、繋いでくるし……。(拗ねるように唇とがらせ、「それに」と続ける声は細い。)呪霊と戦うって怖いんだろうなとか、…大怪我したら、どうしようとか。その子のことばっかり考えて、頭いっぱいになっちゃって。こんなの初めてだから、わたし、どうしちゃったんだろうって。(「中身のない相談でごめんね。」照れくさそうにちいさく笑い、心情の吐露は結びとする。それから彼女のほうを見上げて、「祈織ちゃんは、」と水を向けた。)いろいろ、大丈夫? わたしでよければ、ポイしてみて。(彼女の口ぶりを真似して、いたずらに瞳を細めよう。)

卯木祈織 ♦ 2021/01/25(Mon) 16:58[53]

(冗談へ軽やかに笑ってくれる姿にちょっぴり安堵して、「ね」と短く応じた。返すつもりが逆に渡された缶にきょとんとした後、微かに微笑む。)ん、ありがと。頂きます。(プルタブを起こし、思いの言語化を試みる少女を見遣る。途中でセクハラまがいな“男の子”の行動に、喉元まで出かかった突っ込みはココアと一緒に飲み込んだ。)…人の行動にはなんだかんだ言って理由があるの。だからまずは、“ちづには”そうしてるんだって思ってみたらいいわ。それで嫌なら嫌って言えばいいし、理由が気になるならどうしてって聞いたらいいのよ。(答えはもう彼女の中にあって、そこに至る道程で迷子になっているだけの気がした。だから選んだのはシンプルな言の葉たち。てのひらで少女の頭をぽんぽんと撫ぜたら柔らかく声を掛ける。)いい子、いい子。誰かのことをいっぱい考えられるちづは、いい子ね。(払われない限り、一分弱くらいそうしていようか。)んーとねえ、昨日と今日って地続きだから。昨日は一昨日と繋がってるし、一生懸命考えて迷って悩んだ今日は、きっと明日に繋がってるわ。で、えーと……いずれ身になるなら中身あるんじゃない?的なことを言おうとして……まとまらなかった…。(小さく舌を出して誤魔化した。そんな中、真似られた口上に唇が緩み、次いで苦さを伴う眦。)…ね。告解していーい?(9cmの優位を武器に、彼女に寄っかかり少し体重を掛ける。)ちづみたくなりたかったな。悩んで考え続けた昨日がある人に。…もっと頑張ればよかった。そうしたら、一緒にいるときに引け目なんて、(“誰と”一緒の時かとは、言えなかったけれど。後悔の残照を振り切るみたいに缶を呷ったら思いのほかココアがまだ熱くて。ヒリヒリする舌に眉を顰め、「火傷した。から慰めて」と無茶ぶりし、誤魔化しチャレンジ第二弾。)

西風千鶴〆 ♦ 2021/01/26(Tue) 17:47[57]

“わたしには”……(言われたことを反芻し、むぅと思案顔で頬が膨らむ。距離を置かれること。彼が傷つくこと。あのおおきな手で、触れられること。)嫌だけど、……いやじゃない。理由聞いたら……答えてくれるかな。(はぐらかされてしまう気がする。それがはがゆくて、すこしさみしい。と――ふいに撫でられて不思議そうに、まるい瞳で彼女を見やる。けれど続く優しい声を聞けば、面映ゆさにほんのり頬を染め、)…えへへ。いい子、なんてひさしぶりに言われた。祈織ちゃんって、不思議なひとだね。(心地好いリズムに身をゆだね、存分に甘えさせてもらおう。彼女と話しているとまるで、湖を眺めている心地になる。おだやかで広々としていて、弱さも受け入れてくれるような。まとまらないと素直に告げる、その気取らないところも好きだった。寄りかかられて楽しげに笑い、「重たいよ」と茶化すけれど、)――…、(しずかに紡がれた「告解」に、そこに滲む劣弱に触れたなら、胸がぐっと締めつけられた。寄りかかる彼女はすこしおおきくて、でもわたしとおなじ17歳だ。だれかを想い、悩んでいる、春を待ちわびる青い魂。)…祈織ちゃんのこと、好きだよ。祈織ちゃんの人を否定しない、おおらかで優しいところが好き。爆弾処理に向いてないところも、まとまる前に喋りだしちゃうのも、笑顔も、猫舌もとってもかわいい。……もし祈織ちゃんがそう思えなくても、わたしが祈織ちゃんの分も、祈織ちゃんのこと好きでいるからね。(「舌のやけど、はちみつ舐めると楽になるよ。」無駄な雑学も披露しつつ。こちらからもえいと体重をかけ、片手をそっと重ね合わせたい。)――頑張るのは、今日からだって遅くないよ。“昨日と今日は地続きで、明日に繋がってる”んでしょう?(ちいさく首をかしいで笑う。それから繋いだ手に力をこめて、そっと彼女の双眸を見つめた。ブルーグレイの虹彩に、たくさんの想いを閉じこめて。花ほころぶ日はまだ遠いけれど――わたしも、彼女も、大切なひとも、どうかしあわせになれますように。今日と地続きの優しい未来を、一緒に歩いてゆけますように。それは広い校舎の片隅、ひめやかに捧げられた祈り。)

卯木祈織〆 ♦ 2021/01/27(Wed) 03:00[59]

どうだろ。でも答えてもらえないなら、そこにもやっぱり理由があるのよ。(答えられないのか、答えたくないのか。一つずつ明らかにしていくほかない。自分よりよっぽど根気強そうな彼女ならできるだろうと踏んでいる。)あら。わたしに比べたら大体みんないい子なのにねえ。(頬を染める仕草が微笑ましくて、調子に乗って茶化しながら撫で繰り回し。最後に髪を整えがてらも一度撫でた。自分より小さく細い体躯は頼りなげに見えて、たぶんずっとちゃんとしてる。迷ってもつらくても、選び進み続ける強さは眩しく尊いから、かなわないなあと眉尻下げて微笑んだ。隣の芝生じゃなくたって青く見える、うつくしいひと。)自分のいいところなんて見つからないなって思ってたけど。でも……今度から、誰かに聞かれたらそれ言お。ちづに言って貰ったこと全部。(月明かりが似合いそうな白い肌をした彼女は、けれど日の当たるところにいてほしい人だ。汚したくなくて傷つけたくなくて、だから件の男の子も距離を詰めたり空けたりするのかもしれない、なんて。勝手にわかったような気分になってしまう。)わたしも。ちづのこと好き、………かも?(小首傾げて生返事。情操育ち切らない心は確かな好きを返せない代わり、約束をしよう。)……曖昧でごめんね。でも、ええと……ちづの味方でいるわ。ずっと。それと、もうちょっと頑張ってみる。(小指を絡めて、下手くそな笑みを浮かべながら指切りを。)その男の子に泣かされたらいらっしゃい。聞いていい話なら聞くし、朝までだって付き合うから。ちづの味方だもの。で、仕返しでもしましょう。(応援するつもりが応援されている事態のくすぐったさに、茶目っ気乗せた提案でもしておこうか。大切な人の幸せを祈っている。千代に八千代に、このあたたかな人の幸いを願う。――それはそれとして、この後はちみつ片手に「“仕返し”の参考までに聞きたいんだけど、されたら嫌なことって何?」と各所聞いて回る女の姿があったとかどうとか。)

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