bbs topadmin

(恬淡の記録。)

七竈王哉〆 ♦ 2021/02/10(Wed) 14:36[107]

(記録──2014年4月七竈王哉、呪術高専4年生に進級。)
(高専で働きたいと言う彼女に対して、特別否定も賛成もすることはなかった。こんなド田舎で働きてえとか、お前物好きだねと返した程度だったかもしれない。とはいえ、内心それなりに喜んだのは事実。好いた相手が近い場所にいるのだという短絡的理由を、男が素直にロにすることはなかったけれど。それから、喜んだ理由はもうひとつある。彼女が自分の意志で決めた道、その先に己がいるというのは悪い気はしなかった。母について話したのは、淡色の桜が綻び始めるこの時期だ。自分を守って死んだ母がいたこと。母と彼女を重ねていたこと。Xから彼女を救い出した時、その実自分が救われた気がして情けなくなったこと、今は彼女だからこそ守りたいと思っていること、──平素言葉を誤魔化したがる男にしては素直に全てを吐き出した。共に生きていく相手にこそ、全てを差し出す意味がある。)

(記録──2015年1月七竈王哉、準一級術師に昇級。)
(努力を嫌い、怠惰を愛する性惰は今も変わらない。けれど任務の途中で死んでたまるかと奮起するうちに、呪力の操り方も刀を扱う基本の体術も体力も向上したのはさて幸か不幸かどちらだったろう。結果、男が術式──『呼意呼囲』を使う機会は次第に減っていく。専ら呪具の刀を取り扱っての近接戦が中心の戦闘スタイルに切り替わり、術式は味方のサポートや目くらましに用いる程度になっていたろう。)

(記録──2015年3月七竈王哉、呪術高専を卒業。)
(結局、今まで呪術師として生きてきた男はその後も同じ道を歩んでいくことを決めた。最初はただ金を得る為に選んだ道でしかなかったが、存外この生き方を気に入っているのだと気づいたのはいつだったろう。卒業を機に、高専を出る男は阿佐ヶ谷にアパートを借りた。2LDK、駅から徒歩十分。一人で暮らすには広すぎるそこを選んだのには、当然理由があった。)一緒に暮らす?(卒業間近に尋ねたそれに対し、彼女が返した答えは何だったか。頷いてくれるのなら晴れて二人の暮らしが始まるし、彼女には家族がいる。そこに帰ると言うのなら、それも良し。どちらだって良かった。新たな道へと進む男の隣に、彼女の姿があればそれで。)

(記録──2016年8月新潟への出張任務の際に、右手と左足を骨折。)
(記録──2017年2月沖縄への出張任務の際に、一度は心肺停止に陥るが一命は取り留める。)
(以降も、男の怪我をあげれば枚挙に遑がない。けれどその都度命だけは繋ぎ続け、日々を過ごしていく。)
(記録──2018年3月 茨木山奥への単独任務の際に、一級呪霊と遭遇。術式を駆使し、周辺住民への被害は死傷者0、重傷者一名。七竈自身は右半身に重度の火傷を負うが、家入硝子の反転術式により復帰。)

name
icon
msg
文字
pass