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【2A】(君よ、希くはこの刻に幸多からんことを)

御調久遠 ♦ 2021/01/03(Sun) 15:10[32]

(呪術師に休息はない──などと云うほど男が働いた実績はないのだが、聖夜の軌跡の余韻に浸る間もなく次なる任務を言い渡されたのは確かだ。相変わらず昇級なんぞに興味は湧かないが、学生として高専に籍を置いてしまっている以上遺憾ながら従うほかに選択肢はない。とはいえ御調は気分が乗らなければ立場も弁えず任務を蹴る傲岸不遜な男なのだが、引き続き任務を受けたのは護衛の相手が自己が連れ出した少女であるからにほかならない。面倒極まりないが、安全を保障するなどとのたまったのは自分だ。ゆえもし与り知らぬところで少女の身になにかあったなら、考えただけで寝覚めが悪い。)五条悟、アイツ明らかにこの状況を楽しんでやがンな……。(軽薄な笑みを湛えた喰えぬ教師の貌を思い浮かべては悪態も吐きたくなる。薬草への水やりの日課も終えたのち、気怠そうに廊下を歩く男の格好は防寒対策として黒のデミグラブとグレー地のブルゾンを羽織ってはいるが基本常と変わらぬ黒い制服姿にて。二本のダガーはシャツの上に身に付けたショルダーホルスターに仕舞えば街中でも目立つことなく持ち運びが可能だった。)オイ。 イマナミ、ミツギサンが迎えに来てやったぜ。(不遜な言葉と共、少女が与えられた部屋の扉を一発ドンッと叩いて存在を示そう。因みに足で。足癖が悪いのは生まれつきだ。)買いたいモンは決まったかよ。(少女が貌をのぞかせ次第、本日の向かう先を問うとしよう。)

今波燈 ♦ 2021/01/03(Sun) 16:22[33]

(久方振りの“外”――彼の背から下りたのち、むすめがとまどいや不安を匂わせる顔ばせを浮かべたのは必然だった。思わず彼の服の裾を掴んで引き留めようとしてしまったものの、縋れるほど可愛げをみせられぬむすめは伸ばしかけた手をすぐに引っ込めて、教師と思しき人物と対面する。その日は興奮と不安とで眠れなくなるかと思いきや、深く眠りについてしまった辺りからだは正直だったと言えよう。彼の話していた通り、X内から出たことで体調不良が和らいだことも理由のひとつとなっていたに違いない。――斯くして翌日。再びの邂逅を果たした教師から告げられたのは暫くの生活の保障と先日聞いた呪いにまつわる補足と、気がかりだった贄の少女らの行方だ。教師からの言葉に怪訝そうな面持ちで眉根を寄せたのも瞬時、ぎこちないながらもあわく笑みを浮かべて感謝と共に頭を下げる。思うところがないとは言えないが、ひとときの安らぎに身を投じることに決めた証左だった。)返しそびれちゃった。……御調、久遠。(宛がわれた部屋の中で、褥に寝転んでたったひとつ手にしていた彼の学生証を明かりに翳す。今更敬称を付けるのもおかしな感じがするし、同い年くらいというのも高専と名の付く学校を思えば大きく外れてはいないのだろう。指先で彼の名を綴る文字をなぞり、はくと無意味に空気を食んだ。どうしたものかと考えていた矢先、扉の向こう側から聞こえて来た声音は聞き覚えのあるそれ。次いで大きな音と共に扉が震えたものだからびくりと飛び上がるようにして褥から起き上がったことは言うまでもない。)……御調? ちょ、ちょっと待って!(慌てて髪を手櫛で撫でつけてから扉の外へ顔を覗かせる。彼の顔を見ての第一声は「……ありがとう?」と言う感謝。色々な意味で意外なようなそうでもないような。ギリギリ言葉を呑み込んだせいで告げた感謝が疑問形となってしまったのはご容赦願いたいところ、着の身着のままXを飛び出して来ただけに大した防寒対策もなく、薄手のワンピースにカーディガンのみの服装でこわごわと廊下へ出て。)じゃあ、……とりあえず、服と、生活用品が、欲しいんだけど。スーパーとかにでも行けばいい……?

御調久遠 ♦ 2021/01/03(Sun) 18:08[34]

(少女の部屋の扉を叩いて「あー…」はたと気付く。迎えに来てやったなどと偉そうに宣いはしたが、少女となにか特別約束を交わしていたわけではないということに。されどやってしまったと思わぬのがこの男。まあ平気だろうと勝手な見当をつけては首筋へと手をやって、扉の向こうの少女の声へ耳を傾ける。突如現れた見知らぬ男に攫われて、全く見知らぬ場所に連れて来られたのだ。その胸中はあまり穏やかなものではないだろうと推察していたが、聞こえた声は思いのほか明るいゆえ愁眉を開いたのはここだけの話し。慌てて出て来たのであろう少女の出で立ちを見遣りつつ、)スーパーってマジか。(いや、最近のスーパーは日用品はもちろん衣類を売っている店舗もあるけれど。思春期の乙女が出掛ける場所にしてはそれじゃあまりにも味気ない。ゆえ思わず眸を瞠り、衝撃を受けたようすで口許を手で覆い隠すなどの仕草もしたけれど、意地悪もほどほどに唇の端を吊り上げたなら「しょーがねえな」と傲慢な溜息ひとつ。)イマナミ。 オマエ、ショッピングモールって行ったコトある?(少女がどれほどXに囚われていたのかは知らないが、万一首を振られるようなことがあれば「こーいうトコ」とスマホの画面に駅前に出来た大型店舗のホームページを映して見せるだろう。衣服はもちろん、家電など生活必需品のほか、飲食店やらアミューズメント施設まで兼ね備えた大型ショッピングモールだ。)ンじゃ、さっさと準備してこい。 オレが愉しい買い物の仕方ってヤツを、オマエに教えてやっからよ。(経費は高専持ちなれば遠慮は不要。ニッと悪戯っぽく嗤う面は聖夜に見せたものより幾分かろく、扉の横の壁に背を預ければひらりと手を振って見せ少女の準備が終わるまで待つ姿勢を示そう。因みに駅までは補助監督の車で送り届けてもらえる手筈になっている。)

今波燈 ♦ 2021/01/03(Sun) 23:28[35]

(Xに攫われてから数年、終ぞ迎えに来たと言われた試しが無かった。きっと連れられて出るとしたら復活の日だけなのだろうと覚悟だってしていた。ゆえに正直なところ、驚いた気持ちとちょっぴり弾むような心持になったこととで気分ははんぶんはんぶん。彼にはおもはゆくて言えそうにないが、むすめの意思とは関係なく囲われたXでの昔日と、彼の手を取ると決めて過ごし始めた呪術高専での日々は比べるまでもない。むすめの気がかりだったことも、少なくともひとつ解消されている今、悲観する理由がなかった。ゆえに彼の思い遣りも露知らず、その声音も顔ばせも不安の翳りを滲ませれども笑みを浮かべて見せるのに然程労することもない。しかし、選択を間違えたと理解した途端「えっ」と思わず閉口して。)……だ、だって!そこが一番安く色々手に入るでしょ?ドラッグストアとかも考えたけど、服を買うことを考えたらそっちより良いかと思ったし……(つまるところ、色気はまったくない。我慢しきれぬ羞恥が胸中を支配して耳に熱をのぼらせたなら、不貞腐れたような反論と共に飛び出しそうな手を我慢する代わりにとにかく沈黙した。それでも聞こえた溜息にはおずおずと視線を上げて「あるにはあるけど……」とそこそこに返答。そこで漸く理解が追い付いたのか大きく瞬いて期待を孕んだ視線を彼に向ける。)――ありがとう! あっ、でも私、準備するほどのものはないから、……連れてって、御調。それで、たのしい買い物の仕方を教えてくれるの、楽しみにしてる。(今度こそ確かに伸びた手は彼の服の裾を掴むことが出来ただろうか。どちらだったにせよ彼と共に高専を出発して駅前へ到着するまで然程時間が掛かることも無いだろう。考えてみたら異性と買い物に出る何てこれが初めての経験なわけだけれど、まだその事実には気付かずに。)わあ……(飾り付けられたショッピングモールを前にしての、第一声。分かりやすくはしゃぐようなさまを見えずとも、輝く双眸を誤魔化すこともなく。)

御調久遠 ♦ 2021/01/04(Mon) 10:20[36]

オマエらの生活費は高専の経費から引くってセンコーが言ってンだ、遠慮なんざしなくていーんだよ。使えるモンは使っとけ。(「オマエら」と称したのは少女だけではない、他にも級友の手によって高専に連れて来られたオヒメサマたちも同じ待遇を受けているのだと告げるためだ。ゆえ何処か安いだとか、そんなものはみな等しく経費で落ちるのだから気遣いは不要だと耳を真っ赤に染めた少女の背を押すよう笑み混じりに声を掛ける。とはいえ言っている内容はわりと酷いものだろう。)外さみーけどそれでヘーキか? ま。アッチで買い揃えりゃいーか。任せな、損はさせねーよ。(少女の格好を一瞥すれば気温が気になるところではあるが対策は幾らでも出来ようと納得し、急かすように裾を掴む手に促されるかたちで壁から背を離そう。不遜な物言いには向けられる期待は裏切らないとそんな自信がありありと含まれていたに違いない。これもXの出方を観る任務の一種なれば補助監督が駆り出されるのも不思議ではなく、正門前に停車していた黒い車に手慣れたようすで乗り込み駅まで向かうとしよう。年末ゆえ人混みもそれなりに。イルミネーション等の飾りもまだ撤去はされていないようで、傍らで感嘆の声をあげる少女を見遣ればなとなんだか保護者のような気持ちで吐息して。)見惚れンのは結構だが、中はもっと広いぜ。 人も多いし、逸れねーようにちゃんと着いてこいよ。(言うなり少女の歩みを促すよう、男はさっさと施設内へ足を踏み入れた。少女が難なく追い付ける歩幅で歩みを進めながら、まず足を止めたのは館内案内図の前だ。側に備えられている施設案内のパンフレットも合わせて手に取って、少女が隣に並び次第、パンフレットを手渡そうと。)まずは近えしブティックから見ていくか? それ見て行きたい店とかあンなら言えよ。(モール内にブティックなど五万とあるが、若い女子が好みそうな店の見当もそれなりについている。慣れたようすでゆっくりと足を進めていきながら、少女の意思を問うてみた。)

今波燈 ♦ 2021/01/04(Mon) 13:29[37]

……平気、じゃないと思うけど、貸して貰わないといけないから。出掛ける前に、先生に会いに行っても良い?(元々は外に出る予定も無かったから、借りるものもそう無かったのだ。流石に靴無しで出掛ける訳にもいくまい、外套や靴など借りられるものは借りてから目的地へ向かおう。何故高専がむすめらを保護し続けているのか、そもむすめらをすくってくれた理由とは。慣れぬ車中で不安げな思惟は止まず、膝の上で重ね合わせた手に力がこもるけれど、清々しいまでの彼の口吻を聞いていれば受け入れる気持ちに余裕が出来るのだからげんきんなものだ。久方ぶりの人混みに少しだけ気圧されたのかしきりに辺りを見回し、数歩分の距離を保ったまま一歩分だけ彼の方へとからだを寄せて。)Xの中ではイベントってあってないようなものだったから、こういう景色を見るのは久しぶりなの。別に洋服とかに制限がある訳じゃなかったからある程度好きな格好はしてたけど、外には出して貰えなかったし。……御調が置いて行かなければだいじょうぶだもん……(この口吻こそが子ども染みていてちょっぴり苦しい。くちびるを引き結んで後をついて歩いたなら、まずは案内図を見上げながらパンフレットを受け取ることにしよう。流れるように決まっていく始まりに否を示す理由も無くて「うん」と同意するように相槌を打ち、足を進める。こころは逸ったまま。)まずは歩き回りやすいように、自分のコートとか、靴が欲しいな。それから、幾つか着替えとか、そう言うの……何だけど、御調。手慣れてるね。こういうところ、良く来るの?(もう少し正確には誰かと、であるが流石にそこまでは声に出ない。複雑な心持をあらわすにはもう少しこの気持ちが確かなものになる必要があるのだろう。彼の斜め後ろを歩きながらの問い掛けであったから、少しだけ足を速めて彼の顔ばせをうかがうようにちらと見上げる。)そうだ、御調。……さっきの。その、私も御調さんって呼んだ方がイイデスカ。(今更ながらの確認である。次いで、返そうと持ってきた学生証を外套のポケットから取り出し、指を指して見せては「今返した方が良い?」と小首を傾げて見せよう。)

御調久遠 ♦ 2021/01/04(Mon) 16:07[38]

(いざ外出だと言うは易いが、着の身着のまま攫ってきたのだから難しいところも当然あろう。少女が必要なものを借りている間は先刻告げたように廊下で待ち、斯くして年末特有の賑わいをみせるショッピングモールへと万を辞して向かったのだった。数日前の聖夜にも散々そうして少女を連れ回したように、時折後ろを気に掛けながら前へ前へと革靴を鳴らす。されど今日は少女の護衛兼気分転換を請け負った身だ。きちんと並び歩けるよう歩調を調整しつつ、なんだか拗ねた子ども染みた声色を背に聞けばふはりと相好を崩しもするだろう。)ばーか。心配しなくても置いてくような真似はしねーよ。 万一逸れたとしても、オマエを見つけるなんざオレにとっちゃワケねーしな。(それこそ呪いを祓うより楽勝だと不遜に不遜を重ねた男は軽い調子でひらりと手を振る。先刻頭に入れた案内図と記憶の風景を一致させながら、少女の求めるものには「OK」とひとつ返事で承諾した。)慣れてるっつーか、まーそれなりにヤンチャしてたかンな。 オレも数年前まで箱入りしてたしよ。(退屈に過ぎていった日々のことなぞ憶えていないといったよう、零す音は至極どうでもよさそうに。家から解放された瞬間こそ外の世界はどんなものかと手あたり次第に遊びまわるなどしたものの結局はこの通り。そうだとこの身を呼ぶ声が聞こえたなら、こちらを見上げる少女と眼差しを重ねて。)あ? 今更だろ。つか逆に鳥肌立ったわ……。(呼称を急に変えられるというのもなんだか妙なもので、あからさまに怪訝そうな面をしてみせる。しまいには鳥肌が立っただなどとジト目で大袈裟に腕を摩ってみせた。されど学生証を目にすればきょとりと瞬いて「そーいや渡したままだったな」と憶い出したように首筋へと手をやって。小首を傾げる仕草を見遣れば、要らねーなら返せとばかりに掌を向けるつもり。)イマナミ。オマエ服の好みとかねーの。 見た感じ派手めなモンは好きじゃなさそーだけど。(右手と左手に対照的な女性向けのブティックをみとめてぽつり、言葉を落とした。)

今波燈 ♦ 2021/01/04(Mon) 17:58[39]

御調が言ったんじゃない。 ……ふうん?呪術師って気配を辿るのとか得意なの?それとも御調がそうなだけ?(彼の自信を疑っていると言うよりはもっと単純な悪態。やっぱりいつかは意趣返しをとこころに決めながら足を進めていれば、過日問うか悩んで止めた疑問が頭を擡げる。幾度かくちびるの開閉を繰り返したのち、彼の顔ばせを見上げる形で向けた視線は真っ直ぐにそらさぬまま。)やんちゃ……箱入り……想像がつかないような、そうでもないような。今はしてないんだ? ああでも、数年前ってことは学校に入る前の話ってことなんだよね?……御調は、どうして呪術師になろうって思ったの?(どうやら契機はそこにあるらしいと知れば問わずにはいられなかったものの、無関心に語られる彼の過去を辿るには何処から聞けばよいだろう。聞いてもよいものかためらいながらも先程とはまた違った意味で、然も随分と平和な思惟は今も脳内を巡らせる。)やっぱり? ……でも、それはそれで失礼じゃない?あんまり意地悪してると仕返されても知らないから。(冗句めいた口吻に、拗ねたような色を乗せる。交錯させた視線はそらさず、緩慢に一度首を縦に振った。)経費で落とすなら、身分証がいるんじゃないかと思って。それとも後請求だと要らない?(むすめの気持ち如何と言うよりは彼が必要なのではないかと思ったからの一点張り。そうと差し伸べられたてのひらに、彼の学生証を乗せればゆうるり指先を握り込む形で手を引こう。学生証から手を離す時、ほんのすこしだけ、無意識に後ろ髪を引かれて指先が惜しむように伸びたのを誤魔化すためだった。靄がかるこころの意味には、まだ気付けない。)派手なのは見てて楽しいけど、着るのはなぁ……。ふわもこタイプも可愛いし好きだけど、自分が着てるイメージが湧かないかも。 あ、こういうのは?(部屋着だけならスーパーを考えた辺りでカジュアルなものやナチュラル系だって構わないし、可愛らしくて憧れると言う意味ではガーリー系も嫌いじゃないけれど、落ち着くと言う意味ではフェミニンなものが多いだけ。数軒先にあった女性向けファッションのお店を指差しては彼の様子に意識を向けて。)

御調久遠 ♦ 2021/01/04(Mon) 21:19[40]

逸れねーように着いてこいつっただけで、置いてくとは言ってねーだろ。 そりゃオレがスゲーからに決まってンじゃん。つってもオマエが迷子センターに駆け込んでくれンのが一番手っ取り早えんだけど。(飄々で軽薄。傲慢で不遜。生まれてこの方人生イージーモード、呪いと縛りを科せられているゆえの自負も大きい。斯様な性分なれば対人関係が壊滅的であることも必然で、悪態にも気にせずけろりと嗤って言葉を返すのだ。)そーそー。憶い返すのもイヤんなるくらい退屈だったよ。 ……ま。色々あンだよ。呪術師のほうがフツーに生きるより刺激的だしな。(溜息と共、昔日の鱗片を吐き出す言の葉はいつになく辟易と。されど呪術師を志した由を問われた瞬ばかりは、男の黄昏がいつになく冷然とした光を帯びた。それこそ1秒にも満たぬ間の出来事。沈黙が横たわったのもたったの数秒のことだ。少女が瞬きのひとつでもする頃には違和感はまたたく間に解氷し、男はすっかり元の調子で軽薄を紡いでいた。)オマエだってオレに「今波チャン」なんて言われたら気持ち悪いって思うだろーが。(ああ言えばこう言うとは正に。反省のひとつもみせず、逆に考えてみろとばかりに肩を竦めては同意を求める音を吐く。少女の気遣いには意外そうに双眸を瞠りもしたが、まずは「いや」と不要である旨を声にした上で、)身分証は必要ねえ。軍資金は握らされてっし、領収書切りゃ問題ねーよ。(少女の指先の意図にも気付けぬまま、学生証がてのひらに戻って来たなら粗雑にスラックスのポケットに仕舞ってしまおう。声に吊られる形で少女が指差す方角へと眸を向ける。)似合わねーと思ってるモンでも、着てみりゃ存外悪くなかったりするって言うけどな。 とりあえず覘いてみよーぜ。(買い物はまだまだ始まったばかり。気になった店があれば片っ端から覘いていく心算で、店舗へ足を踏み入れよう。とはいえ今日の主役は少女、店内に限っては男は一歩後ろをついて歩く所存。)

今波燈 ♦ 2021/01/04(Mon) 23:39[41]

そうだけど……私が迷子になる方なの? 御調を探す方が私は楽そうだし、御調がいなくなったら探し回るつもりでいるからよろしく。(彼の言葉が尤もすぎて返す言葉に困れば、暗に迷子センターには意地でも行かないことを示す方向にシフトする。揺らがぬ彼の自負の裏側にあるものも露知らず、その一方でむすめは安堵に肩の力が抜けて。)へえ、御調の昔ってどんな感じだったのか気になるかも。小さい頃とか。会ってみたかったって言うのもあるけど、……写真とかないの? あ、因みにやんちゃって言うのは例えば?(聞かなければよいことも世の中には沢山あるのだろうけれど、聞かずにいられないのは外に出られたことをきっかけに気が大きくなっているからかもしれない。とは言え、刹那の零に気付かぬほど気を許す仲ではないことこそ承知済み。「そう」と紡ぐ一言が引き際を心得た証左、次の瞬間にはこれまでと変わらぬ彼のさまを見つけられて胸をなでおろしたことだろう。)全然? 流石に燈様って正反対の呼び方をされたらどうかしたのかって疑うかもしれないけど。(屁理屈を並べることで人を苛立たせることは分かっていたが、閉口することなく紡ぐのは既にむすめが彼相手には開き直った態度でいることも大きい。攫われた当時から続く可愛げのなさがこういったところにもゆえんすると理解はしていたとて、ほくそ笑んでしまう辺りでひねくれ具合がしれようもの。ひとのことは言えそうになかった。)なら良かった。 そう言うのは御調に任せる、私が好きそうって言うのも含めて選んでくれるんじゃないの?(幾らこころを寄せても、そう遠くない未来に彼とのわかれはやって来るのだろうと知っている。なれば、手元に未練は残すまい。手元から繋がりを自ら消した癖に、ものの見事に事実を曲解して都合のよい耳を披露する。無論彼が少しでも厭う素振りを見せればすぐに引く心算だ。目的のひとつとなった店へ足を踏み入れてすぐ、眼前にお披露目されているマネキンを見惚れるように見つめて新作のカットソーとスカートに手を伸ばす。ちらと値札を見た後、セール品のコーナーへ向かうのだから中々に色気のなさを拭うのは難しいらしい。)

御調久遠 ♦ 2021/01/05(Tue) 22:53[42]

強がンなよ、オレが居なくなったら泣く癖に。(もちろん本気で泣くだなんて思っていないということは、揶揄うような口調が物語っていよう。愉快な三日月を口許に浮かべる。昔日を語る仏頂面とは大違いだった。)ガキの頃のコトなんざ憶えちゃいねーし、ガッコに写真なンざ持ち込まねーわ。 つかさっきからスゲー聞いてくっけどよ、知ってどーすンだよ。……そんなにオレのコト、気になンの?(過去話を語るほど退屈なものはないが、それで気分を害すかと問われれば否。失礼なことに半ば適当に聞き流していたし話しをするくらいどうということもないのだが、何故ここまで追求してくるのかという疑問がふと湧き上がっては怪訝をそのまま音として。されど悪戯心が擽られてはそれだけに留まらず、少しの間を置いたのち、にやりとほくそ笑むのだった。)ほーう、言ったな?(全然、そうさらりと言って退けた少女を見遣る男の貌は何時になく不敵だ。覚えておけよと面が語る。苛立つなんてとんでもない、むしろ加虐心に火がついたくらいだ。男が厭う退屈とは程遠い。)そこまで言われちゃ乗らねえワケにはいかねーな。 OK、オレが見立ててやる。(フェミニン系ならジルスチュアートやミスティック。カジュアル系ならニコアンドやジーナシス辺りが好みといえばそうなのだが、さてその辺りの感性は少女と合うものか。新作の服に眼を奪われるもすぐにセール品コーナーへと向かっていく少女の行動を見てしまえば、思わず面に苦笑も滲もう。)っとにブレねえな。(しかし滲んだ苦笑に悪き印象はない、どちらかというと微笑ましがるようなものに似ている。されど少女を一歩離れた所から見守っているなかで不意に目に留まるものがあったなら、少女がセール品を確認している内に取りに行ってしまうはずで。)今波チャン。 コレとコレ、決定で。(買い物かごを片手に戻ってくるまでものの5分程度。見立てた結果、カゴの中にはグレーのケーブルニットワンピースと、淡いベージュのショートブーツが詰まれている。変わった呼称は故意だ。)

今波燈 ♦ 2021/01/06(Wed) 00:31[43]

じゃあ、泣いたらちゃんとすぐ!慰めに来てね。見つけてくれなかったらゆるさないから。(実際、彼がいなくなったら泣くのだろうか。分からないけれど、寄る辺を無くしてさまよい歩くことにはなるのだろう。口元に弧を描いて挑発するような口吻に乗せる感情は、彼の言う通り強がりなのかもしれない。彼の意図するところとは別の意味で嘆く可能性はあるだろうと思い至れば、図星を差された人間がするように思いがけずくちびるをへの字に曲げて閉口した。)どうもしないけど、……気になるって言ったら教えてくれるの?(疑問を口に出来るのは気を許した証左であるものの、確かに言われてみれば何故に対する答えは持ち合わせていない。指摘されて初めて、言葉を詰まらせて理由に目を向けた。しかし、それも然程長くは続かない。返す言葉に思わず腰が引けて瞬きの間だけ、ほんのちょっぴりの後悔を覚えたから。「楽しみにしてる」とだけ煽るだけ煽ったのち、ワゴンの中のセール品に目を向けながら。)いや、だって安く買えるのにこしたことはないじゃん……着回すにしても何枚かは必要なんだし。ほら、これとか可愛くない?(ピンクベージュのフリルデザインブラウスにネイビーのリボンタイ付きセーターを手に取って、彼の方へ向けて見せる。ついでに横に並んでいたチェックの膝下丈スカートも目に留めてサイズを確認する辺り、気持ちも上向いてきたことが知れよう。折角だし上着もと振り返ったところで、変わった呼称にぴたりと硬直する。まばたきを繰り返しつつ、一拍、二拍、――三拍。逸らすように視線を籠の中に向けたなら、「あ、かわいい」と漸く意識を戻して。)着心地良さそうだし、歩きやすそう。ショートブーツの方は何だったらこのまま履き替えていくのもありだと思うけど……え、なに?本当に呼んで欲しいの、御調さん。何だったら、ついでに敬語も付けた方が良いですか?(眦下げて、やわらに笑みを深めて見せる。穏やかな声音を装うのに労苦は必要ない。揶揄と取ったそれには応戦する構えで、本領発揮はこれからと言ったところだろうか。何にせよ、むすめが本当に隠したかったのは見立ててくれた彼のそつのなさに対する靄である。)

御調久遠 ♦ 2021/01/06(Wed) 23:43[44]

(それはあるはずもない、IFの世界線のはなし。どこかではあるのかもしれないもしもを語り、冗談めかして嗤いながら言葉に応えるようにひらりと片手をあげる。半ば揶揄でもするように言い放った言葉に対し疑問符が跳ね返ってきたならば意外そうに双眸を瞠り、のち溜息混じりに眼差しを逸らす。)煙草やったりバイクふかしてたり、世間知らずの青臭えガキやってた頃のハナシなんざ聞いたってなんも面白くねーぞ。(齢二十。世辞にもまだ落ち着いたとは言えぬものの、過去を振り返れば大人しくなったほうだ。傲岸不遜男の遅れた反抗期はそれは酷いものだったと自覚があるからこそ、恥じるゆえ渋るような音も落ちる。ワゴンに積まれたセール品も元は正規の値段で売られていたものなれば一概に嫌厭するものではないとは思うものの、これから寒さが深まることを鑑みればセールの値札が張られたシーズンオフの商品にはなかなか手が伸び難かった。)たかだか服数着、何百万もするモンじゃねーんだから遠慮なんざする必要ねえと思うがな。 あ? まあ、イイんじゃねーの。テメエで着回し出来そうなモンを選びな。(こちらへ見えやすいようにと示された衣服を一瞥したなら、上から目線で偉そうな賛辞を送る。フリルブラウスもリボンタイ付きセーターもチェックスカートも、少女が着れば数倍魅力が増すというもの。先刻面で語った「覚えておけよ」が今ここで果たされたわけだが、反応としては手応えアリといえるだろう。されどもざまあみろとほくそ笑むよりも前、再び鼓膜を刺激した慣れぬ呼称にぞわりと一気に総毛立つ。元凶をじとりと睨め付けるのはすぐのことだ。)オイオイ今波チャンよぉ、その呼び方は鳥肌立つって言ったろ嫌がらせか。 ……ああ、ショートブーツのサイズはSで取ってっから、合わねえなら今の内に言えよ。(ニットワンピはフリーサイズだからよしとして、ブーツの方は少女の体躯から男が勝手に見立てたものであるがゆえ、念のため言葉を掛けて。少女が目星をつけた衣服もついでに籠に入れてしまえばここだけでも随分と籠が重くなったが、されど生活する上ではまだ不十分であろう。さてあとは何が要るか、考えた瞬、ふと視界の端に映ったチェスターコートを二色手許に取ってみせて。)なあ。グレーかキャメル、どっちが好きだよ。

今波燈 ♦ 2021/01/07(Thu) 01:18[45]

そう?ドラマみたいで私は面白いけど、……待って。煙草?御調、今幾つ?(ついでに言えば、語ることで過去に出会ったような気を味わいたいだけ。夢を見ていたとまでは言えずとも、所謂青春を送る筈だった高校生活はむすめだってそれなりに楽しみにしていたのだ。手持ち無沙汰に両の手をからめてはほどくことを繰り返し、とおく笑みが浮かぶ。焦点のあわぬ目線もこのまま喧噪に呑まれて有耶無耶の中に消えるかと思いきや、ふと引っ掛かりを覚えればいともたやすく現実に立ち返っては疑わし気な視線を向けることになるとはやっぱりむすめの予想は外れる運命にあるらしい。)そう、だけど……買って貰っても、着る機会がないでしょ?(つまり、外出の機会である。部屋で着るなら、季節ものにこだわることもあるまい。保護か、罠か。どちらにせよ今も気軽に外出できる立場ではないと理解しているし、外出する機会が訪れるならそれは放たれる時だと覚悟していたから。困ったように眉尻を下げてほんのり苦みを含んだ笑みを向けたなら「ならこれで」と持っていた服を籠の中へ折り畳んで入れた。とは言え、増えてゆく好みに合わせた洋服の数々を見て胸が弾まぬ筈も無い。はにかむようにきゅ、とくちびるを食んでまばたく。そこでようやく籠の中が重たくなってきていることに気が付いたのだろう、「……持つ?」と今更ながらに籠の取っ手に手を伸ばして。)御調さんが意地悪してくるようなので、お返ししなくちゃと思って。元に戻した方が良いですか?(彼のようなタイプのひとと会ったのは初めて。当然その視線にも口吻にも尻込みしない気持ちが無かったとは言わないが、かと言って一度張った意地をそう簡単に引っ込めることも出来ない。ふふと小さな笑いは堪えることも無しに零し、小首を傾げて問うて見せた。)あ、今は多分、M……?寒いからタイツも欲しいし。 さっきのはグレーだったから、キャメルが良いな。(ブーツのサイズは後で会計の時に交換して貰うとして、ひとまずはとコートに眸子を向ける。先程としていることは何ら遜色ないのにもかかわらず、選んでくれるひとがいる贅沢を実感して思わずこころが浮き立った。顔ばせを綻ばせて胸元を一度だけ緩く握った拳でおさえたのちには、一方のコートに手を伸ばして体にあててみせよう。)どう、似合う?

御調久遠 ♦ 2021/01/07(Thu) 22:46[46]

あ? 二十歳だけど。(待ったの音には怪訝そうに首を傾げ、偽りない年齢をさらりと告げる。高校生という身分でありながら成人を迎えているだなんて通常の義務教育ではあまり類を見ないだろうが、新入生として高専にやって来たのが17歳であることを考えれば停学処分を受けていることを加味しても順調に歩んできているといえるだろう。確か今年、19歳で新入生に迎え入れられた輩もいたっけなと頭の片隅で想いながら「イマナミは学校通ったことあンの」と気付けば少女の事情を尋ねていた。先刻この身の過去を知りたいと強請った少女の声色にどこか羨望にも似たものを感じ取ったからかもしれない。)ンだそりゃ。 イマナミ、まさかオマエ高専に引き籠るつもりかよ。(少女の云うように、その身が置かれている状況が状況ゆえに外出はそう出来るものではないだろう──と考えるのはきっと学園関係者くらいなものだ。男は違う。ゆえ少女の言葉を訊くなり怪訝そうな面で理解出来ぬと声をあげ、ありえないだろと言わんばかりに黄昏色した眸を眇めもしただろう。少女を高専に閉じ込めておくだなんてそんなのXとしていることはおんなじだと、少なくとも男は思っているから。籠の取っ手に伸びる細指を見遣れば「いらねーよ、コレは男の特権なの」だなんて籠を軽々動かしてみせながら冗談めかして嗤った。)意地悪だぁ? そもそも「全然」なんて澄まし顔で抜かしたのはオマエだろーが。(どの口が言っているのだと責め立てるような口調も、されど本気で少女を非難しているわけではないと存外軽い声色が物語る。男にとって言い争いは戯れ合いのようなものだ。面もどこか愉快そうに見えたやもしれない。少女の希望を聞けばご所望のコートを手渡し、その一連の行動を見届けては「へえ」と。試着は視覚的なものであっても、大体着ている姿の想像は出来るから、)似合ってる。カワイイんじゃね。(するりと形のいい薄い唇を零れていった言葉に世辞はない、心からの称賛だった。)

今波燈 ♦ 2021/01/08(Fri) 08:12[47]

……因みにその青臭い話があったのは数年前の話であってる?(いちいち確認めいた口吻をしてしまうのは二重の意味で混乱しているからだ。年齢のズレと、そも未成年の喫煙に対する一般常識のズレ。つまるところ、考えを整理するための時間稼ぎだった。言葉にも顔ばせにもあらわさず、むすめの中で折り合いを探す。むすめに意図あってと言うよりは無意識で行われているところに生来の気質があらわれているのだろう。思惟を巡らせるのは止めぬまま「私?……中学までは普通に行ってたよ」と同じくして偽りない過去を告げる。もちろん当たり障りのないところまで。)えっ、……そうした方が良いんじゃないの? 御調だって、そうしてた方が楽じゃない?(まるで想定していなかった反応に双眸がおおきな丸を描いてゆるやかにまばたく。どうやら奇跡とはむすめの予想をおおきくこえて来るものらしい。揺れる籠に小さな笑みが溢れれば「やっぱり手慣れてる、……ありがとう」と格好つけてさまになる彼に一言多い感謝を紡いで。)実際気持ち悪いと思ってないし、嘘はついてないもん。 ただ、からかわれてるみたいに聞こえたから意地悪だって言ったの。(開き直るかのような拗ねた口吻も軽口のひとつ。すぐに零れた笑みひとつで消え去ってしまうほどかろい意趣返しだった。その証拠にほら、彼が一言褒めてくれるだけで心地よいおもはゆさが胸懐に落ちてひろがってゆく。はにかむように眸子を細めては頬を緩ませ、ときめく胸をかみしめるように胸元の服をきゅっと握る。)じゃあそれがいい。(余計な言の葉が漏れぬのは素直な喜びをあらわさんがため。コートだけは籠の中に入れることなく手に持ったまま、会計を終わらせるべくレジへ足を進めよう。ああでも、その前に。)御調、ありがとう。……ちゃんと楽しい。ちょっと悔しいくらいだけど。 御調、モテるでしょ。こういうのさらっと出来ちゃうの。(やっぱり一言多いけれど、感謝は伝えられる時に伝えておくに限る。伝えたいと思った時が伝え時だと信じているから。言葉が返って来るよりも先に彼の服の袖を引っ張って。)早く次行こ、時間が足りなくなっちゃう。次は何処が良いかなぁ。 あ、荷物何処かに預けてから動いた方が良い?

御調久遠 ♦ 2021/01/08(Fri) 23:11[48]

それがどーかしたかよ。(少女の混乱など露程も知らず、不思議そうに言葉を返す男はご覧の通り学生云々未成年云々といった罪の意識など欠片も持ってはいなかった。紙の煙草を吸うくらいならシーシャのほうがまだマシだし、呪術師は躰が資本ゆえ一本試した程度で已めたという事実も男が悪びれない理由のひとつだ。中学までは、ということはそれ以降囚われの身であったということなのだろう。「そーかよ」訊ねておきながら短い相槌に留めたのは、少女にとってあまり触れられたくない話題だろうと思ったがゆえだ。気遣いなんて柄じゃないが、窮屈な世界に押し込められ、なにかを強要される日々の苦痛はそれなりに理解しているつもりだった。どうにも手持ち無沙汰になった左手を首筋へもっていきながら、緩やかにまんまるくなっていく黒曜を一瞥した。)別に。 任務も訓練もねーのに高専に籠ってるなンざつまんねーし。ンな退屈持て余すくらいならイマナミと出掛けたほうが有意義だわ。 つーことで、オレと並んで歩いても恥ずかしくねえ服選べよ。(機会がないなら作ればいい。学園関係者らがなんというのかはわからぬものの、少なくとも五条悟は男が付いていくといえば外出を許可してくれるだろうと踏んでいる。外に着ていく機会があれば服を選ぶ楽しみも増えるだろうとしたり顔で笑みを浮かべる一方、意地悪をする時はとことん意地悪であるのが男だった。籠に預けることもせず、コートを手に持ったまま足を進める少女の横顔になんとなしに視線を奪われながら、男もおなじく会計へと足を向かわせる。道中耳が拾った感謝の言葉には眸を瞠って言葉を返そうともしたけれど、服の裾を引っ張られては意識はそっちへ向くだろう。)あ? アー……そーだな。確かクロークで預けられる荷物はふたつまでだったか……なら、無難にコインロッカーにしたほうがイイかもな。(だのと言っている間にレジへと着けば、早々に会計を済ませてしまおう。領収書を発行し、大きな紙袋みっつを手に外へと出たなら、コインロッカーを探しつつ、「それで、オヒメサマ。 次のご要望は?」そんなふうに声を掛けるはず。まだまだ少女には、とびきり楽しい買い物の仕方を教えるつもりでいるもので。)

今波燈 ♦ 2021/01/09(Sat) 00:27[49]

御調が成人してるのも納得できるし、年齢のズレもスルー出来るけど、……未成年の煙草はアウトだよね?(年齢にかかわらず生来の彼の気質もあるだろうとは思えども、理に適った言動のゆえんが成人に至るまでの経験にあると言うのなら得心出来ることも多い。例えば、こうした所謂デートのような遣り取りのこなれ感だとか。さもありなんと語られる過去、言葉は纏まって無くても押し流されてしまう前に問いを投げておく。次いで移動する左手の行方を辿りながら逡巡しては、やわらかな声音を意識して「私ね」と口火を切った。)中学の時、騙されるみたいな形でXに攫われてきたの。だからかな、何となく高校って憧れるイメージが強くて。御調もやっぱりそういう、青臭かったって言うような経験をしたって言うのを聞いたらちょっと羨ましくなっちゃったって言うか、……御調にとってどういうものだったのかなって、興味を持ったって言う方が近いのかも。(触れられたくないものと言われればそう。でも、別に彼に隠すことでもないと判じたのはただ一言にまとめるのなら、根拠のない信頼ゆえである。「だから何だって訳じゃないんだけどね」とほんのり苦味を含ませた笑みで付け加えたのは反応に困られた時の為の逃げ道だったけれど。)そう言えばXに来たのも暇つぶしとか言ってたもんね……。それじゃあ、御調が時間ある時にでも何処か連れてってよ。こういう時一緒に出掛ける場所って言ったら普通何処になるとかは分かんないけど。映画とか遊園地とか? あ、でも今度御調の訓練してる様子は見てみたいかも。(むすめに対する彼の予想は概ね間違いないだろう。その証拠に、あずかり知らぬ誰かへの嫉妬めいた感情もどこへやら、じわじわと実感を伴う未来にこころが弾んで明るくなった声音にも力がこもる。会計を済ませて店外へと足を踏み出したなら、心なしかろやかになった足取りで彼より数歩先へ躍り出よう。くるりと振り返って「そうだなあ」何て紡ぐ返しもまんざらでもない様子で。)後でシャンプーとかリンスとかそう言うバスグッズ系も欲しいけど、折角だし雑貨とか小物系も見に行きたいな。 御調は行きたいとこある?疲れちゃってたら休憩しに行っても良いけど。

御調久遠 ♦ 2021/01/09(Sat) 12:18[50]

知らね。 今は吸ってねえンだしどーだっていいだろ。(そもルールを気にするような良心的な男であったなら停学処分なんて喰らうこともなく、今頃はもっと上の階級に上り詰めて、家督を継いでいたかもしれない。そうなれば少女救出の任務に抜擢されることもなかっただろうし、或いは今頃既に任務で命を落としていたやもしれない。うすっぺらい、空虚で退屈な毎日をただ辟易と消耗するだけのつまらない人生だったとしても、積み重ねてきたからこその今なのだと理解している。だからといってこの日々がかけがえのないものであるとか、尊いだとか、そんなことは微塵も感じないけれど、それでもなんだかんだと少女と居ることを選んでいる。ぽつぽつと零れていく少女の想いを残さず拾い、思案すること数十秒。ス、と少女から黄昏を逸らしては革靴の爪先を見つめる。首筋を掴む指先に少しだけ力が籠った。)……オレはそもそも学校ってモンがどんな場所か知らなかったし、高専へは家を勘当されるカタチで入ったからよ、はじめは雨風凌げる場所くらいにしか思ってなかったわ。 ケドやっと自由に動けるよーになったってのにガチガチに拘束されっし、スタンドプレーに走るなだの協力しろだのウッセーし、今は碌でもねートコに来ちまったなって後悔してるトコ。(だからなんだって話しであるのは男も一緒だ。少女の想いに感化されて開いた唇は碌でもないと文句たらたらに言葉を紡ぐ一方、響く音はまんざらでもなさそうに。後悔してるだなんていいながらどこか穏やかなその面が、今の生活も存外悪くないと物語っていた。)いいぜ。 映画でも遊園地でも、そン時はオレも本気でコーディネートしてきてやるよ。 渋谷とか原宿あたりフラつくだけでもイイかもなぁ、あの辺最近開発進んでるし。(訓練の見学ならば高専に居ればいつでも出来るだろうし、目的もなく出掛けることほど簡単なものもない。頭の中にひとつふたつ外出候補を思い浮かべつつ、軽やかな少女の足取りを見守った。)雑貨店な、それなら近くにいいのがあるからそこ行くか。 コインロッカーも近くにあるし、そこで買い物してから預けりゃイイだろ。(近くにある、と顎で示すはインテリア雑貨を扱うFrancfrancの看板だが、他にも小さな雑貨店はちらほらと周囲に見受けられた。季節柄店頭にはあたたかそうな防寒グッズが所狭しと並べられ、客の目を惹くだろう。)

今波燈 ♦ 2021/01/09(Sat) 14:44[51]

どうでもよくはないけど、おいしくなかったんだ?(むすめは彼のことを知らない。彼が思うことだって分からないけれど、それでも今こうして一緒にいる。共に歩むことができている。むすめからしてみれば、奇跡の上に成り立つ今をひとときの思い出と片付けてしまうにはあまりにも惜しいから悩ましい。視線が交錯せずとも叩く憎まれ口は変わらず、しかしだからと言って言葉の先を急かすこともなく。)でも、ここにいるんだね。……ふふっ、やっぱり誤解されるタイプだ。(励ましでも慰めでもなく、「そう」とくちびるからまろびでるのは眼前に在る事実だけ。やおら形になり始める、彼という存在。嘘が無くて真っ直ぐで、言葉だけでは分かりづらいけれどやさしくて心地よい。あと一歩で零れかかった“どうして”――なおも湧きあがる衝動は、ただの好奇心と言うよりももっとあさましくて純粋な何かだ。言葉にしない代わり、小さな笑い声を漏らしながらすこしだけ彼との距離を縮めて、触れることはなくても服が擦れるそのあわいで寄り添っていられたら良い。)楽しみにしてる。水族館とかプラネタリウムとかも良いかなぁ、御調はどういうとこが好き? あ、それも良いね。その時は食べ歩きとかしたい。(センスのよい彼のことだ、かっこよく見えるんだろうって想像に難くない。未来を勝手に悔しがるのはむすめの悪癖だけれど、口許を緩ませたままでいる辺りまんざらでもないのだろう。元々絶望はしていなかったとはいえ、高専での日常に楽しみが増えてゆく感覚はふしぎなものだった。)わあ、かわいい!ブラシとかも置いてあるかな……目移りしちゃいそう。(冬らしいふんわり素材の雑貨はかわいらしくて、自然とむすめの目にも留まった。素直な感想とともにくちびるに重ね合わせた両手を添え「あそこのお店、見に行ってきても良い?」と確認するように指差してからふと、)御調は欲しいものとかないの?今だったら買えちゃうかもよ。

御調久遠 ♦ 2021/01/09(Sat) 16:25[52]

気になンなら吸ってみりゃイイだろ。 オレなら煙草よりシーシャにするけどな。(あれも乾燥させた植物の一種なれば、味というよりも香りを愉しむもの。ゆえ躰に与える影響の観点から見てもシーシャ、俗に言う水煙草のほうが強い香りを愉しめ理に適っているとなんの有難味もないだろう持論を述べた。いつだか言われた誤解されるタイプの文言をまたしても耳にしたならば「ンなコトねーだろ」肩を竦めて吐息する。イメージ通りの問題児、粗暴で協調性のない狂犬。そんな凶悪そうなものでいい。術師として生きているのだから他のイメージなんて不要だと、こそばゆさを誤魔化すよう気怠そうに頭を掻いた。近付く距離に気付いても、離すような真似はせず、だからといって更にそれを縮めることもせず。一歩足を進めたび触れそうになる互いの手の甲へと時折視線を落としながら、そーだなと思案するような相槌を打った。)特にねえが、薬用植物園には一度行ってみてえと思ってる。がちゃがちゃウルセー場所よりゃ静かなほうが好きだしな。(ゆえ東京郊外に建てられた高専は都会の喧騒から離れていることもあって静かだった。耳を澄ませば鳥の囀りや風に揺れる木の葉の音が心地よく鼓膜を撫でてくれるから、退屈だと授業をサボる時間も存外悪くない。歓喜の声を聞いたならその先へと目を向けて、「じゃ、行くか」と少女の意向に従う姿勢。)欲しいモン? 強いて挙げんなら薬草の苗とか種 ってもこンなトコじゃ売ってねーし……いやでも乾燥ハーブなら売ってたっけか。 ま。ネットで買った方が手っ取り早ぇから今すぐ欲しいモンはねーよ。(常日頃持ち歩いているシリンジを満たす薬も、ベルトに引っ掛けた医療ポーチの中にある薬瓶も、すべて男自ら調合したものだ。外面からは想像もつかない意外すぎる側面をちらつかせながらアロマディフューザーの焚かれた店内へと足を踏み入れる。ベルガモット系の爽やかな香りが漂っていた。)

今波燈 ♦ 2021/01/09(Sat) 18:06[53]

シーシャ……?(聞き馴染みのない単語に思わず小首を傾けた。それでも、むすめが彼の好戦的な姿を見たのは初見の一度切りともなれば彼のこそばゆさも印象も露知らず「言われたことない?」と添えることは忘れない。是と返されることがあればどこか誇らしげに頬をゆるませただろうし、否を返されることがあれば「ほらね」と得心するように頷いて見せただろう。むすめにとっては「御調が気付いてないだけで、御調はやさしいよ」と紡ぐそれこそが真実だったから。)薬用植物園?……ただの植物園じゃなくて、薬用? ……育ててるの?(雑貨店に向かう道中で交わされる言葉には隠しようもない意外な色が乗って、またたきが幾度か繰り返される。趣味か、はたまた必要に駆られてのものか。後者であってもまさか調合まで行っているとは夢にも思っておらず、先の様子とは打って変わった好奇心一色の問いは彼からの答えを待っていた。しかし、それも店内に足を踏み入れるまでのやり取りだ。鼻腔をくすぐる爽やかなアロマに自然と笑みが深まって、その顔ばせに喜色が滲み出る。)いい香り、……こういうの久しぶりに嗅いだかも。別に禁止されてた訳じゃないからやったって良かったんだろうけど、何となくやる気にならなかったんだよね。 オイル一本だけとかなら、買ってもゆるされるかな……。(早足になったことで彼から離れたむすめは、予定していた日用品のコーナーに行くよりも先に足はアロマのコーナーへと向かう。一つ一つの小瓶を手に取って表示を確認、そっと顔ばせに近付けては心ゆくまで馨しいそれを堪能しよう。ウッド調の柔らかな香りからホワイトムスクの甘やかな香り、ラベンダーのような穏やかな香りから清潔感のあるサボンの香りまで様々だ。ディフューザーの種類だって様々だけれど、むすめが近付いたのは加湿器も兼ねたディフューザー。揺蕩う白い煙に手を翳し、その香りとあそぶ姿はさながら幼子のように見えたかもしれない。)

御調久遠 ♦ 2021/01/09(Sat) 22:12[54]

水煙草のコトだつってもわかンねーだろ。 興味があンなら気が向いた時にでもググってみな。スマホは持たされてンだろ?(今はネットでなんでもわかる時代なればわざわざ口頭で説明する必要はないだろうと、面倒を察した男は知りたいことはなんだって教えてくれるグーグル先生に丸投げした。「オマエにしか言われたコトねーわ」その後どんな反応を返されようとも目線は合わせず、どうでもいいの一点張りで話しを流そうとしたはず。優しいだなんて、男には一番無縁の言葉だった。)ハーブとかたくさん見れンだよ、どんなモンか一度見ておきたくってな。 任務で使うんだよ、色々と。(当然の反応が返ってくれば悪態吐いた。狂犬のレッテルを貼られていながら手先は器用で、毎日のように薬草の栽培や調合を行っているだなんて意外も意外。似合わぬのは百も承知だが、幼い頃から当たり前のように日常に組み込まれいたものゆえ今更どんな反応をされようが構わなかった。ベルガモットの香りを嗅ぐと、今朝水をやったハーブ園に植えたモナルダのことが頭に過る。花貌に喜色を咲かせ、足早にアロマコーナーへと向かう少女の背を追う男の面にはどこか微笑ましがるような色が滲んでいた。)イマナミってこーいうの好きなンだな。(白い煙と戯れる少女の背へと声を掛け、並び立った男はディフューザーのすぐ傍に所狭しと並べられたアロマオイルを手に取った。ティーツリー、ローズマリー、マジョラム、イランイラン。こうして手軽にハーブの香りを愉しめるのはいい文化だと口端を自然と緩めながら、隣にいるだろう少女を一瞥して。)それ、買ってくだろ。好きな香りとかあンのか。(先ずは好みを問うてみた。)

今波燈 ♦ 2021/01/10(Sun) 00:08[55]

……わかんないけど……良いじゃない、聞いたって。 それより、スマホって?(必要なものとして申し出れば受け取れたはずのそれ。決して安いものではないと分かっているし、そもすぐに追い出されると思っていたむすめのことだ。手にしたところで使い道らしい使い道も思い付かなかったがために申し出ないでいたけれど、なるほど確かにこういう時はあると便利に違いない。結果は「……帰ってからね」と可愛げのない返答だけを口にして自己完結。その割に流される印象の話にはおかしそうにくすくすと笑う声を絶やさぬのだから、褒められぬ性格をしていることは自明のものであろう。)へえ、呪術師って本当にふしぎだね。使うのは御調だけの話?それとも皆そう言うものなの? でも、見てみたい。それも。……見に連れてってくれる?(意外だからどうと言うことも無く、知的探求心は止まない。「小さい頃からやってたの?」という質問はついでとばかりに。)意外? こういうのに限らず、人並みに好きなものは多いと思うよ。きれいなものもかわいいものも見てて楽しくなるし、おいしいものは食べてるだけで幸せになれるし、こういう良い香りのものってあると気持ちが全然変わるじゃない?(逆に嫌いなものも多いが、その辺りは口には出さないでおこう。辿り着いたアロマコーナーで、隣に並んだ彼の顔ばせを見上げるように向けてから、その手の中に転がるアロマオイルに視線を流す。思惟を巡らせるようにくちびるに人差し指を添えて。)好きな香り……結構甘めの香りが好きなんだけど、甘すぎるのは得意じゃないから、フローラル系の方が良いかなぁ。ボディミルクとかはそう言うのが多かったし。 ハーブに興味あるってことはもしかして御調もこういうの興味ある?(添えていた人差し指はいつしか目の前に陳列されているアロマオイルを摘まむために伸ばされる。因みにメーカーによって香りの雰囲気が異なることは重々承知済みだからして、むすめが手にとったのはお試し見本ばかりである。)

御調久遠 ♦ 2021/01/10(Sun) 01:18[56]

マジか。(スマホを持っていない、だと? 愕然と呟く。入学の折、連絡手段を取るためのものとして高専から支給されることを知っているゆえ、まさか貰えなかったのかと意外そうに黄昏を瞠った。或いは少女が申し出を断ったのか。それはないだろうとその可能性を排除しようとした脳が、しかしこれまでの少女の行動を分析して待ったをかけた。ありえる。なにかと気を遣う少女のことだから高額だから使わないだろうから云々と拒否しても可笑しくはないと、自己完結に持っていった少女へ「……帰ったらちゃんと教えてやンよ」とちょっぴり同情めいた言葉を送った。半分冗談、半分本気くらいの音だった。)一緒に任務にあたった術師がよほどひでえ怪我でもしねー限り、薬使うのなんざオレくらいなモンだろ。 そーそ、ガキん頃からヤらされてンの。それなりに面白かったしな。(ただしここで男が称した「面白い」は難しい薬を調合したのを見た時の唖然とした祖父の貌のことを指す。ただこれは元から真意を明かすつもりもないことゆえどう捉えられても構わない。薬を服用しなければ命に関わる術式だなんてとんでもないものを押し付けられたなと改めて語る言葉は気怠そうに。興味をそそられたらしい少女の言葉には「行きてえなら構わねーよ」と返しつつ。)なるほど。 つまり単純ってこったな。(ざっくり失礼に纏めては、くっと意地悪く喉を鳴らした。男と違って世界が鮮やかに見えているだろう少女へ揶揄うよう告げながら、少女の好みの話しへ耳を傾ける。甘めで、フローラル系の香り。それならと指先を彷徨わせて、)そりゃあ煎剤調合したりハーブチンキ作ったりしてっからな。必然的に詳しくもなンだろ。 甘めでフローラル系の香りが好きってンならミモザ、ネロリ……マンダリンもいけっか。試してみな。(或いはミモザは少々甘すぎるかもしれないが。とりあえずと名を挙げたお試し見本のアロマ瓶をみっつ確保したなら、わかりやすいように手前の棚に置いてみせた。)

今波燈 ♦ 2021/01/10(Sun) 02:39[57]

(高専に保護されてまだ数日、元より外出は望ましくないと考えていたくらいのむすめだ。保護されている立場であって所属している訳ではないと言い聞かせ、必要最低限以外を求めず物分かりよく過ごそうとしていたのは自己保身からであるが、彼相手にはどうもうまくいかない。やっぱり申し出て貰っておけばよかったとささやかな後悔を覚え、眉間に皺を寄せつつ顔ばせを強張らせたのがその証左。悔しさも相俟って「別に良い、自分で調べるか先生に教えて貰うから」と子ども染みた意地を張ったのだってそう。)ってことは、御調はよほどひどい怪我でもするの?それとも使い方は別? 良し悪しは分からないけど、小さい頃の御調にできてたなら私にもできると思う?(幼い頃から薬草に触れて来た男の子。それだけで違いを意識するには十二分過ぎるものだけれど、興味をおさえるつもりもなければ「楽しみにしてるね」とまたひとつ約束を重ねるのに躊躇が見られることもない。)……うるさい。 御調、それ結構失礼だからね!(沈黙こそが答えかと思いきや、とうとう我慢しきれなくなったのか悪口に加えて今度こそ手が伸びた。正確には肘だが。隣にいる彼の脇腹を小突くように肘を曲げて、恨めしそうな視線を向ける。数拍の間をあければ「もう」と吐息一つで眉尻を下げながら笑みを浮かべて見せられる辺り、本当に怒っている訳ではなくて分かりづらい戯れの一環なのだろうけれど。)せんざい……ハーブチンキ……(聞き馴染みのない言葉を反芻して、脳内の帰ったら調べることリストに単語を加える。彼が詳しいことは疑うべくもないし、興味や好ましさがなければ続かないかとこれまた自己完結して目の前のアロマオイル瓶を手に取った。まずは提案して貰ったミモザから。ネロリ、マンダリンと続き、他にもカモミールやローズ、ジャスミンにゼラニウム、レモングラスと手に取っては置くことを繰り返して香りを楽しもう。どれも「こっちはちょっと甘い?」「あ、これ結構好き」と感想も忘れずに。となればもちろん。)え~、どれも良い香りで悩む……。

御調久遠 ♦ 2021/01/10(Sun) 17:52[58]

(拗ねた子どものような口吻には虚を衝かれたように瞬きしたものの、ふはりと相好を崩しては「じゃあそーしな」とひらりと手を翻した。そこまで喰い下がるほどのものではないし、教職の者に教えを請うのも少女の信頼できる相手を増やすという意味では得策であろう。矢継ぎ早に投げ掛けられる質問にはどこから話したものかと気怠そうな溜息も落としたが、ふと思い出したように少女を一瞥して。)オマエ、呪いのことってドコまで聞いてンの?(確か攫ってきた少女たちに呪いについて軽く説明をするとかなんとか、そんな話を風の噂に聞いたことを思い出しては問いを投げた。出来るか否かへの応えはシンプルに「無理」その一言で片付ける。意地悪ではなく、こればかりは地道な積み重ねが大切であるがゆえに。教えてくれと言われたとしても、男に全く教える気がないのが一番の理由であるのだけれど。わき腹に綺麗な肘鉄を喰らえば「イッテ」と大した痛みもない癖大袈裟に声を零しながら、)暴力はんたーい。(わざとらしく小突かれた箇所を片手で抑えながら、揶揄い混じりに嗤っていた。様々な香りを試す少女を横目に見つつ、男の目線は種類豊富なアロマオイルへ向いている。迷うような声が傍らからあがったなら、ははっと面白がるように笑声を零した。)選べねーンなら気になるモン全部買っちまえばイイんじゃね。 金は高専持ちなンだし、気にする必要ねーだろ。(選べないなら選ばずにすべて手に入れてしまえばいいだけのこと。少女にはそれが許されているのだからと、なんてことないようにけろりと言って退けるのだ。それが憚られるというのなら或いは、)効能で選ぶかだな。 待っててやるからじっくり悩めよ。(こっちのことは気にすンなとばかりにひらひら手を振る。空いた時間はスマホ弄りにあてるつもりだ。)

今波燈 ♦ 2021/01/10(Sun) 20:08[59]

大方は御調に聞いてたこともあったから、新しく教えて貰ったことって言えば多分本当に基本的なことと必要最低限のことなんだと思う。例えば、呪いは私たちの負の感情から生まれるものなんだってことだとか。教えて貰った時はまだ混乱が強くて、色々それどころじゃなかったって言うのもあんまり教えて貰ってない理由なんだとは思うけど。 あ、でも呪霊に対抗するのに呪術を使うってこととかは教えて貰ったよ。(もしかしたら詳細に聴き取ったことがあったのかもしれないが、混乱したむすめの記憶領域はさほど広くなかった。想起出来た基礎的な事柄のみを言葉にして「さっきの、御調の呪術に必要ってこと?」と小さく首を傾ぐ。)じゃあ、御調は言葉の暴力を気を付けるところからスタートしないとだめだね?(揶揄を流すようにつんとすまして屁理屈をこねる。とは言え、アロマと言う逃げ道は目の前にあるから労することもなく自然と意識は移ろうことだろう。「ぜんぶ……」と漏れた一言はためらうような色を帯びて。)……必要なものじゃないって怒られたら嫌じゃない……。(まるで幼子のような言い分だった。分かっている。言葉にしてからおもはゆさといたたまれなさとに苛まれ、思わずぎゅっと眉間に皺が寄る。唇を真一文字に引き結んでから大きく息を吐いた一拍ののち、)効能……(もちろんないものもあるが、概ねポップアップに書かれた文字がそうなのだろう。香水でもなし、似合う似合わないの問題ではないことも承知済み。彼が待ってくれると言うのならその言葉に甘える形でこれ以上彼に頼らぬよう暫し一人で悩んだすえ、ジャスミンかネロリの二つまでは落とし込むことができたはず。)ローズやラベンダーも悩んだけど、このどっちかかなぁ。 でも考えるのはちょっと休憩、ってことで後で戻ってくるから他の買い物しに行こ。ブラシとか。(店内を歩き回っている内に整理すると決めたなら、本来の目的を達成するべく近くにあった籠を手に取って歩みを始めよう。)

御調久遠 ♦ 2021/01/10(Sun) 22:45[60]

そンだけわかってりゃ十分だな。お察しの通りコレはオレの術式には必須なの、……打たねえでいられンならそれが一番なんだけどよ。(ここ呪術高専がなにを学び、なにを祓っている場所であるのか。呪いと呪術のことがある程度理解できているならばわからないと首を傾げる機会は減るだろうし、ここに暫く滞在するぶんにはなんの問題もないだろう。「コレ」と言葉を紡ぐと共、制服の胸ポケットに仕舞ってある注射器のシリンジを一本抜き取りくるりと指先で回転させる。我ながら面倒な躰だと辟易するがこれを已めることは即ち死を意味するため、どんなに気が乗らなくとも薬は取り続けなければならなかった。とはいえこの話しはあまりするものではないと思っているゆえ「安心しな、Xほど呪いが溜まる場所はそうそうあったモンじゃねーからよ」と話題を別へと逸らそうとする。今後少女が社会へ出たとしても、あそこを生き抜けたならば恐らくはどんな場所でも切り抜けられるであろうと、そんな励ましにも慰めにもならぬ言葉を。)オレは元からこンなだからイイんだよ。(なにせ粗暴な狂犬。暴言を吐き捨てなくなるだなんて自分じゃない。開き直りもここまでくればいっそ清々しく、悪びれもせずにくくっと嗤うばかりだ。)ナニ? イマナミ、怒られンのが怖えのかよ。(幼子のような言葉を聞いたなら怪訝そうに眉根を寄せ、無意識下で批難するような音も落ちる。されど話題が話題なだけにそこまで壮大な話しにする必要もなければ、ひとつ息を吐いてその場を収めるとして。)ドーゾ。 あとカゴ、重くなったらよこせよ。ま。よこさなくってもひったくってやっけどな。(候補をふたつまで絞り込んだらしい少女が別の場所へと足を向けたなら、今度こそ付き添う形で少女の半歩後ろほどを歩くだろう。またしても少女がどっちがいいだろうと悩むようなことがあったなら、「コッチのほうがカワイイんじゃね」と口を挟むくらいのことならするはずで。)

今波燈 ♦ 2021/01/11(Mon) 03:48[61]

……ねえ、御調。それって、結局何?御調の術式って、どんなの?(Xに攫われる前のむすめなら、彼等の語る言葉も半信半疑に聞き流したかもしれない。しかし、強い実感こそなくとも見えない何かと彼が戦っていたように見えたのは事実であるし、何よりも救われた身としては疑う理由もない。ゆえに、話をしていれば察しても可笑しくないものに対し、わざわざ言葉にしたのはむすめなりに意味があった。言添える呟きを耳で拾いながら、器用に彼の指の上で踊るシリンジを指差したのだってそれを支えるためのもの。まばたきの数を減らし、言葉少なに彼の顔ばせを覗き込む。「そう」と逸れた話題の返事は一言だけ。あまり気に掛けていなかったのが半分と、実感が薄さからか彼等への信頼からか不安視していなかったのが半分といったところ。)何その御調様理論。私がだめな理由になってなくない?(恨めしさか羨望か、横目だけで彼を見遣ったのちには吐息一つで押し黙る。口論で勝てそうにないが、負けを認めるのは悔しかったもので。「……」そう無言を押し通したのも、尤もな感想に返す言葉が見付からなかったから。怒られることそのものよりも、怒られることで起こり得る不安をどう口にしたらよいのかが分からなかった。引き結んだくちびるに力を込め、歯を食いしばったり瓶から離したてのひらに爪を立ててみたりと感情の行く先を探して。) うん、ありがとう。(ほっと息を吐くように笑って相槌を打つ。一人で買い物する気楽さも、誰かと一緒に選ぶ楽しさも贅沢に盛り込んだ時間がそこにはあった。可愛らしいモチーフ付きの柔らかそうなブラシに綺麗な花が描かれた手鏡、ふわふわした靴下に普段下ろされたままの髪を束ねられるような髪飾りがあったってよい。買いたいものにキリもないけれど、必要なものと言い切れるものだけ籠の中に入れたならアロマのコーナーへと戻ってきての第一声は「……怒られる時は一緒に怒られてくれる?」何て結局選びきれなかったことの懺悔だった。)

御調久遠 ♦ 2021/01/11(Mon) 13:04[62]

ンでオマエに術式開示しなきゃなンねーの。(踏み込まれたくないだけか、或いは面倒なだけか。思ったよりもずっと冷淡な声がまろび出たことに男自身も驚いたように瞠目し、鋭利な刃を振り翳した口を咎めるよう掌で覆い隠す。やってしまったと反省するよう眉根を寄せて双眸を伏せ、暫し。ハァ~~~~と長い溜息を吐き出したなら、)……解析だよ、解析。 オレの術式は呪いの血肉を喰って、ソイツの行動パターンだとか、能力だとか、そーいうのを分析して解析出来ンの。だが呪いの血肉ってのは人体にゃ猛毒で、解毒しねえとフツーに死ぬ。 だからオレにゃコレが要ンだよ。(戦闘に於いても術式開示なんぞしたことがない。高専に在籍する者たちは任務を共にするなかで御調の術式を視て理解してくれていたゆえ、こうして他者に詳しく術式を話したのはきっとはじめてのことだ。気怠そうに首筋に手をあてて、長い溜息の余韻を残したまま、こそばゆそうに黄昏を逸らす。指先で弄んでいたシリンジをパッと掴み取ったなら、何事もなかったように胸ポケットへと戻すのだ。「そりゃあミツギサマだからな」と返す音は相変わらず軽薄にて。アロマコーナーへと戻った折に聞こえた呟きには、意外そうにぱちりと瞬きひとつ。意味を理解したならば、)厭だね。 ケド一緒に逃げるってンなら、付き合ってやンよ。(怒られるのは御免だが、説教から逃げるのであれば幾らでも。聖夜の折のように少女を攫うのはわけないと、不真面目な男はふっと口の端を吊り上げて嗤った。)

今波燈 ♦ 2021/01/11(Mon) 16:08[63]

っ、そうだよね。ごめん。(一度だけ、その片鱗を垣間見たことがある。どうして術師を志したのかと問うた時のことだ。びくと跳ねた指をはぐらかすようにゆるく握って、ふいと視線を逸らした。やり過ぎたことを反省していると示すように、――すこしだけゆるんでしまった涙腺を見せないように。生来引くことは不得意では無かったし、よくよく見なければその揺らぎさえ読み取ることはできないだろうけれど、念のため。唇を強く食んで真一文字とも口端を持ち上げた笑みともつかぬ複雑な顔ばせを浮かべたのは、むすめ自身感情の制御が出来ていなかったから。長々しい溜め息にからだを強張らせ、そこでようやく再び彼の方へ視線を向ける。どんな顔ばせで、どんな言葉を紡いだら良いのか分からなかったから、おずおずとした様相で。)……御調、(何て言ったら良いのだろう。綯い交ぜになった感情は、彼の名しか呼ぶことをゆるしてくれなかった。心許なく震えた声音には不安と喜びと複雑な色を滲ませたけれど、逸れた視線とその顔ばせに嫌悪や恐怖を読み取れなければ「ごめんね、ありがとう」と思いを口にしたことだろう。大丈夫なのって聞けないから、顔ばせをやわらげたとて心配そうな視線だけは変わらなかったかもしれないけれど。)ひどい。 ……それで痛い目にあったら、御調のせいにするからね。(実行するかはさておき、軽口を叩くことで減った罪悪感はそのまま手の動きにあらわれて、籠の中に二本のアロマオイルを落とす。レジへ足を進めつつ彼に願い出ることで会計を済ませれば、ここでの買い物も終了だ。必要なものはこれであと一つ、店外へ足を踏み出したのちは彼に向き直って。)御調、ちょっとだけ待っててくれる? ここから二軒先のお店に行きたいんだけど、その、お金だけ貸して貰えたらと、おもって……(二軒先にあるのは、本日何よりも買わねばとチェックを付けていたお店――所謂女性向けのインナーを主に取り扱うお店である。中学時代、進んだ子は彼氏と一緒に入ったと楽し気に話していたけれどむすめはそうではない。羞恥ゆえに耳に熱をのぼらせて言い辛そうに視線をさまよわせつつ、彼の答えを待つことにしよう。)

御調久遠 ♦ 2021/01/11(Mon) 18:22[64]

謝るくらいなら訊いてンじゃねーよ。(遂に腹に抱えていた憤懣を御し切れず、たまらず舌打ちを鳴らしていた。別に術式の開示事体に嫌悪はないし、戦術のひとつであれば殊更抵抗を感じるものでもない。男が少女への術式開示を渋った理由はただひとつ。同情や憂懼、そういう悲嘆めいた“目”を向けられるのが我慢ならなかったからだ。少女が今どんな目で男を見ているのかなど、そちらを視ずとも厭でもわかる。ゆえ暫くの間、わかりやすく拒絶を示し少女のほうへ眼差しを向けることはしなかった。この身の振り方も生き方も疾うに決めた身なれば外野の言葉ひとつでなにが変わることもないけれど、これ以上言葉の刃を揮うことは男も不本意であるから。)ヘーキだろ。 ンなはした金でグチグチ言うようなセンコー、高専にゃいねーよ。(心配しすぎだって面倒くさそうにひらひらと手を振る男は少女を見習ってもっと遠慮を覚えるべきなのだろうが、生憎とここに男へ正論を突っ込んでくれる者は少女を置いて他にいない。さくっとレジで会計を済ませ領収書を財布に仕舞ったなら、言葉を濁す少女を訝しいそうに見つめたけれど。)二軒先? ……へえ、なるほどなぁ。(ここより二軒先にある店先へと双眸を向ければ事情を察し、意地悪い笑みを口許に貼り付けた。)そーいうことなら外で待っててやンよ。 ま。選んで欲しいってンなら付いてってやってもイイぜ。(なんて、これまた揶揄うように嗤っていた。)

今波燈〆 ♦ 2021/01/11(Mon) 19:34[65]

……そうだね、ごめん。(言葉が見付からなかった。きかなければ良かったのかもしれないとは思うけれど、知りたいと思ったことも、知ったことそのものも悔いはなかったから。言いたいことも伝えねばならないこともあるはずなのに、胸中で渦巻く感情は言葉にならず、甘んじて責め苦は背負うつもりで視線を落として暫し口を噤む。痛む胸はそのまま彼を傷付けた代償だろう。幾ら鈍いむすめとて拒絶されていることくらいは分かるし、それを無理に押し入るつもりもなかった。)なら良いんだけど。 それよりその顔……え、選んで欲しい訳ないでしょ?!何ばかなこと言ってんの!(それから一転、おもはゆさと何とも言えぬ嫉妬めいたそれとで頬が朱に染まる。羞恥の見えぬ彼を恨めしそうに強いまなざしを向けながら「早く!お金!」と手を差し出し、彼から攫うように財布を掴んで手早く買い物を済ませに行こう。いつしか成長を見せたからだを思えば採寸のこともあって決して短時間で済ませられるものじゃなかったけれど、選びに選んでと言うよりはある意味で一番抵抗なく質も量も大切に買い求めたかもしれない。再び邂逅した頃にはとっぷり陽も暮れはじめ、夜の帳が下りようとしていただろう。)先生を呼ぶのにも時間が掛かるでしょ?待ってる間、休憩も兼ねてお茶してよ。(明るく煌めき始めたアミューズメント施設にちらとだけ視線を向けて、楽し気な声音もきかなかったかのように直ぐ逸らす。飲食店だってお洒落なカフェやおいしそうな香り漂う食事を提供するそこに極力目を向けぬよう注意しながら、チェーン展開するコーヒーショップに足を向けた。先の一件もあってこころの赴くままに動くことは憚られていたし、これ以上彼に負担を掛けぬ方法がそれ以外に見付からなかったのだ。財布は彼から預かったままだったし「何でもいい?そしたら買ってくるから、先生に連絡してそこで待ってて」とだけ声を掛けてひとり賑やかな店内へ突っ込んで、カフェモカ二つを購入。通路から外れたベンチに腰掛ける形で休憩をとりつつ、高専からのお迎えを待った。車中では先生に、高専についたのちの別れ際には彼に「楽しかった、ありがとう」とやわらかに笑みを浮かべて頭を下げただろうことは、そう遠くない未来のお話。)

御調久遠〆 ♦ 2021/01/11(Mon) 21:52[66]

(重ねられた「ごめん」の音に再び悪態を吐きそうになったものの、下唇を巻き込む形で噛みしめては喉まで出かかった言葉をなんとか押し留めることに成功した。協調性の欠片もなければ空気を読むことなどしない男ではあるが、此度ばかりは違う。自由を奪われ囚われの身であった少女に過去の自分を重ねていたこともあり、少女に外の愉しさを教えてやりたいだなんて柄にもないことを考えていたものだから、こんなふうに気まずい空気を作ってしまったこともまた男の焦慮を募らせる原因のひとつだった。さりとて物事の切り替えは上手いほうであるから何時までも感情を引き摺るようなことはしない。朱色に染まった頬を見れば初心な反応にふはりと破顔して、)ハイハイわかりましたって、さっさと行って来いよ。 ア。因みにオレの好みは紺色な。(どんなに睨まれようとなんのその。財布を取りだしながら更なる冗談を重ねては、軍資金を掻っ攫って遠くなっていく少女の背へ「領収書は忘れずに貰えよ」と一言を。恐らく長くなるだろうと見越したなら少女の買い物が終わるまで男も適当にモール内をふらついて、頃合いを見計らって元の場所へと戻ればベストなタイミングで合流が叶ったはず。一日中走っていても問題ないくらいには鍛えている男ではあるが、休憩の提案にはひとつ返事で頷いてお洒落なカフェやレストランを横目に少女の半歩後ろをついて歩いた。飲み物を待つ間は言われた通りに補助監督へと連絡を入れ、飲み物を手に共にベンチに腰掛ける。味覚を失った男にカフェモカの味はわからないけれど、あったかいそれを飲み下しつつ、ふと傍らの少女を一瞥する。)イマナミ。 手、出しな。(有無を言わせぬ一言だった。もしもカフェモカを両手で握っていて手が塞がっているようであれば少女の座した太腿の上にでも置いてしまうつもりで、男が荷物のひとつから取り出したのは文庫本くらいの大きさのラッピング袋だった。包みの中にはジャーマンカモミールのハーブティーが納められているものの、「ここで開けンのは禁止」と言い含めておけば開封されるのは寮に戻ったあとになるだろう。迎えの車に乗り無事に高専へと帰ってくれば本日の戦利品の入った紙袋を少女の部屋の前まで届けてから、男は当たり前のように「また明日」とひらりと手を振り背を向ける。さてあともうひと仕事、この溜まった領収書を提出してこなければと気怠そうに伸びをした。)

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