七竈王哉〆 ♦ 2021/01/19(Tue) 01:34[34]
ぶえ゛っっっくしっっっ!!!!(寒空の下、人目を憚らぬ盛大なくしゃみが響き渡る。夢の国から帰国した翌日のことだった。頭のてっぺんから爪先までびしょ濡れなのは、二階から下級生が撒いたバケツの水を引っ被ったというベタな出来事が理由だ。ちなみに戦犯である下級生は締めた。そうして一刻も早く暖を取ろうと寮に戻る道すがら、)お。(もうすっかり見慣れた少女の姿を視界に捉え、そちらに爪先が向くのは殆ど無意識だったろう。遠ざけようと思うくせして無意識の挙動を矛盾しているとは思えども、そう長居するつもりもない。)おい千鶴、タオル持ってね?死ぬ、マジで死ぬ凍死する、 こりゃこの前の任務のツケだな……いい手札引いたから、ぶえくしっ!(奪還以降、少女達には呪霊や術式の簡単な説明がされたと聞いていた。とはいえ男が自身の手の内を語るのは、これが初めてのことだ。「俺の術式、強い技使えば使う程不幸で返ってくんだよね」「この前は鳥のうんこ落ちてきた」などと日常会話を挟みながら、ふと思いついたように ぎゅ、と彼女の右手を握った。冷え切った指先に、彼女の温度が心地よく染みわたる。けれど浸潤していく優しい温もりとは裏腹に、緩む口元は今日もひどく悪戯めかした色を滲ませて。)……このままだと、俺の不幸に巻き込まれちまうかもね。どうする?(既に対価は支払ってるから、今すぐ厄災が降り注ぐことはないだろうと踏んでの発言だった。なんてことない戯れだ。彼女を焦らせ困らせたかったなんて、まだ平和な幕間の話。)