御調久遠〆 ♦ 2021/01/28(Thu) 22:27[120]
呪術師ヤメて平穏に生きて誰かと一緒になりゃ、オレの望むモンが手に入るとでも言いてえの? ンじゃオレには一生無理な願いだな。(結局、退屈じゃないものを見つけられたとしてもこの在り方は変えられない。変えたくない。呪いという麻薬を今更この躰から切り離すなんて出来ない。とんだ矛盾だと自分でもわかっている。探しているものが退屈を紛らわす光であるのなら、昔から懐いているこの願いは闇であるのだろう。この瞳はいつだって黄昏を、終焉を向いている。スラックスのポケットに突っ込んだ御守を指先で転がしては再びの問いへはうんざりとしたように肩を竦めて、)言わねえ。これ以上不機嫌になられンのはダリいしよ。(などと言って退けた。少女の想いとは真逆のものを見据え、飲み終えたカップをシンクへ置く。静かな声色を聞けば「なんだそりゃ」意味がわからねーと言わんばかりに溜息ついて、ガーデンハウスの扉へと手を掛ける。少女とゆっくり言葉を交わせるのは今日で最後になるかもしれないとわかってはいるが、それでもこれ以上不用意に言葉を交わしたらもっと酷い言葉で少女を斬りかねない現状、これが正解なのだと思った。)もう行くわ。 明日も任務入ってっから、明後日の見送りは期待すンなよ。(ティーカップも適当にその辺りに置いておけと付け足して、軽い木製の扉を押し開けた。外はまだ明るい。運動場にでも足を運ぶかと外へと一歩踏み出した瞬、なにかを思い出したように歩みを制止して、肩越しに少女を振り返る。)──じゃあな。(「またな」とは言わない。なれど「さようなら」も言わない。機会があればまた次回、そんな男の生き様を彷彿とさせる飄々とした言葉を残し、今度こそ御調はガーデンハウスを後にした。このやり場のない感情をさてなににぶつけたものかと、いつもと変わらぬ暢気な冬空へ悪態を打った。)