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【ep】(“おうさま”は、準備された心に降り立つ)

七竈王哉 ♦ 2021/02/12(Fri) 01:10[72]

(記録──2018年6月。退院後、呪術師を辞することを決意。以降、補助監督として高専に籍を置き続けることになる。)

(人並の呪力と人並以上の体術だけでは、限界だって見えてくる。きっと遅かれ早かれ、この選択をしていただろう。術式を用いれば幾らでも戦う道は拓けたかもしれないが、何をさて置いても守りたいただ一つの存在が出来た男の決断は早かった。西風千鶴が、男の全てだ。「惚れた女を守りたいんで呪術師辞めます」と告げた男に対し、平素通りの飄々とした調子でいいんじゃない?と返した五条悟には素直に感謝した。彼のおかげで、彼女の手を取ることに対してより一層迷いがなくなったから。――時は少しだけ過ぎて、2018年10月31日。仕事終わりに渋谷の一角に位置するレストランを待ち合わせ場所に指定したのは、少々露骨だったかもしれない。何せ勤め先も帰る場所も同じなのだから、改めて待ち合わせをすることは少ないのだ。補助監督として勤めるようになってからスーツを着るようにはなったが、シャツは専ら派手な柄をした治安が悪い物ばかりだった。それが今は質の良い紺のシャツを着て、髪だって前髪を上げて整えている。告げた時間よりもずっと早く待ち合わせ場所に着いた男は、席に腰を下ろした状態で彼女の来訪を待っていた。時折磨いたブラウンの革靴が床をこつりと叩くのは、落ち着かぬ胸中を如実に物語っていたかもしれない。そうして待つこと暫く、彼女が姿を現せば軽く右手を上げた。)よ、お疲れ。(まずはいつもの調子の挨拶から。)

西風千鶴 ♦ 2021/02/12(Fri) 09:31[73]

(記録──2018年6月。退院、職場復帰。視力は著しく低下したが、視野欠損は寛解。市販のコンタクトにて補正可能。事故でひしゃげてしまったので、2代目の眼鏡を所望する。「渡したそばから壊さないでよ(笑)」五条悟は揶揄しながらも、すぐ新しいのを手配してくれた。入手経路は教えてもらえない。)

(「…あ、西風さん。おつかれさまです」「珍しっスね、デニムじゃないの」「そのワンピどこのですか?!かわいいっ」――医務室を出てすぐの廊下にて。気さくに話しかけてくれた彼らに、千鶴はにこりと微笑んだ。今年高専に入学あるいは転入してきた1年生を、同じく今年の春より助手として高専に勤めている千鶴は、密かに同期だと思っている。褒めてくれた紅一点と今度買いものに行こうねと約束し、手早く化粧直しを済ませ、夕暮れの校舎をあとにした。眼鏡はバッグの中にしまう。)おつかれさま。早いね、王哉くん。 待たせちゃった?(コートは入口で預ける。上品な光沢のサテン地に繊細なラッセルレースを重ねた、ペールライラックのワンピース。小粒のパールネックレスが、Vネックの胸元できらめく。勤務中は機動性重視で白衣にデニムが常だけど、今日は終業後に着替えてきた。“待ち合わせ”という稀な響きに、心が浮立ったのは自明だ。が、)――…。 …今日、どうしたの? きりっとしてるね。VIPの護衛任務なんて入ってたっけ…?(彼までこんなシックな装いで来るとは予想していなくて。料理の到着を待つあいだ、あるいは食べはじめてからか。まじまじと顔ばせを見つめながら、そんなふうに尋ねるのだろう。今朝は彼より先に出て、昼は医務室に詰めっきり。ろくに顔も見られず過ごしたから、なんだか妙に照れてしまう。)

七竈王哉 ♦ 2021/02/12(Fri) 17:10[74]

うんにゃ、さっき来たとこ。悠仁達に捕まらんかった?(ゆるりと振った手を引っ込めて、彼女が座る間にも他愛のない会話を投けかける。ラフな格好の彼女を見慣れてしまっているから、こうやってめかし込んだ姿を見れば自然と口元が緩む。「似合ってんね」と素直な褒め言葉を投げられるようになったのも、ここ数年での変化だ。普段は足を向けることの少ない所謂高級レストラン、加えて自分の格好、ならば既に答えは導き出されようものなのに、「どうしたの?」と来た。頭は良いくせして変なところで察しの悪い彼女に思わず喉の奥で小さく笑った。どうしたんだろうなと誤魔化して、テーブルの上に並んだナイフを手に取る。食前酒に次いで運ばれてきた前菜は、横文字だらけでちっとも料理名が頭に入らないが美味いは美味い。平素は縁のない食事だが、存外男がナイフとフォークを扱う手元は慣れたものである。余談、七竈は種類問わず酒が好きだし酒に強い。)…先月さ。(一皿目が下げられたところで、ふいに切り出す。)親父に会ったんだよ。心筋梗塞でぶっ倒れたとかで、俺んとこに連絡来てさ。何年振りに会ったかな……相変わらずすっげえクソ親父。俺の顔見るなり嫌そうな顔しやがってさ。でもまあ、俺が呪術師やってて、辞めて、今はお前と住んでるっつー話したら「会いたい」だとよ。 ……今度会ってやってくれる? 俺以上にクソだしどうしようもねえ親父だけど。(父と顔を合わせたのは、実に十年近く振りになる。それまでとんと顔を合わせる機会などなかったし、既に家族の縁など切れたものだと思っていた。恨みすらある。されど家族の縁という生温い縁を、断ち切ろうと思わなかったのは甘さか弱さか。家族を大切に思う彼女を、ずっと側で見ていた影響かもしれない。少しだけ気まずそうに、肩を竦めてみせた。)

西風千鶴 ♦ 2021/02/12(Fri) 18:53[75]

廊下で会って、ちょっと喋ったよ。本当仲良しだよね、あの子たち。(右手での合図に笑顔で応じ、正面の席に腰掛ける。あまやかな表情で見つめられると、ふわっと心が華やいだ。飾らないまっすぐな褒め言葉に、そっと嬉しそうに頬が染まる。こればっかりは何年経っても、変わらずに面映ゆいものだ。装いについての解が得られず不思議そうに首を傾けるけれど、料理が運ばれてきてしまえば疑問は空腹に弾き飛ばされた。繊細な味わいに舌鼓。ちなみに千鶴は酒に弱いし、酔うと若干幼児化する。)えっ……?! お父さま、大丈夫なの?ご容体はもう落ち着いて…?(さらりとした調子での語りに、ナプキンで口を押さえる手が止まる。心配そうに眉を下げながら、話の続きに耳を傾けた。)もちろん、いつでも喜んで。今、都内にいらっしゃるの?おみやげ、なにがお好きかな。(やはりどの家でも親というのは、子の恋人に会いたがるものか。千鶴の家族と彼ともこの数年で幾度か顔を合わせたが、初の会談が持たれたのは同棲の報告のためだった気がする。両親は緊張でやたら陽気で、千鶴は冷や汗が止まらず。彼からしたらひとつ上の兄は性格がほぼ真逆に見えるが、さて仲良くやれていただろうか。大好きな人の家族が自分に会いたいと言ってくれるのは、とても誇らしく、くすぐったい。断る理由も当然ない――が、彼本人はどうなのだろう。おさない彼を、その最愛を、幾度も傷つけたであろう人。二皿目のサーブで間を取って、「…王哉くんは、」しずかに紡ぐ。)……お父さんと会うの、苦しくない? 王哉くんがつらいなら、無理して会う必要、ないんだよ。

七竈王哉 ♦ 2021/02/13(Sat) 23:53[76]

(今年入学した新入生達はどうやら彼女に懐いているらしく、その光景が想像出来て小さく笑った。あいつら俺のことは絶対年上って思ってねえよなと雑談を交わしながら、食事は進む。彼らのことを話すような日常会話の延長で零した父の話を紡ぐ声は、然程平素と変わらぬそれだったろう。)土産とかいーよ。しばらく入院らしいし、これを機にちっとでも健康てのに気ぃ遣うようになればいいんじゃね?(彼女の気遣いを無下にしたいわけではない。けれど未だ久方ぶりに顔を合わせた程度の親子の間には埋めきれぬ溝があるし壁がある。次に彼女と顔を合わせたところでそれが消えるかどうかは定かではないし、寧ろ悪化する可能性だってあるのだから。仲の良い彼女の家族を思えば少々の遣る瀬無さも芽生えるが、すぐにどうにか出来る事柄でもないだろう。二皿目に視線を落としながら、投げかけられた疑問符に首を緩く傾げる。つらいか、つらくないか。問われれば答えは後者だった。)…今更辛いとかそういうのはねえよ。許してはねえけど。でもまあ、一応血が繋がってる親父が生きてるわけだし。話通さねえのも後味悪いっつーか……。もうすぐお前さ、一応高専の保証だとかいろいろなくなるじゃん?つっても、ンなもんいらねえくらい立派なお医者サマにもうなってっけどよ。(言って、がしがしと整えた髪を掻き上げた。ふう、と零した息は仕切り直しの合図だ。小綺麗なレストラン、畏まった格好。今まで口にしなかった父の話。平素縁のないそれらは、これから告げる内容への助走のようなものだった。スーツのポケットに手を突っ込んで、取り出したのは掌に収まるジュエリーケース。もう片方の手でそれを開ければ、一粒の石とそれを囲むようなメレダイヤの輝くウェーブラインの指輪が光る。あまりにもベタな演出だ。けれど一生に一度の場だからこそ、彼女と歩む平穏を愛していきたいからこそ、今、告げたかった。)西風千鶴さん。(名前を呼ぶ。かしこまって名を呼ぶのは、きっとこれが初めてだ。)俺と結婚してくれませんか。

西風千鶴 ♦ 2021/02/14(Sun) 02:13[77]

そう……。それなら、いいの。王哉くんは、強いね。 じゃあ近いうち、お見舞いに行こ。…ふふ、やっぱりちょっと、緊張しちゃうかも。(許していないと言いながら、歩み寄れる彼は強く、優しい。家族の不和を知らぬ千鶴には想像もできないような苦しみを、ずっと抱えていただろうに。悲しい過去は変えられない。許せないのもあたりまえだ。けれどいつか父子がその孤独を、ひとしずくでも濯ぎあえたらいい。おどけたように笑いながら、千鶴はそっと、祈った。)後味……? うん、今年いっぱい。五条先生やほかの先生にも、あらためてお礼して回らないとね。 なぁに、急にお医者サマだなんて。まだ研修医だもん、ひよっこだよ。(「呼ばれて悪い気はしないけど」ころころと笑った、そのあとで、)……ねえ、本当にどうしたの?今日なんか、変。そわそわして……お店だってこんな、贅沢な――(髪をかきあげる彼にもういちど、同じ問いを投げかけたのだけれど――言葉で答えを得るより先に、まるで星屑で仕立てたみたいなそれはそれはきれいな円環が、瞳に飛び込んできたから。「え……っ」とん、とひとつ鼓動が跳ねる。ぱち、ぱち、と幾度かまばたき。)…っ、は、はい。(呼びかけにいらえる声が上擦る。そうして――) ………!…は、い。…っ…はい…もちろん…!(俺と、結婚してくれませんか。 永遠を願う言葉が響けば、ぽろっとひと粒、涙がこぼれた。唇をちいさくふるわせて、何度も何度も深く頷く。くしゃりと崩れた泣き顔は、ちいさな子どもみたいに素直だ。)王哉くん、いつのまに指輪……レストランも…準備してくれたの……? こんな、…こんなの……ずるいよ……っ…(涙がはらはら頬をつたう。優しい風に花が舞うように、しあわせで胸が満たされてゆく。)

七竈王哉 ♦ 2021/02/14(Sun) 02:40[78]

(強いと言われて、何となくむず痒くなって肩を竦めた。相変わらず父への恨みも呪いもこの胸裏には蠢いているし、手放しで称賛されるような感情など持ち合わせてはいない。されど彼女が父と子の平穏を望むのならば、過去から踏み出してやろうと思えるのだから我ながら甘っちょろくて仕方がなかった。)……ンだよ、マジで気づいてなかったのか。(ぱちりぱちりと瞬く彼女の表情を見遣りながら、零した言葉は半ば照れ隠しのようなもの。わかっていた。わかっていた筈だった。重なる二人の道が違えることなど、何があってもないのだと。けれど彼女が頷いた瞬間、心臓の縁が柔く溶けて全身に優しい熱が染みわたっていくような心地を覚えた。内側から満たされていく多幸感、きっとこれを愛だと人は呼ぶのだろう。彼女の左手を掬い上げ、華奢な指先に指輪を通す。たったそれだけの行為なのに、随分と緊張してしまったのはどうか気づかないでいて欲しい。男の矜持だ。)今更っつー気もすんだけどな。……まあ、いっこ節目っつーことで。(高専の庇護がなくなる。それで何かが変わるとは思えないけれど、新たな一歩を踏み出す契機を探すのであれば、それはきっと今だった。零れ落ちる涙を拭ってやろうと右手を伸ばし、濡れたその頬を親指の腹でなぞる。もう随分と大人になったと思っていたけれど、こうやって泣く姿はどこか昔の面影を感じさせる。感情の発露が素直になったことが嬉しくて、口の端が微かに緩んだ。――けれどその瞬間、感じた違和に溶けた双眸が須臾の間に鋭さを取り戻す。)――……ッ帳!?(弾かれるように外へと視線を向ければ、黒の幕が今まさに下ろされゆく瞬間だった。ポケットの中で、仕事用のスマートホンが震える。何が起きているかの仔細は分からずとも、“何か”が起きていることは明白だ。取り出した電子機器の通話ボタンをタップして、聞こえてくる話に耳を傾ける。――渋谷に帳が。呪詛師が。特級呪霊が。一般人が巻き添えに、――大まかな内容を聞き終えれば、正面に座る彼女を見据えて立ち上がる。)……緊急要請だ。あっちにでけえ帳が下ろされた。多分、やべえ奴らが関わってる。俺は補助監督として向かうけど、状況見てまた戦うこともあるかもしんねえ。お前んとこは、何か連絡きそう? ……すぐ行かなきゃだわ、悪い。(たった今生涯を共にしてくれと口にした唇が淡々と紡ぐのは、純然たる事実のみ。男はきっと今もまだ、呪術師のままだった。)

西風千鶴 ♦ 2021/02/14(Sun) 14:38[79]

(本当に、気づいていなかった。もちろん夢見なかったはずはない。最愛のひとの妻になる。この腹に彼の子を宿す。霜髪を笑いあって生きてゆく。平穏で、幸福な人生。何度も考えたけれど同時に、過ぎた願いだとも思ったのだ。七竈王哉が、全てだ。彼を失うくらいなら、普通の恋などできなくていい。隣で笑っていてくれるなら、ほかにはなにも望まない。心からそう思っていたのに。十分すぎるほど、しあわせなのに。彼はこの手を優しく取って、永遠の誓いを結んでくれる。あふれる涙を拭ってくれる。全身全霊で、愛してくれる。)今さらなんて……っ ありがと……指輪、きれい……夢みたい……(薬指で輝くダイヤモンドを右の手でそっと包みこみ、いとおしそうに口もとに寄せる。そして瞳をやわらかく細め、花咲むようにほころばせた。ああなんて、なんてしあわせな夜。このまま溶けてしまいそう。そう思った――まさにその刹那だった。)…っ、え……?!(彼が異変を感じ取ったのは。電話に出るなり険しさを増した顔ばせに、胸がざわつく。そうして彼がこちらに向き直り“要請”と口にすれば即座に、千鶴もスマートフォンを手にした。家入硝子にコールする。応答を待っているあいだ、あまやかにとろけていた双眸は重苦しい不安に塗り潰され、滲んだ虹彩のゆらぎが、行かないで、と伝えたがった。けれどそれも一瞬だけのこと。きゅ、と唇を引き結んだなら冴えたまなざしでその背を押そう。“呪術師”七竈王哉とゆく。わたしが自分で、決めたことだ。)うん、…わかった。(千鶴は硝子と合流するため、首都高速3号渋谷線の渋谷料金所を目指す。彼はどこに配置されるのだろう。 いずれにせよ、)――行こう。(外に出るときは、ふたりでだ。)

七竈王哉 ♦ 2021/02/15(Mon) 19:42[80]

(例えば結婚という単語について、取り立てて特別な感情を抱いていたわけではない。その二文字が枷となる例だって知っているし、たかが紙切れ一枚で人間を結ぶ何かが変わってたまるか――というのが、つい先日まで抱いていた本音である。けれどいざこうして目の前で彼女が喜ぶさまを見ると、悪くないなと思えてしまうのだ。彼女が男をただ一人だと想ってくれているように、こちらだって。けれど花は咲いて、そして散る。瞬きの間にがらりと生きる世界が様相を変える経験は、これまでだって何度もしてきた。平穏を絵に描いた幸福を愛しく恋しく思えども、今更それらを引き摺り足を止めるような弱い性惰は持ち合わせていない。彼女も、自分も。)……強い嫁さんもらえて、俺は幸せもんだなあ。(手放しで送り出せる筈がないだろう。彼女の胸中を思えば今すぐすべてを捨て去って、その手を取って、どこか遠くへ消えてやろうかという考えが脳裏を過ぎる。されどそのまなざしが、この背を押してくれるから。)なあ、千鶴。(立ち上がり、店を出る直前。一瞬だけ足を止めた男は彼女を見下ろし、そのまま左手をその口元へと近づけた。前線から退いてまだたった数ヶ月、その手に刻まれた傷も硬くなった皮膚も健在だ。一度それをひらりと揺らして、続けて笑って口にした。噛んで、と。一言だけ。)お前だけはずるいだろ。俺にもちょうだいよ、“約束”みたいなやつ。(揶揄めいた口調はされど本気で、親指が薄い唇をなぞる。次いで左手の薬指を押し付けて、そのまま静かに目を伏せた。)

西風千鶴 ♦ 2021/02/15(Mon) 22:38[81]

(幸せもんだなんて彼が言うから、胸がせつなさで締めつけられる。ぎこちなく唇がふるえるけど、それでも勝気に笑ってみせた。呪術の使えぬ非力な女がともに戦うと踏み出す一歩を、認めてくれる彼が好きだ。その心に焔を灯せるなら、わたしはどれだけだって強くなれる。)……え? なに――…(眼鏡を掛ければ千鶴にも、帳の端は視認が叶うか。緊張に浅い息吐く口もと、音もなく寄せられたその左手が、なにを意図するか汲みとれなかった。瞠る瞳で彼を見仰げば、噛んで、と冗談みたいに笑う。千鶴がなにか言うよりも早く、押しあてられる薬指。ちょうだいよ。約束みたいなやつ。たがいを繋ぎとめたがる言葉に、目の奥にじわりと熱が滲んだ。両手で左手を包みこむと、唇をおずおず開き、咥える。それからおおきく息を吸い、)……っんぅ、(ありったけの愛で、歯を立てた。約束が、証が、祈りが、1秒でも長く残るように。夜をふたりで、越えられるように。)…王哉くん。わたし、首都高の料金所にいるけど、来ないで……ううん。 ちゃんと、来てね。(レストランを飛び出したあと、どこまで並んでゆけただろう。いよいよ道が分かたれるそのとき、千鶴はそんなふうに告げた。無傷を願い、すぐ言い直す。手遅れになる前に治療に来てと。それから。)それから、…わたしは、大丈夫だから。全部、絶対に、受けとめるから。 ――…迷わないでね。王哉。(術式を極力使わないのと、使って反動を受けるのと。どちらがより死から遠いのだろう。もしも後者だと判断したなら、躊躇わず札を取ってほしい。術式を使わないために――千鶴を反動から守るために、呪術師を辞めたことを知っている。知っているからこそ、口にした。怖がらないでと伝えたかった。“どれだけわたしを不幸にしても”、今日を、今日こそを、生きてほしい。あなたのそばにいるための傷なら、その痛みすら、わたしは愛せる。)

七竈王哉〆 ♦ 2021/02/17(Wed) 23:29[82]

(呪術師には独身が多いらしい、――というのはいつ聞いた話だったか。いつかの昔の学生時代、後輩と結婚観について話したことも脳裏を過ぎる。数年前の己は一人で生きて一人で死ぬものだと思っていたのに、今はどうだ。目に見えぬ証を欲しがって、それを生きる為の縁としようとするのだから人は変わるものだと改めて思い知る。男を変えたのは、間違いなく彼女だった。彼女の歯が薄い皮膚に突き立てられた瞬間に亀裂のような笑みを浮かべ、左手を見下ろす双眸は状況に似合わぬ穏やかな色を映じていたに違いない。そうして揃いの約束を左手に宿したのなら、彼女の願いに耳を傾け一度だけ頷いてみせた。国を、世界を揺るがす混沌の夜に飛び込んでいこうというのだ。どう足掻いたところで無傷では終えられないだろうし、彼女の元へ再び生きて戻るとも言い切れないというのは考えずとも明白だ。それでも男は笑って、最後に一度その体躯を抱き寄せた。)俺は絶対帰って来る。待ってろ。(これは呪いだ。これはまじないだ。己が身に最悪が訪れたその時、この言葉が枷となるだろうということを知っていて口にした。ならば何も告げないのが優しさだろうと思えども、彼女を縛り続けるこのに躊躇いはなかった。だってもう、嫌という程理解している。互いが互いの存在なしには生きられないということを。たとえ行き着く先が奈落の底であれ、一度交えた道を再び別つ術など未来永劫持ち合わせていないのだから。最後に薄い唇に噛みついて、小さく笑って夜の街へと飛び出した。)行ってくる。

(記録──2018年10月31日 19:58。西風千鶴と別れ現着。帳外にて日下部班と合流。指示に従い待機していたが、改造人間が暴れ始めたのを契機に帳内へ突入。狗巻、立花、近嵐とも一時合流し一般人の避難誘導を最優先に行う最中、伊地知と連絡が途絶える。救出を命じられ一時離脱、単独行動となる。伊地知の元へと向かう道中、改造人間に行く手を阻まれ戦闘開始。)……く、っそ!斬っても斬ってもキリがねえ……ッ!(――本来、補助監督となった男に戦闘は許可されていない。しかしそれは、あくまで“一応”の話だ。合流の際に別の補助監督から渡された呪具の刀と花札が、言外にそれを物語っていた。数多の改造人間は一体一体を見れば格下であるし、例え数ヶ月のブランクがあれど男が後手に回るような相手ではなかっただろう。けれど数が膨大過ぎる。加えて一般人を守りながらの戦闘はどうしたって守りに回らざるを得ないから、長引く戦闘が次第に呪力の枯渇を訴え軋む体が悲鳴を上げ始める。もう暫く持ち堪えれば救援が来る可能性だってあるが、それを待っていればこの周囲の一般人への被害は膨れ上がるだろう。)邪魔だ、どけ!!(叫び、刀を振るう。逃げ惑う一般人との間に割って入る度、体に裂傷が増えていく。避けた皮膚から血が溢れ、霞み始めた視界は呪力だけでなく体力も底を尽き始めている証拠だった。柄を握り指先が冷たく温度を失っていく感覚から、もうそろそろ限界が来るだろうというのは今までの戦いの中で得た経験則だ。このままでは任務の遂行どころか、己の命だって危うい。彼らを見捨てて駆け抜けるか、それとも――瞬間、脳裏に掲げた天秤は考えるまでもなく片側に傾くのだから、自嘲めいた笑みが口端に宿る。今この場で目の前の命を見捨てれば、もう二度と彼女の目を真っ直ぐ見られないような気がした。記憶の中で、同時に母の姿も翻る。救われ続けた命の価値を、今ここで、証明したかった。一体ずつ祓っている体力はない、ならば残る手段はもう一つだけ。)――骨牌幻影、『呼意呼囲』!!(血濡れた指先で、内ポケットから取り出した山から札を引く。もう二度と、術式を使うつもりはなかった。彼女を唯一とするのだと決めた時から、呪術師であることは辞めた筈なのに。――けれど人を救うことも出来るのだと教えてくれた彼女が、男を呪術師にした彼女が、この先の不幸を享受するのだと言ってくれるから。目の前の命を諦める道を捨て、札を引き続けた。コンクリートに囲まれた夜の渋谷に花弁が舞う、雷光が落ちる、瞬きの間に空間を作り替える術式が周囲の呪霊を纏めて祓うのを、霞む視界の向こう側に捉えて笑った。数多の術師が命を賭して戦う中、この戦闘は世界の未来を思えば何ら取るに足らない物だと知っている。それでもこの手で守り抜いた命があったのなら、彼女にも母にも、胸を張って会いに行けるような気がした。ぐらりと視界が揺れる、倒壊していくビルが見える。遠くで爆ぜた炎の正体はさて何だったろう、――答えも知らぬまま、意識が途絶える。)

(――春の陽光が窓から差し込み、室内を淡く優しく照らしている。平素であれば目を伏せればすぐに眠りに落っこちてしまいそうな麗らかな日差しの中、珍しく緊張した面持ちの男が身に纏うのは白のタキシード。柄じゃないと思えども、今日の彼女の隣に並ぶのならばこれ以外にあり得なかったろう。千鶴、入るぞ。言ってドアを数度ノックして、扉を開けばその先に捉えた彼女の姿に思わず息を飲んだ。純白のドレスを纏う彼女は、今日まで男が見たいきものの中でいっとう美しい姿をしていたから。もうあと数刻もすれば、郊外の式場でふたりの結婚式が執り行われることになっている。彼女の家族、それから己の父親、加えて高専時代の同輩達の姿も参列者の中にはあるだろうか。緊張すんなよと零したのは所謂照れ隠しの範疇で、彼女に見惚れたのを誤魔化すように笑って距離を詰めたならその頬に左手を伸ばした。指先がなぞる稜線は、今日も愛しい女のかたちをしている。――幸せだ。遍く幸福を集めた縮図に眦が緩み、男だけの幸福を胸に抱きたがる。彼女を胸に抱き寄せ、胸裏でひとり願った。このままずっと彼女とふたりで、幸せに、)

(記録――2018年11月1日未明。瓦礫の中で目を覚ます。倒壊に巻き込まれ右腕を欠損。建物から這うようにして脱出するが、歩行もままならずその場に頽れる。幸か不幸か、霞む視界はまだ己の状態を視認していない。出血多量によるアドレナリンの大量分泌が、男から痛覚を奪っていた。)……は、 あ……ッ、ぐ、(呼吸をするたび全身が軋む。血濡れた体はきっと酷い有様になっているのだろう。されど斯様に無様に現世にしがみ付く姿を晒しながらも、指先が生掠め続ける限りは諦めるつもりなどなかった。きっとあのまま目を閉じていれば、幸福な夢に浸って死ねただろう。けれど仮初の幸福など、いらなかった。霞む視界に映るのは、夥しい死体の数。倒壊した建物。たった数時間で東京が崩壊したのだと悟り、同時にこれから訪れる夜の闇を思い知る。けれど夢うつつの幸福より、彼女を道連れに進む地獄を男は選び取った。何度も意識が途切れてしまいそうになる中、視界に映る左手だけが救いだった。この身にはまだ、彼女が刻んだ約束が残っている。それが、男をこの世に繋ぎ止める唯一だ。)……千鶴、 千鶴。(それしか知らぬように、唇がただ一人の名を紡ぎ続けた。何度だってその名前を呼ぼう。病める時も健やかなる時も。彼女がすべてを受け入れてくれると言うのなら。何度だって降り立ってみせよう、その心に。)

(記録――2018年11月1日未明。救出された男は首都高速3号渋谷線の渋谷料金所に搬送。反転術式により命を繋ぐ。以降の記録は生ある限り、彼女と共にある。)

西風千鶴〆 ♦ 2021/02/20(Sat) 14:26[83]

(傷だらけの手。優しい手。わたしを守り、愛してくれる手。本当は送り出したくなんてない。このぬくもりを離したくない。歯を立てたと同時閉じた瞼に、ぎゅっと力をこめ涙をこらえる。証を見つめるやわらかな笑みに、叫びだしたいほど胸が苦しい。ほかのだれにも見せない顔を、わたしにだけは見せてくれる。目が、好きだって言っている。それがたまらなく嬉しくて、嬉しくて、だから、苦しい。――ちゃんと来てと訂正した願いを、迷わないでとささげた決意を、ただしく受け取って彼が頷く。無傷の再会なんて夢は見ない。どんなにむごい姿でもいい。きっと硝子さんが治してくれる。わたしもずっと、そばにいる。だから命だけは手離さないで。わたしを連れてゆく道を選んで。言葉で伝えきれない想いも、あまさず夜色に映したかった。引かれるままに身を寄せて、その胸に強く顔を押しつける。両腕できつく抱きしめ返す。薬指にまとった約束が、落涙するようにそっとまたたいた。)…っ 待ってる。待ってるね。(混沌へ赴く彼が残すのは、この身を縛る呪いの言葉。奈落の底へいざなうその声が、けれどどんな睦言よりずっと、千鶴を甘く痺れさせるのだ。子どもみたいに素直に頷き、信じてる、待ってるとくりかえす。そして顔を上向かせると、その耳元にそっと唇寄せ、)―――王哉、 ( あいしてる。 溶けゆく雪にも似た儚さの、かすれた声で耳殻に触れよう。わたしもあげる。極上の呪いを。死神さえも蹴散らす呪いを。)うん。行ってらっしゃい。(唇を攫われ千鶴も笑えば、雑踏へ消えゆく彼を見送る。愛してる。信じてる。絶対、絶対に、死なないで。まばたきも、呼吸すらも忘れて、懸命に彼を呪いつづけた。世界でいちばん愛しいその背が、すっかり見えなくなってしまうまで。)

(記録――2018年10月31日 20:02。西風千鶴、七竈王哉と別れ現着。首都高速3号渋谷線渋谷料金所にて救護活動開始。家入硝子だけでなく、夜蛾正道まで渋谷に来ている。それほどの事態になっているのだと、あらためて身をこわばらせた。聞けばほんの数時間前になにげない会話を交わして別れた、あの子らも呼ばれているという。正道からの報告を受けた陽炎の彼と視線交われば、武運を祈ってそっと頷く程度のやりとりはできただろうか。特別な名前でたがいを呼びあう、あの子と彼がとても好きだった。)

(記録――同21:36。七海・禪院・日下部の3班、帳内に突入。同じころより戦闘が激化、搬送される術師も増えてくる。伊地知潔高、猪野琢真、両名とも一命を取り留める。生徒たちより年齢も近く、普段から交流のあるふたりだ。覚悟はしていたつもりだったが、負傷した彼らの姿を見ると、やはり動揺を禁じ得ない。)

(記録――同22:40。燃える朝焼けのような色彩をその艶髪に宿した青年。あれほど疲弊していたのに、意識が戻ればすぐにまた、呪いの渦へと還ってしまった。高専内で顔を合わせるといつだって可憐に笑ってくれる、年下の少女が頭をよぎる。長い長いこの夜の果て、ふたりのさいわいを、祈った。)

(幸運を喰らいて呪いを祓う――骨牌幻影、『呼意呼囲』。あれを使わずに越えられるようなやさしい夜ではないのだと、被害が増えるたび思い知らされる。叶うなら使ってほしくない。祓えば祓うほどあしたがすり減り、彼のいのちが短くなるから。千鶴のために、札を手離す。その決断を知ったとき、千鶴は自分がいとおしくなった。彼をうつし世に留める楔に、なれた自分が誇らしかった。彼を死から遠ざけられるなら、彼のすべてを取り上げて、生涯わたしを守るという匣に閉じこめてしまえとさえ思った。一瞬、でも疑いようもなく、そんなことをも願ってしまった。でも知っていた。わかっていた。七竈王哉、彼は呪術師だ。あんなに優しいあのひとが、手の届く場所で消えゆく命をどうして見過ごせるというのだろう。もう十分に救っているのに、すべて捨てて逃げてしまえばいいのに、だれもあなたを、責めていないのに。彼の瞳を見たあの瞬間から、予感はずっとこの胸にあった。だから伝えた。迷わないでと。わたしの未来を犠牲にしても、札を引くことを躊躇わないでと。そこが地獄でも奈落の底でも、あなたがいれば、それでいい。ひとりで十年生きのびるなら、明日ふたりで呆気無く死にたい。)………ふ、(小康を得た料金所、夜風にあたりながらちいさく笑う。こんなに歪んだ破滅的な愛、自分が孕むとは思わなかった。薬指にまだ馴染まぬ感触。その違和感すら愛しくて、きらめくひと粒にそっとくちづける。彼はいま、どこにいるのだろう。痕はまだ、残っているだろうか。)

(記録――同23:40。西風千鶴、軽度の錯乱状態。救護活動から一時離脱。)
(伏黒恵。新田明。立て続けに目の当たりにした親しいひとたちの傷ついた姿に、じわじわと精神が削られてゆく。現着から4時間を超え、集中力も限界だった。そうして、23:32。)――…、 ぁと、…じ……さ、………?(心地好く凪いだ空気をまとう青年の壮絶な最期に、とうとうぷつり、糸が切れた。気を張っているあいだは耐えられた、噎せ返るような血のにおい。認識した途端悪心がこみあげ、咄嗟に口を押さえようとして、)う、…ぇ ………!(肘まで覆う医療用手袋、その両手も真っ赤であると気づく。怯えた瞳でかぶりを振って、胸元で握りしめる指先。手袋越しに指輪に触れて、彼の笑顔が脳裏に浮かべば、いよいよふるえが止まらなくなった。頭がガンガンひどい音で鳴る。眩暈で立っていられない。 どうしよう。血が。血がついてる。死んじゃう、ひどい傷、みんな、死んじゃうの? いやだいかないで、おいて逝かないで。王哉くんはどこにいるの。あいたい、こわいよ、王哉くん、あいたい、王哉くん、 王哉 、  )

(――おおきな鏡の前に座って、映る花嫁をじっと見つめる。なんだか、わたしじゃないみたい。星屑が散らされたアイホール、咲き初めの薔薇の色をした唇。何本ものブラシを使い分けて千鶴を彩ってくれた女性は、まるで魔法使いみたいだった。ノックの音にはぁい。といらえて、出迎えるために立ち上がる。一瞬絶句したように見えた、最愛のひと。わたしの王様。きれいだよって、言ってくれないの? くすぐるみたいな声で尋ねて、幸福にとろけた瞳を細めた。ああ本当に結婚するんだ。わたし、王哉の奥さんになるんだ。彼が微笑みかけてくれるだけで涙が出てしまいそうになって、あわててまばたきをくりかえす。緊張してるのはあなたでしょ。出会ったころから今も変わらず、かわいげのないことばかり言うわたし。それなのに彼は優しく笑って、この頬をそうっと撫でてくれる。あたたかな腕で抱きしめて、幸せだって、伝えてくれる。ねえ、しあわせだよ。わたしも、しあわせ。このまま時が止まればいいのにね。そうしたらずっと、一緒なのにね。甘える瞳で彼を見上げて、  …どうしてスーツなんて、着ているの? だってさっきまで白いタキシード、 『すぐ行かなきゃだわ、』 柄じゃねえなって顔で笑って、 『噛んで、』 幸せだって、 『帰って来る。』 どうして―― 『俺は』『絶対帰って来る。』 『待ってろ。』 )


(  『 ……千鶴、 』  )


………。( 「 …ていた………級……師… 近嵐隣です! 頭はなるべく動かさないで――」 みなもから顔を出したかのように、世界がいっせいに音を取り戻す。夢から醒めた千鶴は顔を上げ、自身が救護スペースの隅にうずくまっていたことを理解した。数十分、あるいは数時間か。打ちひしがれ崩れかけたこころを、唯一の声が引き戻してくれた。そうだ。わたしは、信じて待つんだ。ここで一緒に戦うんだ。わたしが自分でそう決めたんだ、この恋が叶えられたあのときに。しっかりしろ。目をそらすな。 ぐっと足を踏みしめ立ち上がり、もういちど白衣に袖を通す。新しい手袋を引っ掴んで、補助に戻ろうとした、そのとき。新たに患者が搬送されてきた。なにげなくそちらに瞳を向け、)―――!(虹彩に、ひかりが戻る。) …み なり、 ……ッ、王哉……!!(ベッドに横たわる彼に駆け寄り、その顔をそっと両手で包みこむ。ひどい怪我だけど、まだあたたかい。生きてる。王哉は、生きてる。 情動にちいさな魂がふるえ、ぼろぼろと涙がこぼれ落ちる。もう片時も離れたくない。目覚めるまでずっとそばにいたい。――でも。)……、(でも、わたしは医者だから。ぎゅう、ときつく瞼を閉じ、深く長い息をひとつ吐きだす。それからそっと睫毛を持ち上げて、)……絶対、助けるからね。(耳朶に凛とささやき落とし、施術中のベッドへ向かうのだ。目の前の命に、最善を尽くす。硝子が1秒でも早く、彼に術式を施せるように。――愛してる。信じてる。あなたのすべてを受けとめる。王の降り立つにふさわしい、ゆらぎのない心であり続ける。だから、どうか戻ってきて。あの夜のように、この手を取って。あなたとなら後悔しないから。ふたりで生きる道に降る毒なら、残らず飲み干してみせるから。)


(記録――2018年11月1日未明。西風千鶴、生存。)
(生きている。まだ生きてゆく。花蜜より甘い厄災の日を。至上の修羅を、 ふたりで。)

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