X[イクス]も今は大きな動きがないみたいだし、一度護衛からは外れてもらおうかな。
彼女達も、いつまでもここにはいられないしね。
それじゃあ、早速次の任務に向かって欲しいんだけど――……。 」
奪還に護衛と、何かと多忙な日々が続いていたある日。
急に呼び出されたかと思えば、無事に試験が終わったのだと告げられた。
始まりが突然なら、終わりだって突然だ。
昇級のための試験が終わったのだから、彼女との縁が切れるのだって当たり前のこと。
当たり前だと分かっているのに、――その時俺は、何を考えていただろう。
先生と彼の会話を聞いてしまったのは、偶然だった。
昇級。護衛。それが何を意味しているのか、何となく察することができた。
彼が私を助けてくれたのは事実だ。どんな事情があったって、それは変わらない。
高専の人間でない私は、いつかここを出て行かなければいけないことも知っている。――だけど。
初めての護衛が終わって半月後。別れの足音が、静かに近づいていた。