ということで、早速だけど任務に向かってくれるかな?
君のやるべきことはただひとつ、囚われのお姫様の奪還だ 」
食えない教師が言うことは、今日も唐突だった。
突然の推薦話と、昇級試験。思うところはいろいろあれど、決定事項ならば仕方がない。
与えられた任務の内容は、最近密かに話題になっている宗教団体から少女を奪還してくること。
これは任務で、それ以上でもそれ以下でもない。そう思っていた筈だった、最初は。
いよいよ、貴方がたは“贄”としてその身を捧げることが許されるのです。
我らが教祖様の礎になれることを、幸せに思いなさい! 」
高らかに宣言する少女の目は、今日も胡乱な光を携えている。
どうやら私は、もうすぐ贄として捧げられてしまうらしい。
それはつまり、私の生涯が終わるということ。
ただその日を待つしか出来ない私の前に現れたのは、一人の青年。
奇しくもそれは、クリスマスの夜のことだった。